プロッサー総裁:FRBは積極的なインフレ回避策が必要に

米フィラデルフィア連銀のプロッ サー総裁は29日、1970年代のような高インフレの再来を回避する必 要が出てきた時には、米連邦準備制度理事会(FRB)は「直ちに」 金融引き締めを実施すべきだとの認識を示した。

同総裁はペンシルベニア州での講演で、「金融当局が信頼されるか どうかはその点にかかっている」とし、「われわれはその必要が生じた 時、直ちにそして恐らく積極的に行動しなければ大幅にインフレ が加速し、それに伴って信頼を失い、経済に負担がかかることを承知 している」と述べた。どの程度迅速に行動に出るかを決断することは 「わたしの優先事項の中でも上位にある」と語った。

連邦公開市場委員会(FOMC)は今月23日、全会一致でフェデ ラルファンド(FF)金利の誘導目標をゼロから0.25%の範囲に維持 すると決定。政策金利は「長期にわたり」異例な低水準にとどまると の見通しを示した。

プロッサー総裁は、金融当局は「次の大幅なインフレ加速を回避 するために必要な手段を講じる」必要があると指摘。「失業率や資源の 稼働率を示す他の指標が許容可能な水準に戻るかなり前に」行動する 必要があるかもしれないと述べた。同総裁は今年、FOMCでの議決 権を持たない。

また、現在の経済情勢は「1970年代半ばの状態と不気味に類似し ている」と指摘した。同総裁は、金融当局者の中で最もタカ派(物価 重視派)とされる。

講演後、記者団からの質問に答えて同総裁は、金融当局は緩和局 面と同様に、0.50-0.75ポイントの幅での利上げを迫られる可能性に 「備える必要がある」と語り、「それは状況次第だ」と付け加えた。

1980年の高インフレに対応するため、79年に就任したボルカー 元FRB議長は、FF金利の誘導目標を最高で20%に引き上げた。消 費者物価指数(CPI)の前年比上昇率で測るインフレ率は、80年に

14.8%と86年の4.9%から大幅に上昇していた。プロッサー総裁は、 インフレ退治と信頼回復に向け、金融当局は81-82年のリセッション (景気後退)という形で「法外な」代償を支払ったと説明した。

同総裁は講演後の質疑応答で、ドルについて「時折表現されるほ ど弱くはない」としながらも、現在ドルは弱いとの認識を明らかにし た。また、ドルが早期に世界の準備通貨としての地位を失うことはな いだろうとの見通しを示した。

米経済見通し

米経済については、「危機を脱しつつある兆しがあり、プラス成長 に戻るとの見込みが膨らんできている」とし、今年7-12月(下期) の成長率はフィラデルフィア連銀調査の結果(2.3%)に近い水準が見 込まれると語った。同総裁は、2010年には成長率は約3%に加速し、 11年には長期的な潜在成長率である2.7%内外の水準に落ち着く」と 予想した。

一方、失業率は8月の9.7%から、「若干長期にわたり上昇が続く」 とし、失業率は遅行指標だとして、低下は景気回復が始まって十分時 間がたってからとの見通しを明らかにした。

プロッサー総裁は、インフレ見通しは「引き続き落ち着いている」 と語り、短期的にはインフレリスクはほとんど見られないと述べた。 ただ同時に、当局による極めて景気刺激的な金融政策に伴い、「中・長 期的にはインフレ加速のリスクが高まっている」と説明。記者団に対 し、インフレ率は10年下期に高まってくる可能性があるため「注視し ている」と語った上で、「短期的には懸念していない」と強調した。

また、経済面でのたるみ(スラック)がインフレ予測の上で信頼 できる指標になるとの考えについて、他の多くのエコノミストほどは 重視していないと語った。

プロッサー総裁は、見通し改善をもたらしている重要な要素の1 つは住宅市場で、販売や着工件数が過去半年に増加してきていること だと述べた。

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