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【日本株週間展望】世界と比べ出遅れ続く、政治懸念強い-決算は期待

10月第4週(26-30日)の日本 株相場は、上値を追う世界の株式市場に対し出遅れ状態が続きそう。国 内政治の不透明感が根強く、日本に対する評価低下で積極的な資金流入 は期待薄だ。ただ、発表が本格化する4-9月期の企業決算は輸出や素 材株中心に好調とみられ、円安とともに相場の浮揚力となる。

楽天投信投資顧問の大島和隆CEO(最高経営責任者)は、米中の 順調な景気を見越して内需株から外需株へと資金がシフトしてきたが、 「NT倍率(日経平均をTOPIXで割る)の拡大を考えると、さらに 外需株を買うのは難しくなってきた」と指摘。政治リスクも意識され、 「上値追いには慎重にならざるを得ない」と話している。

第3週の日経平均株価はもみ合い色が強く、結局前週末比0.2%高 の1万282円で終えた。8月26日に付けた終値ベースの年初来高値1 万639円を視野に入れているものの、国内の景気不安は根強く、投資 家は上値追いには慎重だ。海外では米ダウ工業株30種平均が19日に 年初来高値を更新、中国CSI300指数が年初来で90%上昇するなど 3月安値から急速に戻しており、日本株の鈍さが目立つ。

髙木証券・金融商品部株式課の菊池重夫次長は、「民主党新政権の 政策不透明感がマーケットの不安材料だ。日本郵政の社長人事や国債増 発はマイナスにとらえられており、上値が重い展開が続く」と見る。 26日には臨時国会が召集され、鳩山由紀夫首相が所信表明演説を行う。 これから民主党の新しい政策が具体化していくが、企業よりも消費者寄 りの政策が多く、金融市場では好感されにくい側面がある。

NT倍率が示す内需の低調

NT倍率は23日現在で11.4倍と、日経平均の大幅な銘柄入れ替え が行われた2000年4月以来の高水準。市場全体の値動きを示すTOP IXが日経平均ほど上昇しておらず、日経平均を構成するハイテクなど 一部銘柄が買われているに過ぎないことを示す。

東証1部の業種別指数の年初来騰落率ランキングを見ると、上昇率 上位には非鉄金属や輸送用機器、ガラス・土石製品、精密機器などの素 材、輸出関連株が並び、下落上位は日本航空の急落による空運や銀行、 保険、電気・ガスなど内需関連。相場全体の上昇には内需関連株が買わ れる必要があるが、雇用や所得に対する不安がぬぐえず、個人消費の先 行き懸念は強い。事業環境が厳しいなかでは投資しにくいのが実情だ。

一方、発表が本格化する4-9月期決算は相場に良い影響を与える 可能性がある。10月に入り、決算発表前に業績予想を修正する企業が 増えており、下方修正よりも上方修正が目立つ。

上方修正の勢い4年ぶり

新光総合研究所によると、東証1部上場銘柄の企業業績モメンタム を表すリビジョン・インデックスは21日現在12.1%と、月次ベースで は2005年10月以来、4年ぶりの10%超えとなった。なかでも、製造 業の素材業種の改善が目覚ましい。リビジョン・インデックスは上方修 正回数と下方修正回数の差を示したもの。

東海東京調査センターの隅谷俊夫投資調査部長は、第1四半期(4 -6月)決算発表時と同様、「もともと事前期待が乏しいだけに、好決 算には素直に反応するだろう。これを機に相場全体も堅調な動きになる とみたい」としている。

26日に発表を予定しているのはJFEホールディングスや信越化 学工業、27日はホンダやキヤノンのほか、日本郵船をはじめとする海 運大手、28日は東京ガス、富士通、野村ホールディングスにJR3社。 29日はNEC、シャープ、新日本製鉄など鉄鋼大手、ソフトバンク、 コマツ、任天堂。30日はソニー、パナソニック、東芝、武田薬品工業、 NTTドコモ、大手商社、三菱地所、三菱重工業と、日本を代表する企 業が次々と発表する。

ホンダは9日、ハイブリッド車「インサイト」やコンパクトカー 「フリード」の販売好調を踏まえ、2009年度の国内四輪車小売台数計 画を前年度比13%増の65万5000台と、従来の1.4%減から大きく上 方修正した。同社は4-9月期の連結営業損益を100億円の赤字と計 画しているが、伊東孝紳社長は1日に、「予定よりは上向いている」と 発言しており、計画を上回る数字が示されるとの見方が大勢だ。

円高修正も追い風

ここにきて、為替相場で急激な円高が修正されていることも外需関 連株の収益に追い風となる。米企業の好決算を受けた米株高とそれに連 動して新興国株も上昇したことで、投資家のリスク許容度が高まり、比 較的金利の高い通貨に対し低金利の円が売られやすくなっている。

10月7日に1ドル=88円割れ目前まで円高が進んだドル・円レー トは、23日現在91円台後半までドルが戻している。日本銀行が1日に 発表した2009年度下期の輸出企業の想定為替レートである94円8銭 よりもまだ円高水準だが、輸出採算の悪化懸念が和らいできた。

バークレイズ・キャピタル証券の高橋文行クオンティテイティブ・ ストラテジストは21日付の投資メモで、「内需関連では成長期待が持 てる業種がなかなか見つからず、当面は外需頼みの業績回復に期待が高 まる」との見方を示す。その上で、「リーマンショック後の世界景気の 回復はスローペースで進むと予想され、今後は外需関連セクター内でも 利益モメンタムの強さにばらつきが生じるだろう」と予測した。

決算発表以外の材料は、国内では29日に9月の鉱工業生産指数、 30日に9月の完全失業率と家計調査、消費者物価指数が発表予定。海 外では27日に10月の米消費者信頼感指数、28日に9月の米耐久財受 注と新築住宅販売件数、29日に7-9月期の米国内総生産(GDP) と10月のユーロ圏景況感指数が予定されている。

【市場関係者の当面の日本株相場の見方】
●日興コーディアル証券の大西史一シニアストラテジスト
 「国内企業の決算発表が本格化するため、個別企業の業績を見ながら
一喜一憂の展開になるだろう。しかしながら、民主党政権の政策不透明
感など日本独自の要因で日本株は世界に出遅れており、上値の重い状態
は変わらない。ただ、思った以上に海外の株式相場は強い。米株などが
上昇を続ければ世界的な景気回復期待が高まり、日本株もじりじりと下
値を切り上げる展開になる可能性はある」

●SMBCフレンド証券投資情報部・中西文行ストラテジスト
 「日経平均は解散総選挙前の1万600円付近を目指すと予想。決算
発表が相次ぐが、市場では上方修正期待が強い。米GDPが5四半期ぶ
りにプラス転換すればドル高・円安が一層進む可能性もある。外国人が
継続的に買っている状況もあり、円安と米ハイテク企業の好決算から電
機、自動車、ハイブリッド、太陽電池などに関心が集まるだろう」

●水戸証券の吉井豊・投資情報部長
 「決算発表が本格化し、個別業績に左右されるだろう。これまで上期
業績予想を修正した企業では、売上高が計画に届かないものの、コスト
削減で会社計画を上回る利益を出したのが目立つ。今後、売上高が増え
れば利益がさらに伸びやすくなる。一方、民主党の政策運営は目が離せ
ない。10年度予算の削減を目指すものの、国債増発も考えられ、金利
動向にも着目せざるを得ない」

--共同取材 常冨 浩太郎、浅野 文重、吉川淳子

Editor:Shintaro Inkyo、Makiko Asai

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