東京外為:米雇用統計にらむ展開、G20警戒で円買い優勢の局面も

東京外国為替市場では、この日の米 雇用統計発表を控えて、景気の先行きを見極める展開となった。午後の 取引後半にかけては、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議 を警戒した円買いが強まる場面もあったが、日中の取引は総じて小動き だった。

みずほコーポレート銀行国際為替部の加藤倫義参事役は、米国の金 融緩和策については出口論が遠のいたとの見方が浸透する中、リスク選 好的な動きが活発化するかどうかが焦点になるとして、米雇用統計の発 表前は「攻めづらい」状況になっていると指摘。雇用の問題が改善しつ つあるとの見方につながれば、リスクを取りに行こうという動きになり 、ドルと円が売られる展開になるとみている。

ドル・円相場は1ドル=90円台半ばから後半を中心に推移した。輸 出企業のドル売り観測もあり、ドルは朝方に付けた90円86銭を上値にじ り安に展開。午後の取引終盤は、スコットランドで開かれるG20を控え アジア通貨高を促す可能性があるとの観測などを背景に、円買いにやや 圧力がかかり、90円44銭までドル安・円高が進んだ。

この日の米国時間には10月の雇用統計が発表されるが、ブルームバ ーグ・ニュースがまとめた市場予想によると、非農業部門の雇用者数は 前月比で17万5000人の減少と、雇用の減少ペースは前月の26万3000 人減から鈍化が見込まれている。

一方、10月の失業率は9.9%と、1983年以来最悪の水準が予想され ている。市場の一部では、失業率が今後10%を超える可能性も指摘され ている。

加藤氏は、失業率に関して、来年早々に10%台に乗るとの見通しは 相場に織り込み済みといった感があると指摘。むしろ、雇用の減少ペー スが重要だとして、「減少幅が縮小すれば、先行きに対する期待感が生 じやすい」としている。

ユーロ圏景気の楽観論強まる

米連邦準備制度理事会(FRB)は3、4日に開いた連邦公開市場 委員会(FOMC)で、政策金利を「長期にわたり異例な低水準」に維 持する方針をあらためて表明。さらに、「家計支出は拡大しつつあるよ うだが、失業の継続と所得の伸び悩み、住宅資産の減少、厳格な信用条 件に依然抑制されている」と指摘している。

三菱UFJ信託銀行資金為替部の井上英明統括マネジャーは、FO MCでは当面の低金利政策の継続が確認されており、「指標結果が付い てくれば、一段の株高という流れもあり得る」とみている。

半面、欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は5日に開いた政策 決定会合後の記者会見で、景気対策として緊急に導入した流動性供給措 置の一部を引き揚げる方針を示した。

さらに、トリシェ総裁は、「最新の情報は引き続き、経済活動が7 -12月(下期)に改善していることを示唆している。政策委員会は、こ のような見通しに対するリスクはほぼ均衡していると考えている」と述 べている。

また、同日に決定会合を開いたイングランド銀行(BOE)は、焦 点となっていた資産買い取りプログラムの規模を250億ポンド(約3兆 7500億円)拡大し、総額2000億ポンドとすることを決定。拡大幅は市場 予想の500億ポンドを下回った。

市場ではFRBの出口政策の出遅れ感が浮き彫りとなり、海外でド ル売りが進行。ユーロ・ドル相場は一時1ユーロ=1.4917ドルと、10月 27日以来のドル安値を付けた。

ただ、トリシェ総裁は「強いドル」を支持する姿勢を示している。 加えて、この日からスコットランドのセントアンドリュースで、G20財 務相・中央銀行総裁会議が開かれることから、この日の東京市場では、

1.48ドル台後半でユーロが伸び悩む展開となった。

日米株高でリスク志向くすぶる

5日に発表された米国の経済指標は、10月31日終了週の新規失業 保険申請件数が51万2000件と、1月以来の最低水準に減少。第3四半 期の非農業部門労働生産性指数(速報値)は前期比年率9.5%上昇と、 過去6年で最大の伸びを記録した。

米経済指標の改善などを受けて、前日のダウ工業株30種平均は1万 ドルを回復して取引を終了。株価の予想変動率の指標であるシカゴ・オ プション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX指数)は10 月29日以来の水準まで急低下しており、投資家の間でリスク投資を敬遠 する姿勢が弱まる可能性が示された。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマン外国為替部の久保信明バイスプレ ジデントは、株価の上昇などリスク志向的な動きが見られる中、ドルも 円も「調達通貨の位置付け」になっており、金利の高い通貨に資金が向 きやすい流れになっていると指摘する。

この日の東京株式市場では、日経平均株価が上昇。午前にはオース トラリア準備銀行(RBA)が公表した金融政策四半期報告で、2009年 の同国成長率見通しが8月時点の予想の3倍を超える水準に引き上げら れるなどして、豪ドル買い主導でクロス・円(ドル以外の通貨の対円相 場)が下支えされた面もあったようだ。

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