【今週の債券】軟調か、下期の収益確保の売り-8月来の高利回り視野

今週の債券相場は軟調(利回りは 上昇)となりそう。週央には中間決算を迎えるタイミングにあたり、下 期の収益確保を狙った売りが膨らむとの憶測が強い。日米両国の景気も 緩やかな回復基調を維持するとの見方が有力ななか、新発10年国債利 回りは8月半ば以来の高い水準をうかがうことも考えられる。

三菱UFJ証券の石井純チーフ債券ストラテジストは、新政権の財 政政策などが不確定要因であるなかで、中間期末を迎えるため売買を手 がけにくいとしながらも、「投資家の利益確定売りへの警戒感から、10 年債利回りは1.285-1.325%を中心に推移する」とみている。

今週の新発10年債利回りの推移について、25日夕方までに市場参 加者4人に聞いたところ、全体の予想レンジは1.26%から1.36%だっ た。連休の谷間となった前週の取引では10年債利回りは低下して、25 日午前には5営業日ぶりに1.30%をつける場面もあったが、1.2%台で 定着するとの見方には至っていない。

外国為替市場における円高進展は債券買いの材料といえるが、中間 期末を迎えるなかで積極的な買いは出にくい。日興シティグループ証券 の佐野一彦チーフストラテジストは、足元の堅調相場からは下期の好需 給がイメージできるとしながらも、期初だけは違った動きが出てくるこ とが予想されるといい、「短観(企業短期経済観測調査)などの結果に とらわれず、益固めの売りが出ることに警戒するべきだ」という。

期末・期初の投資家動向注目

今週は中間期末と下期のスタートを迎えるタイミングにあたり、投 資家の売買動向に注目が集まる。三菱UFJ証の石井氏は、中長期的に は債券買いの方針を維持する投資家が多いとしながらも、「下期の運用 環境が不透明なことを踏まえると、一定の利益を確保しておきたいと考 えるのが人情だ」として、売り圧力が強まる可能性が高いとみている。

国債償還が9月には10兆円超の規模に上ったほか、大手銀はじめ 金融機関に預金が積み上がったことから、現物債の好需給が夏場以降の 金利の低位安定を促した。都市銀行は8月まで4カ月連続で債券を買い 越してきたものの、日興シティグループ証の佐野氏は6月以降の買い越 し額が6兆円を超えており、下期のはじめは売りが出やすいと読む。

日米で指標発表が目白押し

今週は日米両国で経済指標の発表が続く。みずほ証券の三浦哲也チ ーフマーケットアナリストは、内外景気はどんよりとした曇り空といっ た状況にあり、現時点で下振れを想定するのは時期尚早だといい、「景 気面から債券を買い進むだけの材料になりにくい」とみている。

ブルームバーグ調査によると、8月の鉱工業生産は前月比1.8%上 昇して、6カ月連続プラスが予想されている。一方、8月の全国消費者 物価(コアCPI)は前年同月比2.4%低下して、過去最大の下落率を 4カ月連続で更新する見込みのほか、雇用や消費関連の指標は悪化が続 くとみられている。

10月1日に公表される日銀短観(9月調査)では、大企業・製造 業の業況判断DIが前回調査(マイナス48)から改善する見通しだ。 三井住友海上火災保険の高野徳義グループ長は、短観で景況感が足元で は改善、先行き慎重の見方が示されても市場は織り込み済みとして反応 しづらいと予想する。

また、週末には米国で9月の雇用統計が発表される。シュローダー 証券投信投資顧問の塚谷厳治債券チームヘッドは、米雇用統計が市場に 及ぼす影響について、「株価が上値を試せば米国の出口戦略への思惑が 強まる。実際に実行するのが先でも先取りした動きで米国債利回りはベ ア・フラット(平たん)化が進む可能性がある」という。

市場参加者の予想レンジとコメント

9月25日夕までに集計した市場参加者の予想レンジは以下の通り。 先物は中心限月12月物、新発10年国債利回りは303回債。

◎みずほ証券の三浦哲也チーフマーケットアナリスト

先物12月物138円40銭-139円50銭

新発10年債利回り=1.28%-1.36%

「債券相場の上値は重い。日米の指標は債券買いに走るほど悪くは ならない。こうしたなか、投資家は9月末の段階では動きを止めてこよ うが、下期に入れば相応に売り先行で出てくるのではないか。来週の 10年債入札で1.4%クーポンが視野に入る水準まで調整がありそう。今 後さらに金利水準を切り下げるには円高進展といった材料が必要だ」

◎シュローダー証券投信投資顧問の塚谷厳治債券チームヘッド

先物12月物138円50銭-139円30銭

新発10年債利回り=1.28%-1.36%

「米雇用統計に要注目。株式相場が上値を試せば米国の出口戦略へ の思惑が強まる。実際に実行するのが先でも先取りした動きで米国債利 回りはベア・フラット(平たん)化が進む可能性がある。日銀も出口戦 略への思惑が高まりやすくなり、短観が改善傾向を示せば後押し材料と なる。一方、中間決算を越えれば、銀行勢が買いやすくなると思う」

◎三井住友海上火災保険投資部の高野徳義グループ長

先物12月物138円60銭-139円50銭

新発10年債利回り=1.28%-1.35%

「週前半の相場は堅調。月末にあたって年金基金から超長期債の買 いが見込まれる。一方、10月に入ると期初の利益確定売りが出やすい うえ、10年債入札も意識されて相場は反落しそう。もっとも、今後は 新政権による諸問題への対処の仕方が焦点。対処が悪ければ円高・株安 が進むリスクがあり、債券を一方的には売り込めない面もある」

◎岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長

先物12月物138円50銭-139円40銭

新発10年債利回り=1.26%-1.35%

「10年債は1.3%を中心に推移する。景気は回復基調にあるとはい え先行きの持続性に懸念も強く、物価や雇用関連の指標が悪ければ、7 月はじめにつけた1.27%を探る場面がありそう。下期入りのタイミン グで収益を確保したいとの意向が働けば、いったんは戻り売りが出てき てもおかしくないが、利回り上昇局面では再び押し目買いが膨らむ」

--取材協力:池田祐美、船曳三郎 Editor:Hidenori Yamanaka,Hidekiyo Sakihama

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