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円が午後強含み、リスク選好の売り続かず-米景気の先行きに慎重

東京外国為替市場では、午後の取 引にかけて円が強含みとなった。米景気の悲観論修正を背景に投資家 のリスク選好姿勢が戻るとの見方から円売りが先行したものの、来週 は米国で連邦公開市場委員会(FOMC)や雇用統計などの主要材料 を控えて、慎重な姿勢が強まった。

みずほ証券の林秀毅グローバルエコノミストは、7-9月の米国 内総生産(GDP)が予想以上の伸びとなったが、景気刺激策の押し 上げ効果に寄るものだとの冷静な見方が戻り、徐々にリスク選好的な 動きが抑制されたと説明。来週に予定されている米国側の材料で「楽 観論が修正される可能性」が警戒され、円がじわじわと買い戻された とみている。

円は主要16通貨中15通貨に対して上昇。ドル・円相場は午前に 付けた1ドル=91円58銭を下値に円がじり高に展開し、午後には90 円84銭まで水準を切り上げる場面もみられた。ユーロ・円相場も一時 1ユーロ=134円74銭と、前日のニューヨーク時間午後遅くに付けた 135円51銭から円高方向に振れた。

米国では来週2日に供給管理協会(ISM)が10月の製造業景気 指数を発表するほか、6日には10月の雇用統計など重要指標が発表さ れる。また、4日にはFOMCの結果が明らかとなるが、市場の一部 では声明文の内容が変更されるとの観測もあり、金融緩和策の出口戦 略が示唆される可能性を指摘する声も聞かれている。

林氏は、FOMCが景気に前向きな見解を示す見通しにあるもの の、「政策面では量的緩和を続けていく」と予想。長期金利の安定化を 維持する結果に落ち着くとみている。

日銀会合は影響限定

一方、この日の午後には日本銀行がコマーシャルペーパー(CP) と社債の買い入れを年内で停止することを発表。企業金融支援特別オ ペは来年3月末まで延長した上で完了する方針も明らかとなった。特 別オペの来年3月末での完了と社債買い入れ終了には、水野温氏審議 委員が反対した。

みずほ証の林氏は、民主党政権の政策運営をめぐって海外投資家 の間で日本に対して非常に冷ややかな見方が浸透しつつある状況のた め、政策決定で意見が分かれたという点では「日本売り」が意識され やすいと指摘。ただ、この日はクロス・円(ドル以外の通貨と円の取 引)で円売りが先行していたため、一段の円売り余力が乏しい状況に あったため、影響が限定されたと説明している。

また、日銀は2011年度までの見通しを示す経済・物価情勢の展望 (展望リポート)を公表。同年度の消費者物価指数(除く生鮮食品、 コアCPI)の前年比伸び率は、政策委員の見通しの中央値がマイナ ス0.4%と、09年度から3年連続のマイナスとなった。物価下落の長 期化が見込まれる中、政策金利0.1%という超低金利は長期化する公 算が大きい。

午前に発表された9月の全国の消費者物価指数(除く生鮮食品、 コアCPI)は前年同月比2.3%低下と7カ月連続のマイナスとなっ たが、下落率は前月の2.4%から縮小。同月の完全失業率は5.3%と、 市場の予想に反して前月から0.2ポイント低下した。

米GDPが5四半期ぶりのプラス

米国で前日に発表された第7-9月の実質GDP(季節調整済み) 速報値は前期比年率で3.5%の増加と、5四半期ぶりのプラスとなっ た。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミストの予想中央値 は3.2%増だった。

また、17日に終わった1週間の失業保険継続受給者数は、14万 8000人減少の579万7000人と、3月21日以来の最低水準となり、減 少幅は7月以来で最大となった。

世界景気の先行き不透明感が緩和し、米国を中心とした海外の株 価指数がほぼ全面高。株価の予想変動率の指標であるシカゴ・オプシ ョン取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX指数)は大幅 に低下し、リスク資産向け投資を敬遠する姿勢が緩和する可能性が示 された。

三菱UFJ証券クレジット市場部為替課長の塩入稔氏は、米国の 経済成長に関しては、直前で弱気の見通しに傾いていたため、相場が 急速に切り返す展開になったと指摘。ただ、予想以上の成長率につい ては、景気刺激策の結果だとの捉え方もあるとしたうえで、来週は米 国でFOMCや雇用統計の発表を控えて、「一方向の相場観を出しにく い」とみていた。

ドル安進行に警戒感も

一方で、ユーロ圏財務相会合の議長を務めるルクセンブルクのユ ンケル首相兼国庫相は、29日にベルギー紙ユーロポリティークに掲載 された同紙とのインタビューで、「現在のユーロ相場については特に懸 念していない。だが、私が米国と日本に対して言ったのは、ここでも 繰り返すが、ユーロの上昇トレンドが続けば、ユーロの過大評価によ りユーロ圏の輸出産業が打撃を受けるということだ」と述べている。

来週は6日から2日間の日程で20カ国・地域(G20)財務相・中 央銀行総裁会議が英国のスコットランドで開かれる。ソシエテ・ジェ ネラル銀行の斎藤裕司外国為替本部長は、同会議に向けて「ユーロ高 に警戒感が出やすい」として、ユーロ・ドル相場が1ユーロ=1.5ド ル台を超える水準になると、ユーロ買いに慎重な姿勢が強まる可能性 があるとみている。

この日のユーロ・ドル相場は1.48ドル台前半から半ばで取引され た。前日の海外市場で1.4859ドルと2営業日ぶりのドル安値を付けて いた。

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