NY外為:円対ドル、一時88円台-日本円高容認の憶測で

ニューヨーク外国為替市場では 円が対ドルで、一時は8カ月ぶりの円高・ドル安水準を付けた。 日本の新政権が円高を容認するとの思惑を背景。

藤井裕久財務相が円の動きについて、過剰ではないとの見方を示 したため、ドルは対円で一時、1ドル=89円を割り込んだ。一方、 対ユーロでのドルはほぼ1カ月ぶりの大幅高となった。欧州中央銀行 (ECB)のトリシェ総裁が強いドルは世界経済にとって「非常に重 要だ」と発言したことがきっかけ。

ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS) のシニア為替ストラテジスト、ポール・ロブソン氏は「藤井財務相の 発言で為替介入のリスクが低下し、ドル強気派には危険信号となって いる。円は対ドルで一段と上昇すると思う」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時7分現在、円は対ドルで1ドル=89 円62銭。一時は1月23日以来の高値となる88円24銭を付ける場 面もあった。前週末は89円64銭。円は対ユーロで0.6%高の1ユ ーロ=130円90銭(前週末は131円70銭)。一時は129円83銭 と7月14日以来の円高・ユーロ安水準を付けた。ドルは対ユーロで 1ユーロ=1.4606ドル(同1.4689ドル)。一時は0.9%高の

1.4565ドルと、今月1日以来の大幅高となった。

トリシェ総裁は「強いドルは非常に重要だ」と述べ、ドル買 い・ユーロ売りを誘った。ユーロは23日に1年ぶりの高値となる

1.4844ドルを付け、欧州の輸出価格を押し上げた。

フィッシャー・フランシス・ツリーズ・アンド・ワッツ(ニュー ヨーク)の資産運用担当者、デービッド・ティーン氏は「総裁は警告 を発しているが、市場はほとんど耳を傾けていない。総裁が気にして いるのは水準ではなく、ユーロの上昇ペースだと思う」と語った。

世界銀行のゼーリック総裁はワシントンで講演し、金融危機によ る世界経済の再編で、ドルの主要準備通貨としての地位が揺らぐとの 見方を示した。

ポンドは対ドルで4営業日続落。一時は1.1%下げ、1ポンド=

1.5771ドルと5月22日以来の安値を付けた。イングランド銀行 (英中央銀行)が資産買い取りの増額を発表した8月6日以降、ポン ドは5.5%下げている。

円、伸び悩み

藤井財務相がブルームバーグ東京支局で講演し、「円高をそのま ま放置しろとはひと言も言っていない」と述べ、円高を必ずしも容認 しているわけではないとの見方を示すと、ドルは対円で下げ渋った。

円は先週、対ドルで1.9%上昇した。同財務相が24日に米ピッ ツバーグで安易な市場介入への反対を表明したことが円買いを誘っ た。

JPモルガン・チェースの外国為替ストラテジスト部門グローバ ル責任者、ジョン・ノーマンド氏(ロンドン在勤)は、円の対ドル相 場が年末までに85円に上昇する可能性があると予想した。ドルが最 良の資金調達通貨になるとの見方が理由。

3カ月物ドル建てロンドン銀行間貸出金利(LIBOR)に対す る同期間の円建てLIBORの上乗せ幅は0.06ポイントと、過去お よそ16年で最大に拡大した。

対円でのドルの1カ月物オプションでインプライド・ボラティリ ティ(IV、予想変動率)は14.89%と8月18日以来の高水準に上 昇。市場が今後1カ月に値動きが激しくなるとみていることを示唆し た。

30日の上半期末を控え、日本の輸出企業が海外利益の税控除政策 を利用して資金が回帰するとの見通しも円の支援材料となった。

BNPパリバのアンドルー・シャベリア氏ら通貨アナリストは 28日付のリポートで、対円でのドルがローソク足チャートのいわゆ る「トンカチ」を形成していると指摘。短期的に89円95銭までの反 発を示唆しているとの見方を示した。

トンカチとは取引開始直後から大きく売られたが、その後に買い が入り、寄り付きと同水準で引けた形をいい、トレンドの反転を示唆 することが多いとされる。

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