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9月の消費者物価指数は下げ止まり-前年比2.3%低下

(コメントを追加します)

【記者:日高 正裕】

10月30日(ブルームバーグ):9月の全国の消費者物価指数(除 く生鮮食品、コアCPI)は前年比の下落率が縮小した。3月にマイ ナスに転じてから下落率が縮小するのは初めて。昨年の原油急騰の反 動による影響ははく落しつつあるが、景気の大幅な落ち込みによる需 要の低迷から、消費者物価の下落は長期化する公算が大きい。

総務省が30日発表した9月の全国コアCPIは前年同月比2.3% 低下と7カ月連続のマイナス。10月の東京都区部コアCPIは同

2.2%低下だった。ブルームバーグ・ニュースがまとめた予想中央値は 全国が2.4%低下、東京は2.1%低下。前月はそれぞれ2.4%低下、2.1% 低下だった。

ニューヨークの原油先物相場は昨年7月に1バレル=147ドルと 最高値を付けた後、急速に下落に転じた。昨年のエネルギー価格高騰 の影響は薄らいでいくため、コアCPIの下落率は徐々に縮小してい く見込み。ただ、所得・雇用環境の悪化から消費者の節約志向が強ま っており、基調的な物価の下落圧力はむしろ強まっている。

CPI総合指数は9月の全国が前年同月比2.2%低下、10月の東 京都区部は2.4%低下だった。前月はそれぞれ2.2%低下、2.1%低下 だった。変動の大きな食料(酒類除く)とエネルギーを除く「米国型 コアCPI」は9月の全国が1.0%低下、10月の東京都区部は1.4% 低下。前月はそれぞれ0.9%低下、1.4%低下だった。

需給ギャップが物価を押し下げ

大和総研の熊谷亮丸シニアエコノミストは「基調的な物価の動き を表す米国型コアCPIはマイナス幅が拡大している。景気悪化で生 じた需要不足は少しずつ縮小しているが、早期に解消する可能性は低 い」と指摘。「GDPギャップに3四半期程度遅行する米国型コアCP Iの前年比は、年末ごろまでマイナス幅が拡大した後、徐々に縮小す るものの、ゼロ近傍に至るのは数年後となるだろう」としている。

4-6月期の実質GDP(国内総生産、2次速報値)は前期比年 率2.3%増と5期ぶりにプラスに転じたが、1-3月までの景気の落 ち込みが大きかったため、日本全体の需要と供給の乖離(かいり)を 示す需給ギャップはGDPのマイナス7.8%、実額40兆円程度に達し ている。巨額の需要不足は物価を押し下げる方向に働く。

西村清彦副総裁は21日の講演で「昨年秋以降の急激な景気の落ち 込みを反映し需給バランスが大きく緩んだと考えられ、その改善テン ポは緩慢とみられるため物価下落が相応の期間続く可能性が高い」と 語った。日銀が30日の経済・物価情勢の展望(展望リポート)で示す 2011年度のコアCPI見通しは3年連続でマイナスになる見込みだ。

現在の超低金利を継続

HSBC証券の白石誠司チーフエコノミストは「物価は当面、前 年の原油、商品市況高の反動としてのデフレは秋口以降縮小するが、 米国型コアCPIやサービス価格のデフレ圧力は、むしろ強まる方向 だ。2010年度の揮発油税廃止、2011年度のCPI基準改定など、テク ニカルなデフレ圧力も続く」と指摘する。

BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「現在のデ フレを一気に収束させるためには、短期的に大幅な経済変動が必要と なるが、そうした状況はバブルや資源価格高騰など望ましくない帰結 を引き起こす『持続的ではない景気回復』というのが日銀のスタンス だ」と指摘。「金融危機やデフレスパイラルが懸念される状況に陥らな ければ、現在の超低金利政策の継続で対応する」とみている。

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