10年物304回債の需給ひっ迫、相場下落でも「異例」の利回り低下

現物債市場では、相場全体が下落 する状況で、新発10年物国債の304回債が買い優勢の展開となり、同 債利回りが低下するという異例の現象となっている。債券と資金を交換 する現金担保付き債券貸借(レポ)取引市場で、304回債を貸し出す動 きが乏しくなり、需給がひっ迫しているためだ。

クレディ・スイス証券の福永顕人債券ストラテジストは、10年物 の304回利回りだけが低下していることについて、ポジション(持ち 高)がゆがんでレポ金利がおかしくなっていると指摘。「発行額自体は 大きいが、貸し出さない人が多いのに対し、304回債を借りたい向きが 多く、需給が異様に締まっている」と述べた。

この日の現物債市場では、304回債利回りは前日比1ベーシスポイ ント(bp)低い1.365%での取引だ。新発5年物の86回利回りや新発20 年物の113回債利回りがともに上昇し、同じ10年物の303回債利回り も2bp高いだけに、304回債の利回り低下の動きが際立っている。

一般的に、直近入札された新発10年債利回りは取引量が多く、長 期金利の代表的指標とされているが、きょうの値動きについては相場と 逆の方向となっている。

債券先物相場が下げても、長期債が買われることは珍しいことでは ない。しかし、前日の米国債相場が軟調となったほか、あすに10年債 入札を控えているだけに、通常は、売りが優勢になるとみるのが一般的 で、実際に先物は反落している。また、今晩には米連邦公開市場委員会 (FOMC)の結果発表を控えて投資家が様子見姿勢を強めているだけ に、304回債だけが買われることに違和感を覚える市場関係者は多い。

東短リサーチの寺田寿明研究員は、10年物国債の304回債のレポ SC取引で「翌日物が最大でマイナス2%台の取引があった。きょうも マイナス0.2%-0.3%程度で取引されている」と、レポ市場での取引 の影響を受けていると説明。「投資家が国債を出し渋ることでもなけれ ば、ここまで需給が締まることはないだろう」とも指摘する。

あすの入札にらんだ動きか

レポ市場で304回債の需給がひっ迫しているのは、あす実施の10 年利付国債の入札(11月債)に関連する要因も背景にあるとモルガ ン・スタンレー証券の伊藤篤債券ストラテジストは指摘する。

今回の入札では、表面利率(クーポン)が前回債から0.1ポイント 引き上げられて1.4%となり、303回債と銘柄統合されるリオープン発 行となる可能性が高い。市場では、10月以降に国債増発に伴う需給懸 念をはやして、海外勢中心に売りが膨らんだとみられており、きょうは これまで304回債の売り持ち高を膨らませた向きから手じまいの買いが 優勢となっているようだ。

岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長は、1カ月近くも 金利が上昇する過程で、とりわけ新発の304回債を売った向きは多いの ではないか指摘。そのうえで、あすの入札では303回債の発行となる可 能性が高まるなかで、304回債はレポ市場で需給がひっ迫しており、同 債には買い戻し圧力が強いという。

--取材協力:船曳三郎 Editors:Hidenori Yamanaka,Joji Mochida

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