TB利回り上昇、1年物は4カ月ぶり高水準-需給懸念(update2)

国庫短期証券(TB)の利回りが 上昇基調を強めている。大量発行に伴う需給悪化の懸念が根強いため だ。個人国債の販売未達などを背景に今月から増発される1年物は約 4カ月ぶりの高水準で推移している。

ブルームバーグ・データによると、TB1年物は0.183%と7月 1日以来の高水準、6カ月物は0.168%と6月30日以来の高い水準に なった。日本銀行が無制限の資金供給である企業金融支援特別オペを 年度末まで延長したことはTBの買い(利回りの低下)を促すとみら れたが、市場関係者によると、前週末の新発6カ月物には0.17%で 3000億-4000億円規模の売りが出た。

東短リサーチの寺田寿明研究員は、「投資家の買いが少ない1年物 が増発されれば、ディーラーの目線を反映して利回りは上がらざるを 得ない。きょうは期間の短い年内償還物の買いも見えなかった」とい う。

TB3カ月物も0.155%と8月4日以来の高水準で推移。前週の 入札の最高落札利回り0.1546%を上回り、この日は同水準で売り注文 が並んだ。市場では、利回りが上昇した6カ月物を買って、3カ月物 を売る動きも指摘された。

11、12月にTB増発へ

日銀は前週末の金融政策決定会合で、年末に期限を迎える企業金 融支援特別オペを来年3月の年度末まで延長すると発表。ひとまず金 利上昇懸念は後退したが、TBには積極的な買い手が現れず、むしろ 6カ月物に売りが出た。

国内証券のTBディーラーは、特別オペの問題より需給懸念の方 が大きいという。投資家の需要が少ない6カ月物や1年物に加え、毎 週5.7兆円の発行が続く3カ月物の在庫が積み上がっている仲介業者 もあるという。

財務省は前週末、2009年度下期の国債発行計画を見直し、TB1 年物の発行を今月から毎月2000億円増の2.5兆円に増額すると発表し た。また、12月は3カ月物が5.7兆-6兆円程度、6カ月物は3.5兆 -4兆円程度まで増額される見通しだ。個人国債などの販売未達や変 動利付き国債の発行取り止めに加え、税収不足などが背景にある。

東短の寺田氏は、今月17日のTB1年入札について、残存期間が 1年程度の利付国債利回りをやや上回る「0.19%から0.20%弱まで上 昇する可能性がある」という。4日の3カ月入札も0.15%台半ばから 後半への上昇が見込まれている。

日銀の資金供給の姿勢

TBディーラーの間では、資金調達コストを示すレポ(現金担保 付債券貸借)金利の下げ渋りを理由に、TBは引き受けづらくなると の声も聞かれる。レポのスポットネクスト物は0.13%前後で推移し、 資金需要が高まる準備預金の積み最終日や月末、四半期末には0.1% 台半ばから後半まで上昇することもある。

背景には、日銀が国債買い現先オペによる一日の資金供給額を

1.2兆円と昨年11月以来の水準までしぼるなど、資金需要に応じて機 動的な金融調節を行っている影響がある。

昨年9月のリーマンショックで混乱した金融市場が落ち着きを取 り戻し、日銀はコマーシャルペーパー(CP)の買い入れや特別オペ など緊急措置の終了を決めた。レポ市場への手厚い資金供給も徐々に 削減するのではないかとの警戒感がくすぶっている。

日銀は今後の金融政策運営について、当面、現在の低金利水準を 維持するとともに、金融市場における需要を十分満たす潤沢な資金供 給を行う方針を改めて表明した。

しかし、国内証券のTBディーラーは、景気悪化と財政負担の増 加に伴って、日銀は中長期国債の買い入れ増額など、更なる金融緩和 を求められる可能性もあるとみていた。

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