【コラム】大き過ぎてつぶせない銀行の規制、遅れは危険-ライリー

米銀JPモルガン・チェースの ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)が、「大き過ぎてつ ぶせない(ツー・ビッグ・トゥ・フェイル)存在になるまで銀行を放 置したことは、長期的に極めてまずい失政だった」と語ったことは驚 きだった。

ダイモン氏自身、「ツー・ビッグ・トゥ・フェイル」に属する最 大級規模の銀行の一つを経営している。「銀行の規模を縮小させるべ きだと言っているわけではない。われわれが大きいのは、その理由が あるからだ」と直ちに付け加えたため、言いたい意味がはっきりした。

結局、ダイモン氏が先週ニューヨークで開かれた「クリントン・ グローバル・イニシアチブ」会議で講演した際に言いたかったことは、 問題を起こすような大き過ぎてつぶせない企業の取り扱い方を政府は 見つける必要がある、ということだ。同氏は大規模な銀行の分割やそ の活動の抑制につながるような政府の動きを支持しているわけではな い。

金融規制改革への取り組みが結果を出すのに時間がかかっている のには理由がある。金融システム上、リスクの高い企業の監督権限を めぐる問題が強調されていることが、こうした企業を現在の状態のま までどのように取り扱うかについての賢明な方法を見つける妨げにな っているためだ。

オバマ政権はこうした状況を打破する必要がある。そうしなけれ ば、改革をめぐる議論は次の危機が起こるまで延々と続く可能性があ る。その間、大き過ぎてつぶせない金融機関が地歩を固め、取り扱い がさらに難しくなる恐れがある。

規制の導入

オバマ政権が規制改革の焦点をはっきりさせるには、どうすれば いいだろうか。破たんの危機にある金融機関の管理方法について議会 が取り組む間も、ホワイトハウスは、最も規模の大きい金融機関に規 制を加える具体的な策を取るべきだ。

一つのアプローチは、銀行経営の改革について米財務省が掲げた 提案を一部採用し、最大級規模の銀行に限定して試験的に適用するこ とだ。これには、自己資本規制の強化、使用可能な借入金の額に上限 を設けること、事業運営のための資金調達の種類をより綿密に調べる ことなどが含まれる。

すべての銀行に適用するために法成立を待つことなく、政府は規 制プロセスを通じて、こうした変更を実施することが可能だ。そうす ることは多角的な恩恵をもたらす。一つは、JPモルガン、バンク・ オブ・アメリカ(BOA)、シティグループ、ウェルズ・ファーゴ、 ゴールドマン・サックス・グループ、モルガン・スタンレーなどの大 手金融機関を服従させるスタートラインにつくことにつながる。これ ら金融機関が、金融システムにとって重要な企業であることの損得を 自覚するようになるかもしれない。

こうした試験プログラムは、金融規制改革の詳細をめぐる国際的 な対立を回避することも可能だ。

遅れは危険

国際的な合意に向けたプロセスは長引く恐れがあるが、そうした 危険性は米議会にも潜んでいる。議員らは金融改革法案を年末までに まとめることを目指しているが、実現する可能性は小さい。

大き過ぎてつぶせない金融機関の監督方法について、議会では十 数回の公聴会を経た後でも進展がない。消費者金融保護庁を創設する 構想に加え、システミックリスク回避のための最善の監督体制をいか に構築するかといった問題も、大きな争点の一つだ。

こうした状況を踏まえると、オバマ政権は直接的な行動を起こし、 最大級規模の金融機関にそれを適用すべきだろう。財務省の提案は、 よい出発点となる。

ボルカー氏の証言

ボルカー元米連邦準備制度理事会(FRB)議長は先週の議会証 言で、銀行当局には「トレーディング活動の拡大の増加につれて資本 規制を厳しくする権限」がすでにあると指摘した。

どの大手金融機関もこうした動きを歓迎しないだろう。しかしそ れこそ、これら金融機関の規制方法を策定するプロセスを長引かせて はならない理由だ。これら金融機関の退場に備えるだけではなく、い かに共存するかにも焦点を絞る必要がそこにある。(デービッド・ラ イリー)

(ライリー氏はブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。 コラムの内容は同氏自身の見解です)

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