今日の国内市況:株は反発、債券小動き-円が対ドル90円挟み

日本株相場は反発。為替相場で急 激な円高進行が一服したため、今年度下半期の業績悪化に対する過度の 警戒感が後退し、電機や自動車、精密機器などの輸出関連株が買い直さ れた。公募増資による1株価値希薄化への懸念で、直近急落していた野 村ホールディングスをはじめ証券株も高い。

日経平均株価の終値は前日比90円68銭(0.9%)高の1万100円 20銭。TOPIXは同1.16ポイント(0.1%)高の904.00。

TOPIXの上昇寄与度上位には電機、輸送用機器、精密機器など が入った。東京時間のドル・円相場は1ドル=90円台に入るなど、直 近の急激な円高が一服。米金融緩和の長期化や日本政府の円高容認観測 を背景に、前日午前は同88円24銭と8カ月ぶりの円高水準まで急伸し たが、藤井裕久財務相が「異常事態では、為替介入もあり得る」と発言 したと29日午前に時事通信などが報道し、円安方向への動きを見せた。

また、東証1部の業種別33指数の値上がり率1位は証券。野村ホ ールディングスは4%以上の上げで、10営業日ぶりの反発。売買代金 上位では野村HDのほか、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フ ィナンシャルグループなど、自己資本規制強化や増資に伴う1株価値希 薄化への懸念で、急落が目立っていた金融株の戻りが目立った。東証1 部の売買高は18億323万株。

上昇して終えたものの、相場の戻りは鈍かった。大阪証券取引所の 日経平均先物12月物は、前日のシカゴ先物市場(CME)の円建て清 算値1万205円に一度も届かず、日経平均現物も前日までの2日間の下 げ幅534円に対し、この日の戻りは90円にとどまった。東証1部の騰 落銘柄状況は、値下がり826と値上がりの719を上回り、全般的に軟調 な値動きの銘柄の多さから、TOPIXは午後に一時マイナスで推移す る場面もあった。

下げが目立ったのが、電気・ガスや情報・通信、食品、陸運などの ディフェンシブ銘柄。朝方発表された8月の全国の消費者物価指数(除 く生鮮食品、コアCPI)は、前年比の下落率が4カ月連続で過去最大 を更新しており、市場では内需不振の深刻化懸念がディフェンシブ売り につながっているとの指摘が聞かれた。

債券相場は小動き

債券相場は小動き。外国為替市場での円高一服や株価反発を手がか りに売りが先行したが、中間期末が接近するタイミングで取引は控えら れた。新発10年国債利回りは7月上旬以来の低水準をつけた後に前日 の終値付近でのもみ合いが続いた。

東京先物市場の中心限月12月物は、取引開始直後に前日比8銭安 い139円23銭まで反落した。その後は小幅プラス圏での推移が続き、 午後には一時139円39銭をつける場面もあったが、結局は6銭高の139 円37銭で引けた。日中売買高は1兆4350億円。

外国為替市場での円高進展が前日の債券高・株安につながっていた ため、この日は円相場が1ドル=90円台前半まで反落するなかで債券 売りが先行した。急激な円高一服や前日の米株相場の反発を手がかりに 日経平均株価が1万円台を回復したことも売り材料視された。

しかし、先物市場は取引開始後の売買が一巡すると動意が乏しくな り、日中はおおむね前日の終値を中心とした取引に終始した。

この日の朝方には消費者物価指数(CPI)が発表された。8月の 全国CPI(除く生鮮食品)は前年同月比2.4%低下となり、過去最大 の下落率を4カ月連続で更新したものの、事前の市場予想通りの水準に 決まったことから相場への影響は限定された。

現物市場で新発10年物の303回債は前日比0.5ベーシスポイント (bp)低い1.275%で始まり、新発10年債として7月9日の日中取引で つけた1.27%に接近した。その後は1.28-1.285%での小動きとなった。

株価が反発するなかでも長期債には買いが先行したため、現物市場 の需給関係は良好であると意識されていたが、一方で金利低下の余地は 限定的といった指摘もあった。

一方、この日に実施された2年国債の入札では事前予想通りに無難 な結果が示された。

財務省は午後零時45分に2年国債(285回債、10月債)の入札結 果を発表。最低落札価格99円93銭、平均落札価格は99円93銭4厘だ った。最低価格は市場予想通り99円93銭に決まり、最低と平均価格の 格差(テール)は前回債の7厘から4厘に縮小した。一方、応札倍率は 前回の2.94倍から2.49倍に低下した。

円弱含み、対ドル90円挟み

東京外国為替市場では円が弱含み。前週末からの急激な円高に一服 感が広がる中、株価の反発に伴う投資家のリスク許容度改善期待から円 売り・高金利通貨買いが優勢となった。藤井裕久財務相が異常事態では 為替介入もあり得ると発言したことも円売りを後押しした。

1ドル=89円台後半で東京市場を迎えたドル・円相場は徐々にド ル高・円安基調が強まり、午前10時過ぎには一時90円23銭まで円売 りが進行。その後は90円ちょうどを挟んで一進一退の展開が続いた。

一方、大半の日本企業の半期末をあすに控えて、新たに持ち高を傾 けることには慎重な向きが多く、円売り一巡後は小動きの展開。週後半 に日銀短観や米雇用統計など重要指標を控えていることも、様子見姿勢 を強める背景となったようだ。

ユーロ・円相場も1ユーロ=131円ちょうど付近からじりじり円売 りが進み、午後には131円79銭まで円が下落。日米株高を背景に投資 リスクが取りやすくなるとの見方から高金利通貨を選好する動きが強ま った。

藤井財務相は29日午前の閣議後の会見で、前日に約8カ月ぶりと なる88円台まで一時急伸した円相場の動向について「異常に動いたら 国益のためにしかるべき措置を取ることもあり得る」と述べ、為替介入 も辞さない構えを示した。また「円高是認とはひと言も言っていない。 継続的な通貨安政策は必ず世界経済を破滅させる」との考えをあらため て示した。

先週は藤井財務相が為替介入に慎重な発言を繰り返したことから、 民主党政権は円高を容認するとの観測が広がり、週末にかけて円買いが 加速した。週明け28日のアジア市場では円が対ドルで1月23日以来と なる88円24銭まで円高が進む場面があり、日本株が大幅下落する要因 となった。

一方、ユーロ・ドル相場は午前に1ユーロ=1.4600ドルを割り込 む場面も見られたが、前日に付けた今月15日以来のユーロ安値 (1.4565ドル)を試す勢いはなく、その後は1.46ドル台前半から半ば でもみ合う展開となった。

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