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【コラム】日本がリーマンに? アインホーン氏の不吉発言-ペセック

ヘッジファンド運用者のデービッ ド・アインホーン氏は米リーマン・ブラザーズ・ホールディングスが 砂上の楼閣にすぎないと見抜いた。

破たん前のリーマン株を空売りしていた同氏は今、ひとたび金利 が上昇し始めたら「日本が政府のデフォルト(債務不履行)かハイパ ーインフレ的な為替相場の死の循環を免れる道があるとは思えない」 と話す。リーマンはともかく、日本の国がつぶれるというのは怖い話 だ。

アインホーン氏が率いるグリーンライト・キャピタルは大幅な金 利上昇に備えるオプションを購入している。同氏は根拠なき低金利を 支えにしてきた債券相場の暴落という現象を見込んでいる。

日本のデフォルトというのはありそうもない話ではある。日本は 20年間、そのような予想を裏切ってきた。増税によって15兆ドル(約 1400兆円)の個人金融資産を吸い上げることもできるし、最悪の場合 は国有資産を売却することも可能だ。日本政府は危機管理のエキスパ ートなのだ。

しかし、2010年に債券利回りが急上昇するという見方にはより根 拠がある。今後1年の間に、日本の市場金利は恐らく大幅に上昇する だろう。

日本銀行は政策金利を引き上げないだろう。問題は債務だ。日本 の公的債務の水準は既に国内総生産(GDP)の2倍に近く、先進国 中で最悪。だからこそ、ハイ・フリークエンシー・エコノミクスのカ ール・ワインバーグ氏をはじめとするエコノミストらは日本国債の格 付けをジャンク級(投機的格付け)に引き下げない格付け会社の「犯 罪的な怠慢」を責める。対GDP比の債務比率が200%を突破すれば、 このような議論は勢いを増すだろう。

驚異的

日本がこれまで債券市場をうまくコントロールしてきたのは驚異 的だ。圧力釜状態の債券市場を抑え込んできたのは、世界がリセッシ ョンにある中で中国が達成した8.9%成長と同じくらいの偉業だ。

日本国債の9割以上は国内で保有されている。円資産から資金が 逃避するリスクはない。しかし、国債は銀行や保険会社、年金基金、 公的機関、それに個人と、誰にとっても中核資産だ。国債利回りが上 昇すると、民間企業の資金コストも上昇して企業は打撃を受けるし、 債券を買い持ちにしている銀行の体力は弱まる。

日本の大手生命保険会社は回復の勢いが弱いとの予測を理由に国 債を買うと言っているが、実のところ買い支えることにより利回り急 上昇を防ごうとしているのだ。成長の弱さが国債利回り上昇を抑える という議論もあるが、景気が悪ければ税収減と失業増で国債増発は必 至で、こうした見方はあまり説得力を持たない。

不思議

日本の10年国債の利回りがわずか1.38%なのが不思議だ。事実 上のゼロ金利と債務が膨大かつ膨らみつつあるという状況が同じ米国 の10年国債利回りは3.50%。円は世界的な準備通貨ではないし、人 口構成の動向も財政見通しにマイナスだ。格付けも最上級の「トリプ ルA」ではない。なのに、日本の方が米国よりも長期金利が2ポイン ト以上低い。

出生率低下と債務増大は、海外投資家が日本に投資しない理由だ。 アインホーン氏は今月20日、ニューヨークで開催された「バリュー・ インベスティング・コングレス」で、債務が増え高齢化が進む「日本 は既に引き返せない地点にいる」と述べた。

それは言い過ぎだとしても、好きなだけ債務を増やせる日本政府 の能力は、来年試される。今までうまくいっていた戦略の前に、前代 未聞の状況に陥っている財政の現実が立ちふさがるかもしれない。日 本がリーマンにならないことを望みたい。(ウィリアム・ペセック)

(ウィリアム・ペセック氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラム ニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)

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