【日本株週間展望】こう着強める、アジア景気良好で関連株へ個別買い

9月第5週(9月28日-10月2 日)の日本株相場は、TOPIXが現状水準でこう着しそう。世界的な 景気回復期待が根強い上、企業収益の急速な悪化懸念も後退、一方的に 売り込む向きは少ない。しかし上値を追う動きも少なく、薄商いの中で 売り買いが交錯する見込みだ。

みずほ投信投資顧問の有村秀夫シニア・ファンドマネジャーは、 「薄商いが続く割に下がらないのが最近の日本株相場。10月以降、マ クロ経済が大きく悪化するとは思えない。上半期決算で企業のファンダ メンタルズ(企業業績の基礎的諸条件)が急速に悪化していないと確認 できれば、日本株ももう少し上が狙える」と話している。

25日のTOPIXは週間で1.8%安の922.67ポイント、日経平 均株価は同1%安の1万265円98銭で終了。東証1部の売買代金 は 活況とされる2兆円を大きく下回る状況が続く。世界主要指数の年初来 上昇率は、TOPIXの7.4%に対し米S&P500が16%、独DAX が17%、ムンバイSENSEX30が74%、上海総合が57%と、日本 の出遅れが顕著だ。

8月4日の年初来高値から最大22%下落した上海総合指数。9月 初旬に切り返したが、月半ばに下げ基調に転じ、アジアの市場参加者の 先行き不安を助長している。チャイナ・インターナショナル・ファン ド・マネジメントのストラテジスト、チャン・シウチ氏は「10-12月 の景気の回復状態や企業収益の伸びに関して投資家の見方が割れてい る」とした上で、「より多くの経済指標が改善を示すまで、現行水準で 推移するだろう」と予想している。

目先足踏みも中国株への根強い楽観

内藤証券中国部長の村上哲也シニアアナリストも、中国株は10月 まで現値水準でこう着すると予測する1人。ただ、「直近の下げは単な るスピード調整。再度、上海総合株価指数は年初来高値を更新する」と、 先行きには楽観的。中国政府の金融緩和策が浸透、今後も月間3000- 4000億元の貸出増加が見込まれるほか、4兆元(約53兆円)規模の 内需拡大策で固定資産投資や小売総額が高い伸びを継続、景況感が良く なっているためだ。

同証によると、9月以降は上海証券取引所の人民元建てA株の新設 口座数が増勢、週1回以上売買を行ったアクティブ口座の比率も8月最 終週の11.6%から直近で15%に高まっている。また、個人預金に占め る定期預金の比率も63.5%と高水準で、個人の待機資金の豊富さなど から07年の上昇相場や08年10月以降の戻り相場のスタート時と状況 が似ているという。

中国以外のアジア各国経済も順調だ。アジア開発銀行(ADB)は 22日、アジア域内経済の成長率予想を上方修正した。日本を除くアジ ア太平洋の45カ国・地域の2009年の成長率予想を3.9%と3月時点 の3.4%から上方修正した。10年は6.4%と前回から0.4ポイント上 積みし、成長が加速すると予測。ADBの李鍾和チーフエコノミストは、 「世界経済の環境は引き続き悪化しているが、アジアの発展途上国経済 は、世界を経済低迷から回復させる役割を果たす」と見ている。

イスラム圏の成長恩恵は日本企業にも

8月20日に「スパイスロード復活で注目されるイスラム圏消費市 場」というリポートをまとめた野村証券の和泉祐一ストラテジストは、 「インドやインドネシアの景気が戻ってくる過程で、関連する日本企業 をリポートで紹介したため、株式相場全般の上昇もあって、好感されや すかった」と振り返る。

和泉氏は、15-16世紀に東南アジアの香辛料を欧州に運んだ海上 航路に面する中東、インド、東南アジアなどイスラム圏諸国の消費拡大 に着目。日本企業が受ける恩恵は、「中国からよりもイスラム圏諸国の 方が大きい」と指摘した。特に世界最大のイスラム大国、インドネシア は消費パターンが日本に近く、日本製品の人気は高いが、株式市場での 注目度の低さから過小評価されがちとし、スパイスロードで実績を持つ 日本企業に味の素、マンダム、いすゞ自動車、武蔵精密工業、日信工業、 スズキ、ヤマハ発動機、エフ・シー・シー、ユニ・チャームを挙げた。

9銘柄をバスケット(時価総額加重平均)にし、ブルームバーグ でリターン計算すると、過去1カ月間のパフォーマンスはマイナス

1.6%とTOPIXのマイナス3.7%より堅調。過去1年でもマイナス

8.1%と、9銘柄がTOPIXのマイナス20%をしのいだ。みずほ投信 の有村氏は、今後は銘柄間のパフォーマンス格差が拡大することを前提 に選別すべきとした上で、「国が政策面で支援を行いそうなテーマ株で、 中小企業を狙っていきたい」としている。

五輪開催地決定、短観、米雇用統計など

9月5週に証券、金融市場に影響を与えそうな材料は豊富。28 日 に中国・上海で日中韓外相会談、10月2日に2016年の夏季オリンピ ック開催地を決める国際オリンピック委員会(IOC)総会、3日にト ルコ・イスタンブールで主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議が開催予 定で、国際会議に焦点が集まりやすい。

このほか経済統計は、米国で29日に7月のS&P/ケース・シラ ー住宅価格指数と9月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、1日 に8月の個人所得と9月のISM製造業景気指数、9月の新車販売台数、 2日に9月の雇用統計がそれぞれ発表予定。

日本では30日に8月の鉱工業生産、1日に日本銀行の企業短期経 済観測調査(短観)と9月新車販売台数、2日に8月の失業率と小売業 販売額、家計消費支出などの公表を控える。また、1日予定のセブン& アイ・ホールディングスをはじめ、イオングループ各社や久光製薬、キ ユーピー、しまむらなどが週を通じて上期の決算発表を行う見込みだ。

【市場関係者の当面の日本株相場の見方】
●東海東京調査センターの隅谷俊夫投資調査部長
  「日経平均のもみ合いは2カ月に及び、この間に蓄積したエネルギ
ーは大きい。海外の主要指数に比べ日本株の出遅れ状況が続き、日米の
時価総額を代表するTOPIXとS&P500種株価指数を比べると、T
OPIXが出遅れる形で両者の格差は100ポイント以上開く。03年に
日本株が大底を打って反騰した時も100ポイント以上の差があったが、
7月1日発表の日銀短観が予想より良かったことがきっかけで、結局追
い着いた。今回も1日発表の短観に期待したい」

●立花証券の平野憲一執行役員
  「神経質な展開が見込まれる。日米で重要な経済指標の発表が目白
押し、これらに相場は左右されやすい。過去2カ月間のもみ合いを経て
下値がしっかりしてきた上、ハイテク株が好調に推移している。日経平
均は8月31日に記録した直近高値(1万767円)を試しそうだ」

●メッツラー・アセット・マネジメントの小林光之社長
 「目先は指数寄与度の高い金融と輸出関連株で弱含みが予想され、日
経平均で8月以降のレンジ(高値1万767円、安値1万142円)下限
を割り込んでくる可能性が高い。金融株は、増資ラッシュが現実味を増
し、亀井静香金融・郵政問題担当相の下での融資返済モラトリアム制度
への不安、日本航空などに象徴される経営再建の広がりによる金融機関
の負担増懸念も重なり、下値めどが立たない。輸出関連は、各国の財政
刺激策による特需的支えが薄まる中、為替の円高傾向も重しだ」

●明和証券の矢野正義シニアマーケットアナリスト
  「鳩山首相の掲げる温室効果ガス25%削減目標や、亀井金融相が
表明した中小企業・個人向け資金繰り支援策など、新政権による政策不
透明感が相場の上値を抑えている。世界は株高だが、日本だけ上昇でき
ていない。当面、日経平均で1万から1万700円のボックス圏でもみ
合うと見る。新政権の政策に投資家は疑心暗鬼で、具体策が出てくるま
では、評価する動きになりにくい」

●マーク・ファーバーLTD創業者のマーク・ファーバー氏
  「経済ニュースはさほど改善が見込まれないため、株価がすでに今
年の最高値を付けていたとしても驚かないだろう。今後20%下落する
可能性がある」

--取材協力:長谷川 敏郎、浅野 文重、河野 敏、常冨 浩太郎

Patrick Rial Editor:Shintaro Inkyo、Makiko Asai

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