IMF:世界の金融機関評価損は3.4兆ドル-4月予想を15%引き下げ

国際通貨基金(IMF)は30日、 半期に一度の国際金融安定性報告書(GFSR)を公表し、世界の金 融機関の融資や投資での評価損見通しを前回予想より15%少ない3 兆4000億ドル(約305兆円)に引き下げた。信用市場の改善に加え、 景気回復の初期の兆候が表れたことを理由に挙げている。

IMFは4月のGFSRで年金基金や生命保険会社を含む金融機 関の来年末までの評価損見通しを4兆1000億ドルとしたが、その算 出方法への批判を受け、今回は新たな手法に基づく推計を示した。そ れによると、2009年7月-10年末に銀行が不良債権で抱える損失は、 ユーロ圏で4700億ドル、米国で4200億ドル、英国で1400億ドル それぞれ増加する見込み。

また、これまでに評価損1兆3000億ドルを計上した銀行のバラ ンスシート上にはなお1兆5000億ドル規模の不良債権が残っている 可能性があるとも指摘。これによって信用市場が正常に機能せず、来 年末にかけて景気回復を阻害する恐れがあるため、政策当局者は危機 再発を防ぐため注意を払い続ける必要があると訴えた。

GFSRは「未曾有の政策措置に加え、実体経済回復の初期の兆 候が表れたことで、システミックリスクは大幅に低下している」とし た上で、「信用の経路は今なお損なわれており、景気回復は緩慢となる 可能性がある」と指摘している。

IMFによると、銀行の不良債権の評価損は07年-10年末では 全世界で2兆8000億ドルに上る見通し。このうち米国は1兆ドル、 ユーロ圏は8140億ドル、英国は6040億ドルなどとなっている。

このほか、米消費者ローンについては「引き続き最も悪い分野」 とし、住宅・商業用不動産ローンの償却率は来年7-12月(下期)に 上昇すると予想した。またユーロ圏と英国については、「弱い経済活動 と失業増加が貸倒損失を拡大させる恐れがある」と指摘した。

IMFが4月に公表した評価損見通しは、地域的な差異を考慮に 入れておらず、欧州の一部から批判されていた。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE