米NJ州:ゴールドマンに毎月100万ドル-スワップ契約の「落とし穴」
Dunstan McNichol米ニュージャージー州は、 ゴールドマン・サックス・グループが運営する合名会社に、毎月 約100万ドル(約9200万円)を支払っている。州の借り入れに ついて金利上昇の影響を回避するための料金なのだが、この債務 は1年以上前に返済しており、「存在しない」債券に関連して料 金を支払っていることになる。
マッグリービー前知事時代の2003年に、同州の交通信託基 金は3億4500万ドルの入札方式証券(ARS)を発行した。A RSの利払いは短期金利の動向に沿って変動するため、州当局は 金利上昇に備えスワップ契約を購入した。
ニュージャージー州は08年に、ARS市場が凍結状態にな ったことからこのARSを償還し、固定利付債で借り換えた。し かし、変動金利を固定金利に取り替えるスワップ契約は19年ま でとなっている。
米地方債規則制定委員会(MSRB)の元執行役員、クリス トファー・テーラー氏は「金利スワップ契約のリスクを示す事例 だ」として、「交通信託基金のように十分に知識のある投資家で さえ、愚かな行動を取ってしまうことがあることを世界中が認識 すると良い」と話す。
州はこの契約に基づいて先月、94万ドルを支払った。AR Sを償還した後の支払い総額は1140万ドルになっている。この 間に借り入れは上限に達し、税収減に悩むコーザイン現知事(ゴ ールドマン出身)は4億ドルの歳出削減を図っている。
短期金利が予想に反して低下したことから、スワップ契約の 解消のために数億ドルを支払う自治体や大学が全米で出ている。 ハーバード大学は先週、契約解消のために複数の投資銀行に計4 億9760万ドル を支払ったことを明らかにした。
ニュージャージー州ではスワップ契約のおかげで、問題の3 億4500万ドルの債務の利払い費用は合計で7.8%と、交通信託 基金が設立された1985年以来で最高になっているという。