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世界の中銀:「グリーンスパン信仰」脱し資産価格上昇注視へ

世界の中央銀行総裁は、この10 年間で2回の投機的バブルと大恐慌以来最悪の金融危機を招いた政策 の誤りを繰り返さないため、資産価格の上昇加速に一段の注意を払っ ている。

1カ月前に、資産価格が「恐らく過度に」上昇していると警告を 発したノルウェー中央銀行のゲドレム総裁は、28日に利上げを実施す る構えだ。オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)のスティー ブンス総裁は3週間前に利上げを実施した際、不動産価格の上昇を理 由に挙げた。

バーナンキ議長率いる米連邦準備制度理事会(FRB)当局者は、 実質ゼロ金利が今後市場の混乱につながらないよう努めながら、資産 価格の最近の上昇と信用スプレッドの縮小が正当化できるかどうか検 討している。

こうした中銀のアプローチは、金融政策と規制を策定する際に、 中銀がインフレ重視から視野を拡大し、資産価格に従来よりも多くの 注意を払う時代の到来を告げている可能性がある。米モルガン・スタ ンレーはこれを「新時代」と呼ぶ。

このシフトは、先頭を切って利上げに動くノルウェーとオースト ラリアの通貨を購入する理由となるが、イグニス・アセット・マネジ メントのファンドマネジャー、スチュアート・トムソン氏は、株や商 品相場の上昇に投資することに投資家は懐疑的であるべきだと述べて いる。

神経をとがらす中銀

国際決済銀行(BIS)の金融経済部門責任者、スティーブン・ チェケッティ氏はブルームバーグのロンドンオフィスでインタビュー に応じ、「資産価格と株価がブームの様相を呈し始めるなか」、中銀は 「神経をとがらせるだろう」と指摘。「中銀は価格急上昇への懸念をよ り一層強めるだろうし、そうした傾向は世界中で見られることになろ う」との見方を示した。

資産価格の上昇抑制では、低金利と規制の緩さがハイテク株や住 宅市場のバブルにつながった失敗を繰り返さないことが目的となる。 国際通貨基金(IMF)によれば、世界的に経済成長が加速し、市場 過熱の危険性が高まるなか、対応措置の是非と時期の決定がますます 重要となっている。IMFは1日に公表した世界経済見通しで、中銀 は「資産価格の動きを促している要因を調べ、行動に備えるべきだ」 と指摘した。

過去最低水準の政策金利などを背景に、世界の株式市場の時価総 額は3月9日に付けた今年最安値から76%増加し45兆1000億ドルに 達した。原油相場は21日、この1年で初めて1バレル=80ドル台に 乗せ、金は14日に過去最高値の1オンス当たり1072ドルを記録した。

ロンドンの住宅の平均売却希望価格は41万6157ポンド(約6230 万円)と前月比6.5%値上がりし、2002年の統計記録開始以来で最大 の上昇となった。米ニューヨーク大学のヌリエル・ルービニ教授は、 「われわれは、次の金融不安定化の循環に向けた素地を作っているの かもしれない」と述べている。

グリーンスパン前FRB議長は、07年12月まで6年続いた好景 気の間、資産価格に干渉しない方針を採った。同氏はバブルを特定よ りもバブル破裂後の後始末の方が容易だと述べ、金融政策にはバブル をしぼませるほどの切れ味はないと主張した。

グリーンスパン氏は08年1月のインタビューで、資産バブルを未 然に防ぐための利上げの是非について、「コンピューターモデル以外に それが有効であることを示す証拠はない」と述べた。同氏は、FRB が1994-95年にフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を6%に 引き上げた際も、米株式相場は横ばいになっただけで、その後再び上 昇したと語った。

サブプライムを醸成

グリーンスパン氏の下、FRBは同誘導目標を03年6月から1年 間1%に据え置いた後、利上げを緩やかに進めた。その結果、インサ イド・モーゲージ・ファイナンス(メリーランド州)の推定によれば、 サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)の組成が03 年の3100億ドルから06年には6000億ドルに増加する環境を作り出す こととなった。

イスラエル銀行(中銀)のフィッシャー総裁は8月21日、今の問 題は「政策金利を資産価格ないし、より全般的な金融情勢に対応させ るべきかどうか」であり、「対応させるべきだとの強い賛成論がある」 と指摘した。

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