アドテスト社長:受注、10-12月は11四半期ぶり前年比増へ

メモリー用半導体検査装置(テス ター)メーカー世界最大手、アドバンテストは検査装置の受注について 10-12月期に前年同期比で11四半期ぶりの増加を見込んでいる。韓国 や台湾でメモリーテスターの受注が回復していることが背景。松野晴夫 社長は29日、ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで「10-12 月期の受注は116億円から180億円の間」と述べ、前年同期の89億円 から大きく反転することを明らかにした。

松野社長は、受注環境はメモリーだけでなくLCD(液晶表示装 置)ドライバー用などのノンメモリー分野も一週間ごとに改善している とし、「商談がわいてきて受注につながるという動きからすると回復基 調になっている」と語り、受注の低迷という「トンネルの終わりは近 い」と述べた。

日本半導体製造装置協会(SEAJ)が18日に発表した8月の日 本製半導体製造装置のBBレシオ(3カ月平均)は1.44と5カ月連続 で上昇している。世界同時不況の影響などで受注の大幅減に見舞われて いたアドバンテストも半導体業界の回復トレンドを受けて、業績回復に 向けた明るい兆しが示された形だ。

JPモルガンの森山久史アナリストは、「アドバンテストはサムス ン電子を中心とする微細化投資の恩恵を受けていて、松野社長のトーン も上がってきているのではないか」と分析し、「1-3月期での黒字転 換の可能性が出てきた」と話した。

長期低迷していた受注

アドバンテストの受注高は、2007年4-6月期から9四半期連続 で前年同期比マイナスが続き7-9月期もマイナスとなる見通し。07 年1-3月期に698億円あった受注高は、09年1-3月期には49億円 まで落ち込み、4-6月期も116億円にとどまっていた。

07年にマイクロソフトの新基本ソフト(OS)「ウィンドウズ・ ビスタ」の発売に伴う需要をメーカー各社が過大評価。メモリーの供給 過剰状態が起き、さらに世界経済危機の追い討ちで、DRAM(記憶保 持動作が必要な時書き込み読み出しメモリー)価格は07年初から08年 末にかけて10分の1以下に下落した。

今年に入ってからドイツのDRAM大手キマンダが経営破たんした ほか、台湾では政府によってDRAMメーカー6社を統合した台湾メモ リー(TMC)が設立された。TMCはエルピーダメモリへの出資も予 定するなど、業界全体で大きな再編が続き設備投資が見送られてきた。

11年には半導体検査装置で世界シェア40%目指す

アドバンテストは09年3月期に純損益が749億円の赤字に転落。 松野社長は6月の就任以降、約3年間の社内構造改革を開始、製品のリ ースやレンタルに積極的に取り組むことで顧客の投資負担軽減を目指す ほかメモリー、ノンメモリーの両分野で高機能新製品や周辺機器を充実 させる。

松野社長は、改革によって11年にはメモリーとノンメモリーをあ わせた全テスター事業の世界シェアを現在の24%から「40%まで高め たい」と話した。

JPモルガンの森山氏は「メモリー投資がけん引する2010年から の市場回復局面は良くも悪くもメモリー市場依存度が高いアドバンテス トには好条件」と話し、メモリー検査装置を得意とするアドバンテスト のシェア向上は可能という見解を示した。

世界半導体市場統計(WSTS)では世界半導体市場について、10 年は前年比7.3%増と3年ぶりの成長を見込み11年も8.9%の成長を継 続するとみている。

利益の1-2割を新事業で

松野社長は、主力の半導体関連事業の波が大きいため、中長期的に 半導体への依存度を低めて収益の安定した会社への転換も目指す。医療、 食糧、エネルギー、環境分野で新事業創出を狙い、たんぱく質やセラミ ックなどの物質分析装置のような「既存ビジネスと全く関係ない事業の 種まき」にも力をいれる。

松野社長は、将来的に営業利益に占める新規事業の割合を「1-2 割まで高めたい」と話したが、具体的な年限については言及しなかった。

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