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CPと社債購入の停止を議論、物価は3年連続マイナスへ-30日に日銀

【記者:日高正裕】

10月26日(ブルームバーグ):日銀は30日の金融政策決定会合で 経済・物価情勢の展望(展望リポート)を策定し、消費者物価指数が 2011年度まで3年連続でマイナスになるとの見通しを示す見込み。ま た、コマーシャルペーパー(CP)買い入れなど年内に期限が来る企 業金融支援措置の取り扱いを議論し、早ければ今会合で結論を下す。

白川方明総裁は14日の会合後の会見で、CPと社債の市場が「政 策に支えられている面は後退しているとの判断に変わりはない」と言 明。同日の会合で買い入れ停止を決めなかった点について「その部分 だけを発表すると、全体として日銀が考えていることが正確に伝わら ない恐れがある。経済、金融環境と金融政策、さまざまな時限措置を 包括的に点検し、できるだけ誤解のない形で発表したい」と語った。

経済、物価情勢と金融政策を包括的に議論し、分析するのが半年 に1度の展望リポート。日銀は今回初めて2011年度までの見通しを公 表するが、ブルームバーグ・ニュースが既に報じたように、消費者物 価指数(除く生鮮食品、コアCPI)前年比上昇率は、09年度から3 年連続マイナスという見通しが示される公算が大きい。

西村清彦副総裁は21日の講演で「昨年秋以降の急激な景気の落ち 込みを反映し、需給バランスが大きく緩んだと考えられ、その改善テ ンポは緩慢とみられるため、前年比でみた物価下落が相応の期間続く 可能性が高い」と語った。エコノミスト16人の見通しは、大勢の見通 しがマイナス0.7%-マイナス0.2%、中心値はマイナス0.5%。

16人中11人が今会合での決定を予想

東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは「展望リポートで景 気は上振れリスクよりも下振れリスクの方が強いことをあらためて示 し、11年度までCPIがマイナスと予想されることを提示するだろ う」と指摘。その結果、現在の超低金利の継続を約束する「事実上の 時間軸効果を強く市場に与えることになると思われる」という。

企業金融支援のための時限措置の取り扱いについては、エコノミ スト16人中11人が今回の会合で決定されると予想しており、その全 員がCPと社債の買い入れは年内で停止されると見込んでいる。日銀 にとって今会合で決定する最大のメリットは、白川総裁が14日の会見 で語ったように、展望リポートで経済、物価情勢の見通しと併せて、 企業金融支援の時限措置についても包括的に説明が可能な点だ。

JPモルガン証券の菅野雅明調査部長は「30日にはCPと社債の 買い入れ停止が決定されるだろう」と予想する。問題は「市場が日銀 の利上げを織り込み始める可能性」だが、「デフレが続く状況からみて 10年度に利上げする可能性は極めて小さい」と指摘。日銀は「11年度 コアCPI見通しがマイナスであることを強調し、市場に対し利上げ は『まだまだ先』であることを印象付けるだろう」とみる。

白川総裁は特別オペ停止にも意欲的

野村証券の松沢中チーフストラテジストも「日銀執行部は時限措 置の停止に向けた地ならしを進めており、次回30日の会合で決定する だろう。あえて30日の会合で決定するのは、慎重な景気・物価見通し の提示と、デフレ対策としての低金利継続へのコミットを同時に示す ためだろう」と推測する。

市場が注目しているのは、企業債務を担保に0.1%で無制限に資 金供給を行う企業金融支援特別オペの行方だ。白川総裁は14日の会見 で、同オペが「特定資産の市場取引に歪み」をもたらしていることに 加え、通常の資金供給手段である「共通担保資金供給オペとの差は小 さい」と述べ、終了または見直しを行う可能性を示唆した。

ただ、19日公表された9月16、17日の会合議事要旨で、何人か の委員が「景気の先行きをめぐる不確実性が大きい中で、将来の資金 繰りに対する企業の不安感は十分払拭(ふっしょく)されていない」 と述べるなど、企業金融支援策の全廃には慎重論があるのも事実。エ コノミストの間でも、特別オペの停止に対しては半信半疑の声が多い。

11月に先送りの見方も

日興コーディアル証券の岩下真理チーフマーケットエコノミスト は、企業金融支援特別オペという名称がその効果以上に過度な期待を 与えており、共通担保オペとの技術的な相違点も理解されにくいと指 摘。「日銀が政府への説明に苦労している印象」があるとし、CP、社 債買い入れ終了と特別オペの3月までの延長が落としどころ、とみる。

一方、決定は11月会合まで先送りされるとの見方もある。三菱U FJ証券の石井純チーフ債券ストラテジストは「30日は1日だけの開 催で、かつ主要議題は展望リポートの取りまとめなので、検討時間を 確保しにくい」と指摘する。モルガン・スタンレー証券の佐藤健裕チ ーフエコノミストも「政策委員会の合意形成が困難」で、決定が先送 りとなる可能性があるとみている。 ============================================================ ◎見通しは次の通り(対前年度比、%。は見通しの中央値)

                      【エコノミストの大勢見通し】
                   実質GDP          コアCPI
【2009年度】     -3.5~-2.5          -1.7~-1.5
                                  
7月時点の見通し  -3.7~-3.0           -1.5~-1.2
                                   
【2010年度】     +0.8~+2.0          -1.7~-0.8
                                  
7月時点の見通し  +0.6~+1.1           -1.2~-0.7
                                   
【2011年度】     +1.0~+1.6           -0.7~-0.2
                                  
                 【エコノミストの全員の見通し】
                   実質GDP          コアCPI
【2009年度】     -3.6~-2.3          -1.8~-1.4
7月時点の見通し  -3.8~-3.0           -1.6~-1.2
【2010年度】     +0.4~+2.2          -1.8~-0.7
7月時点の見通し  +0.5~+1.5           -1.2~-0.6
【2011年度】     +0.9~+1.9          -1.0~-0.1

(注1)見通しはエコノミスト自身の予想、7月時点の見通しは日銀 (注2)「大勢見通し」は見通しから上下1個ずつ除いたもの ============================================================ 利下げ予想時期は次の通り(敬称略)

【2009年10-12月】モルガン・スタンレー証券の佐藤健裕チーフエ コノミスト ============================================================= 利上げ予想時期は次の通り(敬称略)

【2010年10-12月】信州大学真壁昭夫教授

【2011年1-3月】第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミスト、 モルガン・スタンレー証券の佐藤健裕チーフエコノミスト

【2011年4-6月】日興コーディアル証券の岩下真理チーフマーケッ トエコノミスト、JPモルガン証券の菅野雅明調査部長、大和総研田 谷禎三特別理事

【2011年7-9月】みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミ スト、野村証券の松沢中チーフストラテジスト、シティグループ証券 の村嶋帰一チーフエコノミスト

【2011年10-12月以降】三菱UFJ証券の石井純チーフ債券ストラ テジスト、東短リサーチの加藤出チーフエコノミスト、BNPパリバ 証券の河野龍太郎チーフエコノミスト、HSBC証券の白石誠司チー フエコノミスト、クレディスイス証券の白川浩道チーフエコノミスト、 バークレイズ・キャピタル証券の森田長太郎チーフストラテジスト、 ゴールドマン・サックス証券の山川哲史チーフエコノミスト ============================================================= 無担保コール翌日物金利の予想は以下の通り(敬称略50音順)*T

09 10 10 10 10 11 11 11

12末 3末 6末 9末 12末 3末 6末 9末 ------------------------------------------------------------- 調査機関 16 16 16 16 16 16 16 16

中央値 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.25

最高 0.10 0.10 0.10 0.10 0.30 0.30 0.30 0.50

最低 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.10 0.10 0.10 ------------------------------------------------------------- 三菱UFJ 石井 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 日興コーディアル岩下 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.30 0.30 みずほ証 上野 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.50 東短リサーチ 加藤 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 JPモルガン証 菅野 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.25 0.25 第一生命経研 熊野 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.25 0.25 0.50 BNPパリバ証 河野 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 モルガンS証 佐藤 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.25 0.25 0.25 HSBC証 白石 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 クレディS証 白川 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 大和総研 田谷 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.25 0.25 信州大 真壁 0.10 0.10 0.10 0.10 0.30 0.30 0.30 0.50 野村証 松沢 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 シティG証 村嶋 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.30 バークレイズC証 森田 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 ゴールドマンS証 山川 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 *T

アンケート回答期限は22日午前8時。「日銀サーベイ」金利予想、 経済・物価情勢、金融政策の展望コメントを26日朝に送信しています。

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