中部取:切り札「金」が誤算-出来高不振で応急措置に追われる

海外金相場が史上最高値を 更新するのを尻目に、出来高減少に歯止めがかからない中部大阪 商品取引所。起死回生の切り札として新規上場した「金」先物取 引も振るわず、関係者は頭を抱えている。新規上場からわずか2 週間にもかかわらず、早くも金の証拠金引き下げを実施したほか、 このほど取引時間の延長を決めるなど、中部取では応急措置に追 われる日々が続いている。

金取引が活況とならない理由について、中部取の近藤滋・事 務局長は「現在は勧誘規制が厳しくなり、商品取引受託業者が積 極的に個人投資家への営業をできなくなった中で、中部大阪商取 の金市場まで手が回っていないため、まだまだ認知度が低い」と 分析。一方、豊商事の安成政文専務は「売買約定を決済しなけれ ばならない限月が最長6カ月先までしかないのが問題。金はイン フレヘッジ(保険つなぎ)として投資される傾向が強いが、せめ て東工取と同じ1年にしないと期間が短すぎて使い勝手が悪いだ けでなく、裁定取引もやりにくい」と指摘する。

中部大阪商取が金先物取引を上場したのは今年10月13日で、 初日の総出来高は6413枚。中部取は当初、金市場で1日平均出 来高を2万枚(枚は取引の最低単位=500グラム)と見込んでい たが、上場から約1カ月後の実績はその1割にも満たない1588 枚(11月6日時点)にとどまり、思わぬ誤算となっている。

その打開策として中部取は先月28日、1枚当たりの証拠金 をこれまでの7万5000円から5万円に値下げたほか、今月16日 には金の1回目の立会いを現行の午前9時から10分早め、最終 節の立会いを30分延長する。総務部の白木伸幸課長は「東京市 場より取引を早く開始することによって投資家の注文を引き寄せ ることができる」と期待する。

エース交易・総合企画部の山﨑勝重・取締役部長は「取引時 間の延長は投資家にとっては有り難いこと。20、30分程度の延 長であれば商品取引会社のコスト増につながる心配もない」と歓 迎ムードだが、業界関係者の間では厳しい見方が大勢を占めてい る。

マーケット・ストラテジィ・インスティチュート(MSI) の亀井幸一郎代表も手厳しい。「個人投資家はレバレッジの大き な先物市場よりも現物のほうに投資するのが一般的」とした上で、 取引を各節に区切る板寄せ取引に問題があると指摘。亀井氏は 「現在のように金価格が大きく変動しているときに、日に数回の 値決めしか行わないということになると、個人投資家が常時動い ている価格を把握しながら対応するのは難しい」と強調する。

一方、国内大手商品取引顧問、アストマックスの小幡健太郎 運用部長は「すでに東京工業品取引所という金先物市場がある中、 あえて中部大阪商取を選ぶ必要性を感じていない投資家が多いの ではないか」との見方を示す。

中部大阪商取は2007年、中部商品取引所と大阪商品取引所 とが合併して誕生。国内の商品市場規模が縮小する中、08年の 総出来高は327万枚程度と、合併前の出来高合計がピークだった 03年の9%程度にまで激減している。今年に入りニッケルや鉄 スクラップを上場廃止。そのほかにも上場商品9品目のうち、軽 油やアルミニウムなど3銘柄の取引を休止している。

Editor: Naoya Abe, Fukashi Maruta

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