9月28日の海外株式・債券・為替・商品市場

◎外国為替市場

ニューヨーク外国為替市場では円が対ドルで、一時8カ月ぶりの 円高・ドル安水準を付けた。日本の新政権が円高を容認するとの思惑 を背景。

藤井裕久財務相が円の動きについて、過剰ではないとの見方を示 したため、ドルは対円で一時、1ドル=89円を割り込んだ。一方、 対ユーロでのドルはほぼ1カ月ぶりの大幅高となった。欧州中央銀行 (ECB)のトリシェ総裁が強いドルは世界経済にとって「非常に重 要だ」と発言したことがきっかけ。

ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS) のシニア為替ストラテジスト、ポール・ロブソン氏は「藤井財務相の 発言で為替介入のリスクが低下し、ドル強気派には危険信号となって いる。円は対ドルで一段と上昇すると思う」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時7分現在、円は対ドルで1ドル=89 円62銭。一時は1月23日以来の高値となる88円24銭を付ける場面 もあった。前週末は89円64銭。円は対ユーロで0.6%高の1ユーロ =130円90銭(前週末は131円70銭)。一時は129円83銭と7月 14日以来の円高・ユーロ安水準を付けた。ドルは対ユーロで1ユー ロ=1.4606ドル(同1.4689ドル)。一時は0.9%高の1.4565ドルと、 今月1日以来の大幅高となった。

トリシェ総裁は「強いドルは非常に重要だ」と述べ、ドル買い・ ユーロ売りを誘った。ユーロは23日に1年ぶりの高値となる1.4844 ドルを付け、欧州の輸出価格を押し上げた。

フィッシャー・フランシス・ツリーズ・アンド・ワッツ(ニュー ヨーク)の資産運用担当者、デービッド・ティーン氏は「総裁は警告 を発しているが、市場はほとんど耳を傾けていない。総裁が気にして いるのは水準ではなく、ユーロの上昇ペースだと思う」と語った。

世界銀行のゼーリック総裁はワシントンで講演し、金融危機によ る世界経済の再編で、ドルの主要準備通貨としての地位が揺らぐとの 見方を示した。

ポンドは対ドルで4営業日続落。一時は1.1%下げ、1ポンド=

1.5771ドルと5月22日以来の安値を付けた。イングランド銀行(英 中央銀行)が資産買い取りの増額を発表した8月6日以降、ポンドは

5.5%下げている。

円、伸び悩み

藤井財務相がブルームバーグ東京支局で講演し、「円高をそのま ま放置しろとは一言も言っていない」と述べ、円高を必ずしも容認し ているわけではないとの見方を示すと、ドルは対円で下げ渋った。

円は先週、対ドルで1.9%上昇した。同財務相が24日に米ピッ ツバーグで安易な市場介入への反対を表明したことが円買いを誘った。

JPモルガン・チェースの外国為替ストラテジスト部門グローバ ル責任者、ジョン・ノーマンド氏(ロンドン在勤)は、円の対ドル相 場が年末までに85円に上昇する可能性があると予想した。ドルが最 良の資金調達通貨になるとの見方が理由。

3カ月物ドル建てロンドン銀行間貸出金利(LIBOR)に対す る同期間の円建てLIBORの上乗せ幅は0.06ポイントと、過去お よそ16年で最大に拡大した。

対円でのドルの1カ月物オプションでインプライド・ボラティリ ティ(IV、予想変動率)は14.89%と8月18日以来の高水準に上 昇。市場が今後1カ月に値動きが激しくなるとみていることを示唆し た。

30日の上半期末を控え、日本の輸出企業が海外利益の税控除政 策を利用して資金が回帰するとの見通しも円の支援材料となった。

BNPパリバのアンドルー・シャベリア氏ら通貨アナリストは 28日付のリポートで、対円でのドルがローソク足チャートのいわゆ る「トンカチ」を形成していると指摘。短期的に89円95銭までの反 発を示唆しているとの見方を示した。

トンカチとは取引開始直後から大きく売られたが、その後に買い が入り、寄り付きと同水準で引けた形をいい、トレンドの反転を示唆 することが多いとされる。

◎米国株式市場

米株式相場は上昇。主要株価指数は5週間ぶりの大幅高。医薬品 やテクノロジー業界での買収発表を受け、企業の買収・合併(M& A)活動が6年ぶりの低水準から回復しているとの兆しが示されたこ とを好感した。

コンピュータサ-ビス会社のアフィリエーテッド・コンピュータ ー・サービシズは急伸。プリンター大手ゼロックスが同社を買収する ことで合意した。買収総額はゼロックスにとって過去最大規模となる 64億ドル。医薬品開発のアボット・ラボラトリーズも高い。同社は ベルギーのソルベイ社の医薬品部門買収を発表。ソルベイのコレステ ロール治療薬「トリコール」を完全に手中に収める。

ネットワーク機器最大手シスコシステムズは7月以来の大幅高。 バークレイズがシスコの売上高増加の見通しを示したことが買い材料 になった。

S&P500種株価指数は4営業日ぶりに反発し、前週末比1.8% 高の1062.98。ダウ工業株30種平均は同124.17ドル(1.3%)上昇 の9789.36ドル。ユダヤ教の祝日(ヨム・キプル)の影響で商いは薄 く、ニューヨーク証券取引所の出来高は約9億7900万株と、過去3 カ月平均を21%下回った。

ジョンソン・イリントン(ニューヨーク州アルバニー)で16億 ドル以上の資産運用に携わるヒュー・ジョンソン会長は、「買収活動 が持ち直しており、これが非常に大きな影響を与えている」と指摘。 「市場にマネーが投じられることは常に好材料だ」と述べた。

S&P500種の金融株指数が3.4%値上がりし、S&P500種全 体の上昇をけん引した。主要10業種はすべて上昇し、S&P500種 が22日に付けた1年ぶり高値からの下落率は0.8%に縮まった。同 指数は3月の12年ぶり安値から57%値上がりし、株価収益率(PE R、営業利益実績ベース)は04年以来の高水準となっている。ブル ームバーグのデータによると、22日時点のPERは20.2倍。

M&A

ブルームバーグのデータによれば、米企業が関連するM&Aの総 額は9月に491億ドル。8月は266億ドル、7月は368億ドルだった。 年初から9月3週目まででは4925億ドルと、03年以来で最低のペー スだった。

ゼロックスは、アフィリエーテッド・コンピューター・サービシ ズ1株につき現金とゼロックス株の合計約63.11ドルを支払う。これ はアフィリエーテッド株の25日終値を34%上回る水準。プリンター 機器の売り上げが減少するなか、ゼロックスは今回の買収によりサー ビス市場への事業拡充を図る。

アフィリエーテッドは14%高と、S&P500種の構成銘柄で上昇 率トップ。一方、ゼロックスは14%安となり、同指数の下落率で首 位となった。

アボット・ラボラトリーズは2.6%高。同社によるソルベイ社医 薬品部門の買収は、新興市場でのシェア拡大のほか、同社のリウマチ 治療薬「ヒューミラ」への依存度低下に貢献すると見込まれている。

キャッシュフロー

クレディ・スイス・グループとブルームバーグがまとめたデータ によると、米経済が70年ぶり最悪のリセッション(景気後退)から 脱却するなか、企業のキャッシュフローは6月末までの1年間の1兆 5000億ドルから増加する可能性がある。

シスコシステムズは4.4%高と、5営業日ぶり反発。バークレイ ズはシスコの投資判断を「イコールウエート」から「オーバーウエー ト」に引き上げた。

S&P500種の保険株指数は5%高。金融保証会社(モノライ ン)のMBIAや保険大手ハートフォード・ファイナンシャル・サー ビシズ・グループが10%超値上がりし、同指数上昇のけん引役とな った。

インシュアランス・サービシズ・オフィスによると、自動車・住 宅保険大手のオールステートなどを含む損害保険会社は(4-6月) 第2四半期に引き受け業務で黒字を回復。保険料収入の増加が寄与し たもようだ。

◎米国債市場

米国債相場は上昇。景気回復のペースが緩やかなことやインフレ 見通しが抑制されていることからから、米金融当局がしばらくは過去 最低水準の政策金利を維持するとの見方が広がった。

10月2日発表される9月の米雇用統計で失業率の上昇が予想さ れているほか、第2四半期の国内総生産(GDP)確定値が改定値か ら下方修正されるとの予想を背景に30年債は3日続伸した。

ブロードポイント・キャピタルのマネジングディレクター、グレ ン・カペロ氏は「米連邦準備制度理事会(FRB)が強気な発言をし ても、言葉ではなく実際の行動が重要だ。いくつか明るい兆しがみえ ても、経済はなお相当の向かい風にさらされている。政策金利となる と、金融当局はしばらくの間は低金利を継続する意向を示している」 と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時25分現在、10年債利回りは前営業日比3ベーシスポイン ト(bp、1bp=0.01ポイント)下げて3.28%。10年債(表面利率

3.625%、償還2019年8月)価格は9/32上げて102 29/32。30年債 利回りは7bp下げて4.03%だった。

ブルームバーグがまとめた調査によると、30日に発表される第 2四半期GDP確定値は1.2%減と、改定値の1%減から下方修正が 見込まれている。9月の失業率は9.8%への上昇が予想されている。 前月は9.7%だった。

金融当局者の発言

FRBのウォーシュ理事は、景気や金融市場回復に向けた政策の 解除をFRBは導入時と同じ積極性を持って実行する必要があるとの 考えを示した。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ、オン ライン版)が先週、同理事の寄稿を掲載した。

RBCキャピタル・マーケッツの金利ストラテジスト、クリスャ ン・クーパー氏は「FRBは市場が金融政策緩和をめぐる動きに対し てどう反応するかを懸念している。金融当局者の発言が材料になると みている」と述べた。

今週はダラス連銀のフィッシャー総裁とフィラデルフィア連銀の プロッサー総裁のスピーチが予定されている。

セントルイス連銀のブラード総裁は25日、米国が低インフレ率 とほぼゼロ金利という状況にはまり込む可能性があると述べた。

2年債と10年債の利回り格差は2.31ポイントと、今年5月以降 で最小に近づいている。

入札

財務省は年初から1兆2000億ドルの国債を発行。FRBはこの うち24.1%を購入した。29日には償還期限2012年5月から2013年 11月の国債を対象に買い取りを実施する予定だ。

プライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)のバークレ イズによると、財務省は10月1日、3年債(390億ドル)、10年債 (200億ドル)、30年債(120億ドル)さらに10年物インフレ連動 債(TIPS、70億ドル)の入札計画を発表する。

◎金先物市場

ニューヨーク金先物相場は4営業日ぶりに反発。ドルが朝高から 伸び悩んだため、代替投資としての需要が高まった。

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)の ドル指数は一時0.6%上昇したが、上げ幅を縮小した。ドル指数が年 初から5.4%下落している一方、金は12%上昇している。

ヘリテージ・ウエスト・フューチャーズのアナリスト、ラルフ・ プレストン氏(サンディエゴ在勤)は「ドルはなお熟れたリンゴのよ うで、落ちるのを待つばかりだ。金には押し目で買いが入っている」 と指摘した。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 12月限は前週末比2.50ドル(0.3%)高の1オンス=994.10ドルで 取引を終了した。

◎原油先物市場

ニューヨーク原油相場は上昇。米株が上昇したほか、核問題をめ ぐる緊張の中でイランがミサイル試射を実施したことが材料視された。

製薬業界およびテクノロジー業界で企業買収が発表されたことか ら、M&A(企業合併・買収)活動が復活するとの見方が広がり米国 株は上昇、原油も追随して値上がりした。イランの軍事当局によると、 射程距離の長い「シャハブ3」が28日に発射された。

サミット・エナジー(ケンタッキー州ルイビル)のアナリスト、 ブラッド・サンプルズ氏は、「株取引の開始時から原油は上昇してい た。核問題やミサイル試射といった買い圧力をかける材料がみられた。 今、メディアの関心はイランに集中しているが、強気派にとっては原 油相場の強力な支援材料とみている」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物11月限は前 営業日比0.82ドル(1.24%)高の1バレル=66.84ドルで終了した。

◎欧州株式市場

欧州株式相場は上昇、ダウ欧州600指数は5週間余りで最大の上 げとなった。M&A(企業の合併・買収)活発化の兆しが高まったの に加え、ドイツのメルケル首相が再選を果たしたことを背景に、同国 の公益事業株が買われた。

フランスの化学品メーカー、アルケマと、ベルギーの特殊材料グ ループ、ユミコアは大幅高。仏ソルベイが企業買収を通じた事業拡大 を検証していることを明らかにしたことがきっかけ。英製薬メーカー のアストラゼネカは3カ月余りで最大の上げ。同業でスイスのノバル ティスがアストラゼネカ買収に関心を示しているとの観測が広がった ことが買いを誘った。

ドイツの公益事業会社、RWEとエーオンも高い。メルケル首相 再選で新たな連立政権が国内の原子力発電の稼動停止を義務付けた法 律を廃止するとの観測が高まったことが背景にある。

ダウ欧州600指数は前週末比1.8%高の243.2と、8月21日以 降で最大の上げとなった。同指数は3月9日の水準から54%上げて いる。ブルームバーグのデータによれば、同指数構成銘柄の株価収益 率(PER)は2003年以来の高水準となった。

ロイヤル・ロンドン・アセット・マネジメントのファンドマネジ ャー、ケビン・リリー氏は、「数多くのM&A案件がさらに出てくる と考えられる。現在、再び底打ちしたことから、企業はM&Aを推し 進める自信を得た」と語った。

欧州のM&A件数は今月、5年ぶりの低調となった8月から反発。 今年1-6月のM&Aは、信用危機で融資が滞ったことを背景に、米 国で42%減となったほか、アジアでは50%、欧州では約60%それぞ れ減少した。

28日の西欧市場では、18カ国すべてで主要株価指数が上昇。ダ ウ・ユーロ50種指数は前週末比2.4%高、ダウ・欧州50種指数は 2%上昇した。

アルケマは7%高、ユミコアは3.9%上げた。アボット・ラボラ トリーへの製薬部門を売却することで合意したソルベイは0.1%下げ た。

アストラゼネカは2.8%高と、6月12日以降で最大の上げ。ノ バルティスは0.9%上げた。RWEは4.2%、エーオンは4.5%それ ぞれ上昇した。

◎欧州債券市場

欧州債市場では、ドイツ10年債相場が上昇。9月のドイツの消 費者物価指数が市場予想よりも落ち込んだほか、欧州中央銀行(EC B)のトリシェ総裁が金融緩和の「出口戦略実行は時期尚早」との認 識を示したことを受け、国債需要が高まった。

独10年債利回りは3週間ぶり低水準まで2ベーシスポイント (bp、1bp=0.01%)に近づいた。トリシェ総裁は28日の欧州 議会で、危機が終わったと宣言するには「時期尚早」と発言。ドイツ 連邦統計庁が同日発表した9月の同国の消費者物価指数は、欧州連合 (EU)基準で前年同月比0.4%低下した。ブルームバーグ・ニュー スがまとめたエコノミスト16人の予想中央値では0.2%低下と見込 まれていた。

コメルツ銀行の債券戦略部門の共同責任者、クリストフ・リーガ ー氏(フランクフルト在勤)は「景気回復の勢いをめぐり明らかに不 安が残る。今後の回復過程にはリスクがあり、債券にとって買い材料 だ」と語った。

ロンドン時間午後3時53分現在、10年債利回りは前週末比2b p低下の3.24%。一時は3.22%まで下げ、4日以来の低水準となっ た。同国債(表面利率3.5%、2019年7月償還)価格は前週末比

0.15ポイント下げ102.15。2年債利回りは1.21%と、前週末からほ ぼ変わらず。

◎英国債市場

英国債相場は下落。株高に加え、9月の英住宅価格が2年ぶりの 大幅上昇となったことで、比較的安全な債券への需要が後退した。

2年債利回りは少なくとも1992年以来の最低水準から上昇。イ ングランド銀行(英中央銀行)のチーフエコノミスト、スペンサー・ デール氏が、「事態が安定化したとみられる兆しがある」と指摘した とのエクセター・エクスプレス・アンド・エコー紙(オンライン版) の報道が背景。

カリヨンの債券ストラテジスト、オーランド・グリーン氏(ロン ドン在勤)は「英経済にとり住宅価格は重要な指標だ」と指摘。「住 宅価格と経済回復の進展は密接に結びついている。これまで上昇して いた英国債がやや弱含んでいるのはそのためだ」と語った。

ロンドン時間午後4時20分現在、2年債利回りは前日比4ベー シスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)上昇し、0.76%。一時は

0.72%と、少なくとも1992年以降の低水準にあと0.5bpのところ まで接近する場面もみられた。同国債(表面利率4.25%、2011年3 月償還)価格は0.07ポイント下げ、104.99。10年債利回り は3.63%と、前日から2bp上昇した。

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