8月消費者物価は過去最大の下落率を更新-前年比2.4%低下

(第5、6段落にコメントと市場の動きを追加します)

【記者:日高 正裕】

9月29日(ブルームバーグ):8月の全国の消費者物価指数(除く 生鮮食品、コアCPI)は昨年の石油製品価格急騰の反動により、前 年比の下落率が4カ月連続で過去最大を更新した。消費者物価は近く 下げ止まるとみられるが、景気の大幅な落ち込みによる需要の低迷か ら、前年比マイナスは長期化する公算が大きい。

総務省が29日発表した8月の全国コアCPIは前年同月比2.4% 低下と6カ月連続のマイナス。下落率は前月(同2.2%低下)を上回 り、比較可能な1971年1月以来の最大を更新した。9月の東京都区部 コアCPIは同2.1%低下。ブルームバーグ・ニュースがまとめた予 想中央値は全国が同2.4%低下、東京は同2.0%低下だった。

ニューヨークの原油先物相場は昨年7月に1バレル=147ドルと 最高値を付けた後、急速に下落に転じており、昨年のエネルギー価格 高騰の影響は近く薄らいでいく見通し。ただ、家計の夏季賞与は大幅 に減少、雇用環境の悪化にも歯止めが掛かっていないため、節約志向 が強まっており、基調的な物価の下落圧力はむしろ強まっている。

CPI総合指数は8月の全国が同2.2%低下、9月の東京都区部 は同2.0%低下。前月はそれぞれ同2.2%低下、同1.7%低下だった。 変動の大きな食料(酒類除く)とエネルギーを除く「米国型コアCP I」は8月の全国が同0.9%低下、9月の東京都区部は同1.4%低下。 前月はそれぞれ同0.9%低下、同1.1%低下だった。

需給ギャップが物価を押し下げ

三井住友アセットマネジメントの武藤弘明シニアエコノミストは 「米国型コアや食品のマイナス基調に全く変化が見られない。それど ころか、依然マイナス幅は拡大しているため、当面デフレ構造は深刻 化していくとみておくべきだろう」と指摘。「日銀の利上げ時期は欧米 金利の引き上げに対し、明らかに遅れるだろう」としている。

統計発表後の東京外国為替市場の円の対ドル相場は午前9時50 分現在、1ドル=89円94銭。発表直前は同89円65銭近辺で推移し ていた。同時刻現在、東京株式市場の日経平均株価は前日比63円15 銭高の1万0072円67銭と反発。債券相場では東京先物市場の中心限 月12月物が同2銭高の139円33銭。

4-6月期の実質GDP(国内総生産、2次速報値)は前期比年 率2.3%増と、5期ぶりにプラスに転じた。しかし、日本経済の需要 と供給の乖離(かいり)を示す需給ギャップはGDPのマイナス7.8%、 実額40兆円程度に達している。巨額の需要不足は物価を押し下げる方 向に働く。

現在の金融政策を粘り強く

日銀の白川方明総裁は17日の定例記者会見で「昨年秋以降の急激 な景気の落ち込みを反映し、経済全体の需給バランスが大きく悪化し ているため、この面から物価の下落圧力がやや長い期間にわたって残 る可能性が高い」と述べた。日銀が10月30日公表の経済・物価情勢 の展望(展望リポート)で示す2011年度のコアCPI見通しは、3年 連続でマイナスとなる公算が大きい。

白川総裁は「これまでのところ、わが国の金融システムとインフ レ予想はともに安定していると判断している」とした上で、物価下落 と景気悪化の悪循環、いわゆるデフレスパイラルに陥るリスクが「高 まっているとは判断してない」と言明。金融政策運営については、現 在の政策を「粘り強く続けていく」と述べた。

モルガン・スタンレー証券の佐藤健裕チーフエコノミストは、将 来にわたり現在の超低金利の継続を約束する時間軸政策の再導入が 「デフレ下では比較的蓋然(がいぜん)性の高い政策オプションだ」 と指摘。「日銀はコアCPIが前年比安定的にプラスとなるまで現行の 緩和政策継続に再びコミットする可能性がある」としている。

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