報酬規制で泣くのはシティとBOA、笑うのはゴールドマンか

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企業幹部の報酬抑制に向けた世 界的な潮流は、米銀シティグループやバンク・オブ・アメリカ(BO A)にとって打撃となりそうだ。両行は中小の銀行とともに、優秀な 人材をめぐる強力なライバルとの戦いで苦戦が見込まれる。

先週末の20カ国・地域(G20)首脳会議で合意された銀行の報 酬慣行改革は、複数年でのボーナス保証をやめたり、幹部への支払い を繰り延べたりする内容を含むが、これでは株価の低迷や評判悪化で 既に傷付いている銀行が採用手段を取り上げられたようなものだと、 一部の人材あっせん業者は指摘する。一方で、公的資金の返済が早か ったゴールドマン・サックス・グループやJPモルガン・チェース、 モルガン・スタンレーは恩恵を受ける公算が大きいという。

モリソン・コーエンのパートナーでニューヨーク連銀に勤務し た経歴を持つコリーン・ウェストブルック氏は「保証を1年にとどめ れば、シティグループやBOAは採用でさらに不利な立場に立たされ、 悪影響を受ける恐れがある」と語る。

資産規模で米銀最大手のBOAと同3位のシティはどちらも、 米金融安定化法の下で受け入れた公的資金を返済できていないため、 報酬抑制の対象となっている。オバマ政権は両行含め公的支援を受け た米企業7社に報酬額上位の従業員100人への支払い指針を提出す るよう義務付けていて、幹部報酬の「特別責任者」を務めるケネス・ ファインバーグ氏が来月にも決定を下す可能性がある。

競争力ある報酬支払い

シティの広報担当、アレクサンダー・サミュエルソン氏は1月 以降、機関投資家を顧客とするグループでは複数年契約は世界中で結 んでいないとした上で、同行はモルガン・スタンレーやJPモルガン、 ゴールドマンなどから経験ある人材を採用できていると述べた。

BOAの広報担当、スコット・シルベストリ氏は「会社社員、 株主、納税者の利害をすべて考慮した競争力のある報酬支払いに軸足 を置いている」と語った。

JPモルガンとモルガン・スタンレーの広報担当者はコメント を控えた。ゴールドマンの広報、エド・キャナデー氏は同社が「複数 年にわたってボーナスを保証したことはない。そうした保証が適切と は思わない」と述べた。

イタリア中央銀行のドラギ総裁が議長を務める金融安定化理事会 (FSB)が提唱した指針は、上級幹部やトレーダーなどリスクテー クについて「実質的な影響力」を持つと考えられる従業員の報酬を個 人や部門、企業の業績と連動させることを推奨している。また、「例 えば報酬の40-60%」の支払いを少なくとも3年間繰り延べるとと もに、後日損失が発生した場合に返金を求められる条項を組み込むこ とも提案している。

ゴールドマン

指針の一部を既に採用している金融機関もある。ゴールドマン・ サックスはボーナス保証の期間を1年までとすることや、総額が増え るに伴い株式による支払い部分を増やすことなどを導入。クレディ・ スイス・グループやモルガン・スタンレーは返金条項を盛り込んだ。

BOAとウェルズ・ファーゴは公的資金返済を約束し、シティの リチャード・パーソンズ会長は14日に「返済できると信じている」 と表明した。G20で合意された指針は各国政府の承認を経なければ 効力を持たない。

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