シンガポールGIC:運用資産20%減-UBS投資損失で

政府系ファンド(SWF)のシン ガポール政府投資公社(GIC)は29日、スイスの銀行大手UBS への出資分が金融危機で目減りしたことが響き、2009年3月期の運 用資産が20%余り減少したと発表した。

シンガポールの外貨準備1000億ドル(約9兆円)超を運用する GICの年次報告書でウン・コクソン最高投資責任者(CIO)は、 保有するUBS株で損失が続いている一方、米銀シティグループへの 投資では利益を上げたとし、今年の株式相場の上昇を受けて昨年度の 損失分の半分以上を取り戻したことを明らかにした。

会長を務めるリー・クアンユー元首相(現顧問相)の下、GIC は英国のショッピングモールや英米の金融機関など投資先を拡大して きた。同国の政府系投資会社、テマセク・ホールディングスが今月発 表した09年3月通期決算は、米銀バンク・オブ・アメリカ(BOA) と英銀バークレイズへの出資に伴う損失で大幅減益となった。

CIMB-GK証券のエコノミスト、ソン・センウン氏(シンガ ポール在勤)は、シンガポールは「他の政府系投資ファンドと比べて 大きかった傷をなめているところだ」と指摘。「最悪期は脱したかもし れないが、現在のリセッション(景気後退)が向こう数年のポートフ ォリオに影響を及ぼす可能性はある」と述べた。

GICは1981年に創立。今年3月末までの過去20年間の運用 利回りの平均は米ドルベースで年5.7%(前年度は7.8%)となった。 同国のシャンムガラトナム財務相は3月、UBSとシティへの出資が 影響し、GICのポートフォリオの価値が2007年10月から08年 12月にかけて約25%減少したことを明らかにしていた。

シティグループ、UBS

GICは22日、保有するシティ株の一部売却により、持ち株比 率が従来の9%超から5%未満に低下したことを明らかにしている。 これによって16億ドル(約1440億円)の売却益を得たGICは年 次報告書で、UBSへの出資分については「回復に時間がかかる」と した上で、両行への投資の価値は「大幅に」回復したと説明した。

09年3月期の資産の内訳は、上場株式が38%(前年度は44%)、 プライベートエクイティ(PE、未公開株)や不動産、ヘッジファン ドなどの代替投資資産が30%(同23%)、現金が8%(同7%)、債 券が24%(同26%)だった。上場株式への投資配分を2007年7月 から08年9月の間に10%超減らして損失拡大を防いだが、今年初め の買い戻しで株式配分を金融危機前の水準に戻したという。

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