シティのパンディットCEO、「延命」措置で現金抱える-収益は低下

米金融大手のシティグループやJ Pモルガン・チェースが危機の再来に備えるかのように、現金を抱え 込んでいる。

米証券会社リーマン・ブラザーズ・ホールディングスが昨年9月 に破たんして以降の1年間で、シティが保有する現金はほぼ倍増して 2442億ドル(約22兆円)と、米銀で過去最大規模となった。昨年に 450億ドルの公的資金受け入れを余儀なくされた同行には市場が改善 しても万が一に備えて手元資金を厚めにするよう、財務省など米当局 から圧力がかかっている。

当局からの要請で金融システムへの信頼感は回復するかもしれな いが、株主にとってはたまったものではない。流動性が高くても貸出 金利の12分の1程度しか利回りのない資産に銀行が投資することで、 リターン(投資収益率)が失われるためだ。

ホブデ・キャピタル・アドバイザーズのエリック・ホブデ最高経 営責任者(CEO)は「長期的には賢い動きだが、こうした金融機関 のリターンは低下する。景気が一段と安定し始めれば、流動性の水準 も下がり始めるだろうが、危機前の異常な水準には決して戻らないだ ろう」と予想した。

当局は、昨年の信用危機前までの数年間に銀行の投資行動が積極 的になり過ぎ、わずかな株式資本の下、融資や複雑な取引を伴う証券 やデリバティブ(金融派生商品)といった流動性の乏しい投資対象に 大金をつぎ込んでいたと説明する。手元資金の枯渇は「不十分な資本 同様あるいはそれ以上に破たんに影響する度合いが大きい」と今年9 月3日の金融規制に関する発表で財務省は指摘した。

増える流動性資産

こうした圧力の下、資産規模で米銀上位4行のバンク・オブ・ア メリカ(BOA)とJPモルガン、シティ、ウェルズ・ファーゴは9 月30日時点の流動性資産が合わせて1兆5300億ドルと、昨年6月 時点の9142億ドルから67%増えた。4行の今年7-9月(第3四半 期)決算報告書によるこの金額は、4行の総資産の21%に相当し、昨 年6月の15%を上回る。

流動性資産には現金や他行への預金、米連邦準備制度理事会(F RB)ないし他行からの翌日物資金調達で担保として差し出せる証券 が含まれる。シティの9月30日時点の同資産は4503億ドルと、資 産の24%を占めた(昨年6月は16%)。一方、7-9月期の金利収入 は前年同期を14億ドル下回り、ビクラム・パンディット最高経営責任 者(CEO)率いる同行は7億5000万ドルの営業損失を計上した。

「選択肢がない」

シティが保有する現金・預金合わせた2444億ドルは、昨年6月 末時点の1314億ドルを大きく上回るほか、ウォーレン・バフェット 氏率いる米保険・投資会社バークシャー・ハサウェイが07年7-9 月期のピーク時に保有した471億ドルの約5倍。ロッチデール・セキ ュリティーズのアナリスト、リチャード・ボーブ氏は「44年間この業 界にいて、これほど大量の現金を保有する企業は見たことがない」と 語る。

仮にシティが利回り0.63%の現金・預金を貸出金利7.2%で融 資に回せば、年間の金利収入が86億5000万ドル以上増える計算に なる。ただ、融資の一部が焦げ付けば、それ以上を失うこととなる。

ボーブ氏は「銀行が2450億ドルもの資金を現金で保有するのは 理にかなっていないが、パンディットCEOには選択肢がない」と指 摘。「同CEOを称賛する理由にも批判する理由にもならない。現金を 確保しなければ、延命が絶たれるからだ」と述べた。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE