ドルと円、対主要通貨で下落-リスク回避緩和で低金利通貨に売り圧力

東京外国為替市場ではドルと円が主 要16通貨に対して下落。米国の株価が底堅さを維持するなどリスク資産 向け投資の流れが継続しており、低金利通貨のドルや円に売り圧力がか かった。

バークレイズ銀行の逆井雄紀FXストラテジストは、米国の雇用統 計自体は悪かったが、株価がそんなに下がらなかったということで、失 業率10%というのはある程度織り込まれていた感があると指摘。金融緩 和策からの出口戦略は段階的に進められるとの見方が浸透する中で、「 リスク資産にとってはポジティブに働く」として、低金利のドルと円は 売られやすいと説明している。

この日は、ユーロ・ドル相場が午後の取引で一時1ユーロ=1.4960 ドルと10月26日以来2週間ぶりのドル安値を付けた。米国の株価指数先 物がアジア時間も引き続きプラス圏を維持する中、リスク回避に伴う円 買い圧力も弱まる格好となり、円は主要16通貨に対して全面安となった 。対ユーロでは一時1ユーロ=134円91銭と、前週末のニューヨーク時 間午後遅くに付けた133円45銭から円安が進んだ。

ドル・円相場は早朝に1ドル=89円69銭を付けたあと、90円23銭ま で円が軟化する場面もみられた。

前週末の米株式相場は、雇用統計の悪化にもかかわらず、小幅高で 取引を終了。株価の予想変動率の指標であるシカゴ・オプション取引所 (CBOE)のボラティリティ指数(VIX指数)は10月23日以来の水 準まで低下しており、投資家のリスク回避姿勢が抑制されている可能性 が示された。

この日はドイツで9月の鉱工業生産指数が発表される。ブルームバ ーグ・ニュースがまとめた市場予想では、季節調整済みで前月比の伸び 率が1%と、2カ月連続のプラスが見込まれている。

G20でドル安言及なし

英スコットランドのセントアンドルーズで開催された20カ国・地域 (G20)財務相・中央銀行総裁会議は7日午後に世界経済のバランスを 取り戻すための工程表をまとめて閉幕。しかし、声明には為替レートに 関する内容は盛り込まれなかった。

加えて、国際通貨基金(IMF)が7日に公表した報告書では、「 ドルがキャリートレード(低金利のドルで資金を調達して高金利通貨な どに投資する取引)の資金調達通貨」に利用されている兆候がみられ、 ユーロや一部新興国通貨に上昇圧力が加わっている可能性があるとの見 解が示されている。

みずほ証券の林秀毅グローバルエコノミストは、ドル・キャリート レードが意識される中で、G20で特に為替について言及がなかったこと でドル売りが後押しされる格好になったとみている。

藤井裕久財務相はこの日の午後の参院予算委員会で、10日に来日す るガイトナー米財務長官と会談することを明らかにした上で、「米国は 本当はドルを強くしたいが、現実にはそうなっていない。ドルが弱いか ら円高であり、ユーロ高になってしまっている」との認識をあらためて 示している。

米金利先安観根強い

前週末6日に発表された10月の米雇用統計では、家計調査に基づく 失業率が10.2%と、1983年以来、26年ぶりに10%を超えた。さらに、 非農業部門の雇用者数は前月比で19万人の減少と、雇用の減少幅はブル ームバーグ・ニュースがまとめた市場予想の17万5000人を上回った。

三菱UFJ証券クレジット市場部為替課長の塩入稔氏は、G20でド ル安についての言及がなく、「米雇用統計の数字をみれば金利も当面上 がらないという見方もあるだろう」と指摘。全体感としてはドルが安い とみている。

米連邦準備制度理事会(FRB)が3、4日に開いた連邦公開市場 委員会(FOMC)の声明文では、インフレ期待の安定に加え、失業率 が低下しないことを背景に、金利を「長期にわたり異例な低水準」に維 持する方針をあらためて示されていた。

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