白川日銀総裁:上振れ、下振れのリスクは均衡する方向に

日本銀行の白川方明総裁は4日午 前、都内で講演し、景気は先行き持ち直していくとの見通しを示した 上で、下振れリスクばかりを意識していた春先までに比べ、上振れと 下振れのリスクは均衡する方向に向かっていると述べた。

日銀は先月30日公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート) で消費者物価指数(除く生鮮食品)が2011年度まで3年連続で下落す るとの見通しを示した。白川総裁は4日の講演で「現在のところ、物 価下落が起点となって景気を下押す可能性は小さい」と述べた。

日銀は先月30日開いた金融政策決定会合で、12月末を期限とす る企業金融支援のための時限措置のうちコマーシャルペーパー(CP) と社債の買い入れを年内で停止し、企業金融支援特別オペは来年3月 末まで延長した上で完了することを決めた。白川総裁は「日銀は極め て緩和的な環境を維持して、日本経済が物価安定の下での持続的な成 長経路へ復帰していくことを粘り強く支援していく」と語った。

白川総裁は先行きの下振れリスクとして①米欧におけるバランス 調整の帰すう②新興国・資源国経済の動向③わが国企業の中長期的な 成長期待の動向-を指摘。その上で「新興国・資源国が引き続き高め の成長を維持する可能性が高いことを踏まえると、もっぱら下振れリ スクを意識していた春先までの状況と比べれば、リスクはバランスす る方向に向かっているように思う」と述べた。

世界経済の成長は当面緩やか

物価については「需要不足がかつてないほど大きく、先行きの景 気回復のペースも緩やかなものになると見込まれるため、物価の下落 圧力はある程度長い期間にわたって残ると思われる」と語った。

白川総裁はその上で「わが国の金融システムは総じて安定してい るし、累積的な物価下落という面では、9月の消費者物価の水準はち ょうど石油製品価格の高騰が始まる前の2007年8月の水準に戻って いる」と指摘。企業や家計の中長期的な予想物価上昇率も「これまで のところは、各種アンケート調査や長期金利の動向などからみて安定 している」として、物価下落と景気が連鎖的に悪化するデフレスパイ ラルに陥る可能性は「現在のところ小さい」と述べた。

世界経済については「2000年代半ばに生じたバブルの大きさを考 えると、必要な調整の規模もまた非常に大きいとみられる」と指摘。 そのため、「世界経済全体としての成長ペースは当面、緩やかなものに とどまる可能性が高い」と述べた。

ドル・キャリーにも言及

一方で、新興国・資源国の経済については「春先ごろの予想を超 えて急速に回復している。今年第2四半期の実質GDP(国内総生産) 成長率は、韓国、台湾、ブラジルなど多くの国で高い成長率を記録し た。中国やインドについては、今さら言うまでもないことだが、再び 高い成長を取り戻している」と指摘。先行きについても「高めの成長 を維持するとみられる」と語った。

白川総裁はまた、「最近、市場参加者の間ではドル・キャリーとい う言葉がよく使われている。かつて円キャリーが話題となった時期が あったが、今回はどの先進国でも低金利政策を採用している中、最も 厚みのあるドル市場で調達された資金が新興国に再び流入し、リスク を取り始めている」と語った。

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