円に景気回復期待の売り圧力、CIT破たん買い続かず午後にかけ下落

東京外国為替市場では、世界的な 景気回復期待を背景にした円売り圧力が根強く残った。朝方は米商業 金融会社CITグループの破たんを受け、円買いが先行したものの、 世界的な金融危機の再燃にはつながらないとの見方から円は取引が進 むにつれて伸び悩んだ。

円は対ユーロで朝方に付けた約1カ月ぶり高値の1ユーロ=131 円1銭から一時、133円22銭まで下落。対ドルでも10月14日以来の 高値となる1ドル=89円20銭から反落し、一時は90円24銭まで値 を下げる場面が見られた。

三菱UFJ証券クレジット市場部為替課長の塩入稔氏は、「けさ のCIT破たんのニュースへの反応は明らかに過剰反応だ。証拠金の ストップロス(損失を限定するための円買い注文)で大きく円高にな ったが、CIT破たんが金融不安再燃につながるかといえば、そうで はないと思う。世界景気の循環的な回復も続いており、潜在的にドル や円をキャリー(借り入れ)して運用するニーズは高い」と語る。

一方、ユーロ・ドル相場は朝方に一時、1ユーロ=1.4685ドルま でユーロ売り・ドル買いが先行したが、その後は徐々にユーロ買いが 優勢となり、午後には1.47ドル台後半まで値を切り上げる場面も見ら れた。

米CIT破たん

経営難に陥っていた創業101年のCITグループはニューヨーク時 間1日、米連邦破産法に基づく会社更生手続きの適用を申請したと発表 した。CITの取締役会は事前調整型の破産手続きを実行することを承 認した。

CIT破たんで投資家のリスク回避姿勢の高まりが意識される中、 週明け早朝の取引では新興国通貨や資源国通貨などを売って、円を買 い戻す動きが先行。バークレイズ銀行チーフFXストラテジストの山 本雅文氏によると、証拠金取引を通じて対南アフリカ・ランドなどで 損失を限定するための円買いが出たもようで、ユーロ・円やドル・円 も前週末のニューヨーク午後遅くの水準から大きく円高に進んだ。

もっとも、円買いもまもなく一巡し、午前8時前後からは一転し て円売りが活発となった。ドイツ証券の深谷幸司シニア為替ストラテ ジストは、CIT破たんについて、「確かにファンダメンタルズ(経 済の基礎的諸条件)面での影響は注意しなければならないが、これで 金融不安が広がっていくようなことはおそらくない」と指摘。その上 で、海外勢がいまだ円の買い持ち高を抱えている中、「国内の証拠金 の円ショート(売り持ち)の投げ以外、円買いはない」と話していた。

景気回復期待

前週末の米国株安を受け、週明けのアジア株式相場は軒並み下落 していたが、10月の中国製造業購買担当者指数(PMI)が1年半ぶ りの高水準となったことなどから、中国上海総合株価指数がプラスに 転換。東京株式相場も大幅安ながら、午後にかけてはやや下げ渋る展 開となった。

24時間取引GLOBEX(シカゴ先物取引システム)の米株価指 数先物も上昇。NTTスマートトレードの工藤隆営業企画部長は、「中 国株がプラスに転じ、米株先物も上げ幅を拡大しているので、リスク 選好の動きから円売りが強まった」と説明。「あすのRBA(豪準備 銀行)の理事会を前に、本邦投資家が豪ドル・円を買っているとの話 も聞かれる」と語る。

豪ドル・円は早朝に一時、10月8日以来となる1豪ドル=79円台 半ばまで豪ドル売りが進んだが、午後には81円半ばまで反発。2009 年7-9月(第3四半期)の豪住宅価格指数が予想を上回る伸びとな ったほか、オーストラリア政府が今年度(09年7月-10年6月)の経 済成長率見通しを引き上げたことが好感された。市場ではRBAが3 日の金融政策決定会合で0.25ポイントの追加利上げを実施すると予 想されている。

注目イベントが目白押し

RBA以外にも今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)や欧州 中央銀行(ECB)、イングランド銀行の金融政策決定会合が開かれ る。また、米国では米供給管理協会(ISM)の製造業・非製造業景 況指数や雇用統計など重要指標の発表が相次ぐほか、週末には20カ国 財務相・中央銀行総裁会議(G20)も予定されており、会合結果や指 標内容に一喜一憂する波乱含みの展開が想定される。

三菱UFJ証の塩入氏は、金融政策決定会合、G20、米雇用統計 と注目材料が目白押しの中、相場がいずれの方向にも振れるリスクが あることを警戒した方がいい、と指摘。一方、米国の金融政策につい ては、「時間軸へのコミットを弱めることがあっても、金利政策の出 口の出口は遠いとみられるため、ドルの市中流通量へあたえる影響は かなり限定的だろう」とみている。

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査によると、 ISMが2日発表する10月の製造業指数は53と、3年ぶりの高水準 に上昇する見込み。一方、週末発表の10月の米雇用統計では雇用削減 の継続が示され、失業率は1983年以来、最悪の水準となる見通しとな っている。

--取材協力 関 泰彦 Editors: Hidekiyo Sakihama Joji Mochida

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