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【今週の債券】堅調か、日銀の物価下落見通し-増発懸念は徐々に緩和

今週の債券相場は堅調(利回りは 低下)となりそう。日本銀行による物価見通しが2011年度までマイナ スになる可能性が高く、足元で債券買いに慎重な投資家心理が徐々に改 善するとみられる。新発10年国債利回りでみて2カ月ぶりの高水準で は買いが優勢となりそうだ。

大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥国内債券運用第2グループリーダ ーは、国債増発への不安があっても国内勢が金利上昇に追随して売り込 む展開は想定しづらいと分析。「直近3週間の相場下落に伴い日柄調整 もそろそろ終盤にかかっており、10年債利回り1.4%を背にして、相場 反発のタイミングを探る」とみている。

今週の新発10年債利回りの推移について、23日夕方までに市場参 加者4人に聞いたところ、全体の予想レンジは1.30%から1.41%だっ た。前週は国債増発に伴う需給悪化懸念が広がったため、10年債利回 りは19日の1.33%をボトムに週間を通してじり高となり、23日には8 月14日以来の高水準となる1.37%をつける場面があった。

前週半ば以降には、投資家の打診的な買いが入り始めたものの、海 外勢からとみられる売りで金利低下に転じるには至らなかった。シティ グループ証券の佐野一彦チーフストラテジストは、国内勢の買いで需給 が均衡し始めたところに新たな売り手が登場した格好だという。

しかし、余剰資金を抱える投資家が安全資産の債券に資金を振り向 ける構図は変わらないとみられ、買いのタイミングをうかがっている状 況のようだ。シティグループ証の佐野氏は、「一段と利回りが上がれば 買いが待っており、売り手は買い戻しを余儀なくされる」と予想する。

週末の日銀イベントに注目

日銀関連のイベントが注目される。日銀が30日に公表する経済物 価情勢の展望(展望リポート)では、全国消費者物価指数(除く生鮮食 品、コアCPI)の見通しが11年度もマイナスとなる可能性が高い。 物価下落見通しについては市場で想定済みとの指摘もあるが、中央三井 信託銀行総合資金部の関一也次長は、「余剰資金を抱えて押し目買いを 狙う投資家の背中を押す材料となることも考えられる」とみている。

一方、日銀は30日に開催する金融政策決定会合で、年末に期限を 迎える企業金融支援特別オペの打ち切りを決めるとの観測もある。

週末には経済指標の発表が相次ぐ。9月の全国コアCPIは前年比 マイナス幅が縮小する見通しだが、バークレイズ・キャピタル証券の森 田京平チーフエコノミストは、コアCPIのマイナス幅は11年7-9 月期まで解消されないといい、「日銀の次の利上げはどんなに早くても 11年10-12月期となる」と読む。このほかの9月の指標では、鉱工業 生産指数が7カ月連続で前月比プラス、失業率は2カ月ぶりに悪化に転 じる見込みだ。

国債増発懸念は徐々に緩和か

国債増発への不透明感が強いなかで投資家がにわかに慎重姿勢を変 えるとは考えにくいが、こうした懸念は徐々に緩和していくとの指摘も ある。DIAMアセットマネジメントの山崎信人エグゼクティブファン ドマネジャーは、「金利を見通すうえで厄介なのはどのくらい発行が増 えるか分からない時だ」としたうえで、発行規模が明らかになるに伴っ て安心感からの買いがにじみ出てくるとみている。

前週には藤井裕久財務相が2009年度の国債発行額は50兆円超とな る可能性を示唆したほか、10年度については今年度補正後の44兆円以 下に抑制する意向を表明した。

市場参加者の予想レンジとコメント

10月23日夕までに集計した市場参加者の予想レンジは以下の通 り。先物は中心限月12月物、新発10年国債利回りは304回債。

◎損保ジャパン債券運用第1グループの砺波政明リーダー

先物12月物137円90銭-139円10銭

新発10年債利回り=1.30%-1.39%

「日銀の展望リポートに注目。コアCPIの予測は11年度も低下 との見方が多く、利上げしないとのコミットメントはないが時間軸が延 びる。10年債は1.4%が意識されて1.39%で止まるとみている。一方、 企業金融支援策でCP、社債の買い入れはいずれ止めるだろう。企業金 融支援特別オペはどうなるか分からない状況だが継続すると思う」

◎みずほインベスターズ証券の落合昂二シニアマーケットエコノミスト

先物12月物137円90銭-138円80銭

新発10年債利回り=1.32%-1.40%

「10年債は1.3%台後半での推移か。先週は今年度の国債発行額が 50兆円規模に膨らむとの憶測が広がり、市場があらためてこの金額の 大きさに驚いたもようであり、引き続き国債増発の行方を見守る展開。 また、国債大量発行に伴って財政規律が弱まるとの見通しが、為替市場 における円安の一因でとなりつつあることへの警戒感もくすぶる」

◎大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥国内債券運用第2グループリーダー

先物12月物137円80銭-138円70銭

新発10年債利回り=1.32%-1.40%

「長期金利の上昇余地は限定的。国債の増発規模は確かに大きくな る見通しだが、概要が見えてくるに連れて市場の警戒感も和らいでいく のではないか。超長期ゾーンが生保の買いターゲットに到達したほか、 5年債の0.6%台後半や10年債の1.4%手前で押し目買いが確認できれ ば、先物には海外勢などの売り方から買い戻しが入る」

◎みずほ証券の三浦哲也チーフマーケットアナリスト

先物12月物137円75銭-138円90銭

新発10年債利回り=1.32%-1.41%

「相場は先物主導の軟調地合いが続きそう。株価が決算発表を踏ま えて、これまでの慎重スタンスの反動で上昇しそうなほか、コアCPI のマイナス見通しは織り込み済み。財政支出の拡大も懸念される中で、 デュレーション(平均残存期間)を長期化する買いが積極化するとは考 えにくい。投資家の押し目買いは続かないのではないか」

--取材協力:池田祐美 Editors:Hidenori Yamanaka,Kenzo Taniai

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