11月9日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、商 品相場は次の通り。

◎外国為替市場

ニューヨーク外国為替市場では主要6通貨に対するドル指数が1 年3カ月ぶりの低水準を付けた。7日に英スコットランドのセントア ンドルーズで開催された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総 裁会議で、関係各国が景気刺激策を維持することで合意。これを背景 に、高利回り資産を買う動きとなり、ドル売りが膨らんだ。

G20の声明を好感し、米国株が上昇したため、ドルと円はほと んどの主要通貨に対して下落した。原油や金など商品相場の上昇を受 け、カナダ・ドルは米ドルに対して5月以来の大幅高。

パトナム・インベストメントのシニア・バイスプレジデント、パ レシュ・ウパダヤ氏は「ドルは再び世界の調達通貨となった。リスク 志向の回復とともにドル売りが出ている」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時11分現在、主要6通貨に対するイン ターコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数は前営業日比1%低 下の75.060(前週末は75.819)。一時は74.930と、2008年8月以来 の最低を付けた。年初からは7.7%下落。

カナダ・ドルは米ドルに対し、一時2%高の1米ドル=1.0543 カナダ・ドルと、10月26日以来の高値を付けた。上昇率は5月29 日以来で最大。金相場は一時1オンス=1111.70ドルを付け、過去最 高値を更新。原油相場は一時3.6%上げ、1バレル=80.19ドルとな った。原材料はカナダの輸出の半分以上を占める。

南アフリカ・ランドはドルに対して1.5%高、ノルウェー・クロ ーネは対円で2.1%上昇。株式相場と商品相場の上昇を受け、低金利 通貨で資金を調達し、高金利資産で運用するキャリー取引が活発化す るとの思惑が背景にある。政策金利は日本が0.1%、米国は事実上の ゼロ。

国際通貨基金(IMF)が7日に公表した報告書で、「ドルは資 金調達通貨として使われ、なお過大評価されている可能性がある」と 指摘したこともドル売り圧力となった。同報告書は、「こうした取引 によりドルは中期的な均衡点に接近してきたものの、なお過大評価さ れている」と分析した。

S&P500種株価指数は2.2%高。20カ国・地域(G20)は景気 回復が軌道に乗るまで、政策金利を低位で維持する方針で合意した。

米国の超低金利長期化

6日発表の雇用統計では失業率が1983年以来の高水準となる

10.2%に上昇。非農業部門雇用者数は19万人減と、エコノミスト予 想以上に減少した。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は3-4日の会合後の声明で、 政策金利を「長期にわたり異例な低水準」で維持する方針を明らかに した。

UBSの為替ストラテジスト、ブライアン・キム氏は雇用統計が 「市場を混乱させている」と指摘。「FOMCが緩和的な政策を解除 する時期がさらに先に延びたとの見方が浮上している」と語った。

ドルは対ユーロで1ユーロ=1.4995ドル(前週末は1.4847ド ル)。一時は1.2%安の1.5020ドルと、10月26日以来のドル安・ユ ーロ高水準を付けた。ユーロは対円で1.1%高の1ユーロ=134円96 銭(同133円45銭)。ドルは対円で0.2%上昇し、1ドル=90円3銭 (同89円88銭)。

◎米国株式市場

米株式相場は上昇。世界的な株高の流れを引き継いだ。週末に開 催された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、各国 政府が景気刺激策の維持で合意したことが手掛かり。

アメリカン・エキスプレスやバンク・オブ・アメリカ、キャタピ ラーが大きく上昇。ダウ工業株30種平均は13カ月ぶり高値を付けた。 産銅会社のフリーポート・マクモラン・カッパー・アンド・ゴールド は4.6%上げた。この日はアジアと欧州の株価も上昇した。

S&P500種株価指数は前週末比2.2%高の1093.08と、6営業 日続伸。ダウ工業株30種平均は203.52ドル(2%)上昇の

10226.94ドル。

ジョンソン・イリントン(ニューヨーク州オールバニー)で16 億ドル余りの資産運用に携わるヒュー・ジョンソン会長は「これは紛 れもない強気相場の材料だ」とし、「財政刺激策を引き揚げようとし ている国はどこにもない。これは世界経済にとっては良いことで、イ ンフレにとってはさほど良いニュースではない。世界中で株価が上昇 しているのはそのためだ」と指摘した。

過去8カ月、ドルの下落基調が続く中、国外収入への依存度の高 い米企業の株価上昇率は国内収入への依存度の高い企業を上回ってい る。ゴールドマン・サックス・グループがまとめた指数によると、S &P500種構成銘柄のうち海外売り上げ比率が最も高い50社の株価 は、S&P500種が12年ぶり安値を付けた3月9日以降、76%上昇 した。

多国籍企業とドル

一方で主要6通貨に対するドル指数は同日以降、16%低下。ゴー ルドマンの同指数によれば、S&P500種構成企業で米国外での収入 がほとんど、あるいは全くない企業の株価については3月9日以降、 55%の上昇となっている。

発電用タービン製造で世界最大手のGEは3.4%高の15.85ドル。 ブルドーザー生産で最大手のキャタピラーは4.2%上昇し60ドル。 半導体メモリー最大手のインテルは2.8%上げて19.46ドル。3社は それぞれ売上高の半分以上を国外が占める。

事情に詳しい関係者3人が明らかにしたところによれば、ケーブ ルテレビ運営大手コムキャストとGEは、GE傘下のメディア部門、 NBCユニバーサルについて、評価額を約300億ドルとすることで合 意した。これも手掛かりとなり、GEは買い進まれた。

G20での合意

ダーリング英財務相が議長を務めたG20財務相・中央銀行総裁 会議では、景気回復が定着するまで低金利と過去最大規模の財政支出 を維持することで合意した。

金融株指数は3.6%高と、S&P500種を構成する10業種の中で 最も上げた。バンク・オブ・アメリカは4.8%高の15.77ドル。モル ガン・スタンレーは4.1%上昇し33.95ドル。

ゴールドマン・サックス・グループは2.8%上昇し176.57ドル。 同社は、オハイオ州の不動産会社が保有するショッピングセンターを 裏付けとした証券4億ドル相当を引き受ける。米金融当局の商業用不 動産市場下支え策を活用する初のケースとなる。

鉱業株買われる

素材株指数は3.2%高と、S&P500種を構成する10業種の中で 2番目に高い上昇率となった。

上場する産銅会社としては世界最大のフリーポート・マクモラ ン・カッパー・アンド・ゴールドは4.6%高の83.20ドル。銅相場が 3営業日ぶりに反発したことが材料視された。

バリック・ゴールドは3.3%高の43ドル。産金で米最大手のニ ューモント・マイニングは3.1%上昇し50.56ドル。ニューヨーク金 先物相場は一時、1オンス=1111.70ドルを付け、過去最高値を更新 した。

◎米国債市場

米国債相場では10年債が続伸。ドルが15カ月ぶり安値に下落し たことで、10日に実施される250億ドルの10年債入札への需要が喚 起されるとの見方が広がった。

この日実施された400億ドルの3年債入札では、海外の中央銀行 を含む間接入札の割合が過去最高を記録した。前週末の20カ国・地 域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で各国が景気刺激策の継続で合 意したことを背景に、ダウ工業株30種平均は13カ月ぶり高値に上昇。 原油相場も値上がりした。

ニューバーガー・バーマンの債券ポートフォリオマネジャー、タ ノス・バーダス氏は「ドルの価値下落を背景に、海外投資家にとって は一段の国債買いが可能になる」と指摘。「これが将来的に需要を生 む」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時34分現在、10年債利回りは前週末比2ベーシスポイント (bp、1bp=0.01ポイント)低下の3.48%。同年債(表面利率

3.625%、2019年8月償還)価格は6/32上げて101 1/4。

この日の入札で、間接入札の割合は68.5%だった。発行額400 億ドルは3年債入札としては過去最大。投資家の需要を測る指標の応 札倍率は3.33倍と、少なくとも1993年以降では最高水準となった。 過去10回の入札の平均は2.63倍。

入札は堅調

BNPパリバ・セキュリティーズの金利ストラテジスト、セルゲ イ・ボンダルチャク氏は「株式相場が堅調であるにもかかわらず、国 債入札がなお好調であるという事実は、明日の入札への励みになる」 と指摘した。

3年債入札の最高落札利回りは1.404%と、入札直前の市場予想

1.419%を下回った。米財務省は3年債入札を08年11月に再開。そ れ以前の18カ月は中断していた。財務省は今週12日に、30年債と しては過去最大規模となる160億ドルの入札を実施する。

モルガン・キーガンの債券セールス・トレーディング・調査責任 者、ケビン・ギディス氏は顧客向けリポートで「海外からの需要が根 強い上、市場は国債を必要としているため入札は順調だろう」と記述。 「困難があるとすれば、10年債入札で起こるだろう。投資家はリタ ーンと比較した残存期間のリスクに直面して投資をためらう可能性が ある」と続けた。

米財政赤字は、9月末に終了した前会計年度に記録的規模となる 1兆4200億ドルに拡大した。オバマ米大統領の下、景気てこ入れ策 として歳出を増やしたことが背景。

「二重苦」

デフレやリセッション(景気後退)を10年間にわたって経験し てきた日本の投資家は米国債には割安感があると指摘する。デフレに より国債の定額利率の価値が高まるとの見方だ。

米財務省のデータによると、8月までの日本の米国債買越額は 1050億ドルとなり、外国勢の買い手として中国を上回った。保有残 高は7310億ドルと、市場全体の10%余りに達した。17%に上る増加 は、25%増を記録した2004年以来最大。

みずほ投信投資顧問や三菱UFJ投信などは、リセッションに対 する米政府の対応と、1990年代の「失われた10年」の日本政府の取 り組みとの間に類似性があるとして米国債を購入している。

みずほ投信の外国債券運用部長の竹井章氏は、米経済がリセッシ ョンと信用収縮の二重苦に直面していると指摘。今後はデフレも加わ って三重苦に見舞われる恐れがあるとし、これは米国債市場に好材料 との認識を示した。

◎金先物市場

ニューヨーク金先物相場は上昇。前営業日に続き、史上最高値を 更新した。ドルの下落を受けて、代替投資先としての金の魅力が継続 した。

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)の ドル指数は15カ月ぶり低水準を付けた。金相場は年初から25%上昇 している一方、ドルは同期間に7.7%下落している。6、7日に開催 された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は景気刺激 策継続で合意したほか、米連邦公開市場委員会(FOMC)は先週、 政策金利を過去最低の0%-0.25%のレンジで据え置いた。

マッコーリー・グループのヘッジファンド販売担当アソシエート ディレクター、マイケル・グイド氏(ニューヨーク在勤)は、「金は これからも高値を更新していきそうだ」と指摘。「FOMCは金利据 え置きが続く可能性をかなり明確に示した。ドルの下落は続いており、 金強気派は高値を更新する度に金の持ち高を積み増している」と語っ た。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 相場12月限は前日比5.70ドル(0.5%)高の1オンス=1101.40ド ルで取引を終了した。一時は1111.70ドルを付け、過去最高値を更新 した。金は11月に入り、6営業日連続で上昇し、過去5営業日のう ち4営業日で最高値を更新している。

◎原油先物市場

ニューヨーク原油相場は反発。ドルの下落で代替需要が膨らんだ ほか、熱帯暴風雨「アイダ」がメキシコ湾岸に進んできたことを受け、 石油会社の英BPや米シェブロンが減産を強いられたことが背景。

原油相場は前週末比一時2ドル以上値上がりした。主要6通貨に 対するインターコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数が低下し たことがきっかけ。前週末の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀 行総裁会議では景気刺激策の継続で合意した。メキシコ湾岸地域では 石油会社の従業員らが避難を余儀なくされた。同地域は米原油生産の 27%、天然ガス生産の15%を占める。

MFグローバル(ニューヨーク)のエネルギー担当バイスプレジ デント、マイク・フィッツパトリック氏は「G20の声明ではドルに ついて言及がなく、それは何の対処も講じられないことを示唆する。 ドルは一段と下落するだろう」と指摘。「ドル安は、結果として高い 原油価格をもたらす」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物12月限は前 週末比2ドル(2.58%)高の1バレル=79.43ドルで終了した。一時 は3.6%上げ、9月30日以来の大幅上昇となった。

◎欧州株式市場

欧州株式相場は3週間余りで最大の上げとなった。前週末の20 カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で当局者が景気刺激策 の継続で合意したのに加え、ドイツの保険大手アリアンツの7-9月 (第3四半期)利益がアナリスト予想を上回ったことが好感された。

アリアンツは4.3%高と、6カ月ぶりの大幅上昇。同社の7-9 月期利益は前年同期から2倍以上膨らんだ。オーストラリアの鉱山会 社、BHPビリトンを中心に資源株が上昇。ドル下落で金属相場が上 昇したことが買いにつながった。ドイツの自動車部品メーカー、コン チネンタルは5.2%上昇。シティグループが同銘柄を買い推奨したこ とが好感された。

ダウ欧州600指数は前週末比1.9%高の245.74と、先月14日以 降で最大の値上がり。各国政府の刺激策と過去最低水準の金利がリセ ッション(景気後退)からの脱却に奏功しているとの見方を背景に、 同指数は3月9日の水準からは56%上げている。

カムジェスション(パリ)のファンドマネジャー、ブルーノ・デ ュクロ氏は「景気拡大を支えるものは何でも支援要因だ」と述べ、刺 激策は「要となる要素で、個人消費が回復し始めるまで必要なつなぎ だ。景気を後退させないために必要だ」と付け加えた。

9日の西欧市場では、アイスランドとギリシャを除く16カ国で 主要株価指数が上昇。ダウ・ユーロ50種指数は前週末比2.4%高、 ダウ・欧州50種指数は同2%上げた。

◎欧州債券市場

欧州債市場ではドイツ国債相場が上昇。世界の景気回復がまだ定 着していないことを考慮した場合、前週の下げは正当化できないとの 見方から、買いが優勢となった。

独10年債利回りは先週、9月23日以来の高水準まで1ベーシス ポイント(bp、1bp=0.01%)に近づいた。9日発表された9月 のドイツ鉱工業生産と輸出はともに予想を上回ったものの、国債相場 には影響しなかった。

先週の10年債利回りは週間ベースで13bp上昇と、9月18日 終了週以降で最大の上げとなった。欧州中央銀行(ECB)のトリシ ェ総裁が緊急流動性プログラムの一部を引き揚げる方針を示したこと が材料視された。

ANZバンキング・グループのシニア金利ストラテジスト、ル カ・ジェリネク氏(ロンドン在勤)は「欧州の一部で力強い輸出が得 られたとしても、依然として数多くの問題が存在する」と述べた。さ らに、前週の相場下落については、ECBが1年物資金入札を恒久的 に継続しないとの方針を示したことが原因だと指摘した。

ロンドン時間午後4時45分現在、10年債利回りは前週末比5b p低下し3.32%。一時は3.38%まで上昇する場面もあった。同国債 (表面利率3.5%、2019年7月償還)価格は0.39ポイント上げ

101.49。同2年債利回りは1.24%と、前週末から3bp低下した。 10年債と2年債のスプレッドは1bp縮小し208bpとなった。

◎英国債市場

英国債相場は上昇。この日はイングランド銀行が17億ポンドの 資産を買い取った。

10年債利回りは前営業日比5ベーシスポイント(bp、1bp =0.01%)低下し、3.83%。前営業日まで、同利回りは5営業日連続 で上昇していた。2年債利回りは0.75%と、前営業日から7bp低 下した。

クレディ・スイス・グループの債券ストラテジスト、カーステ ン・リノウスキー氏(チューリヒ在勤)は「英中銀の金融政策委員会 (MPC)後、国債利回りには本当に強い上昇圧力がかかった」と指 摘。10年債利回りが3.90%に接近すれば、同国債への投資妙味は一 段と高まる、と語った。

2010年6月限の金利先物の利回りは1.17%と、利上げ観測の後 退を反映して4bp低下した。

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参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 藤田比呂子 Hiroko Fujita +81-3-3201-8662 hfujita2@bloomberg.net Editor: Masashi Hinoki、Masami Kakuta 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

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