日本の輸出企業、円高待望論に直面-世界貿易の回復に出遅れる恐れ

日本の輸出企業は世界貿易の回復 から取り残される危険性がある。民主党が消費者の購買力向上を公約 として総選挙に勝利し政権が交代した結果、輸出企業の利益を脅かす 通貨高を容認せざるを得ない状況が到来したためだ。

財務省が24日発表した8月の日本の輸出額は前年同月を36%下 回り、11カ月連続で減少した。円は対ドルで過去1年間に17%上昇 し、日本製品の輸出価格を押し上げるとともに、日本企業の海外収益 の目減りを招いている。

藤井裕久財務相が弱い円を支持しない考えを表明したのを受け、 円は先週、7カ月ぶりの高値に上昇した。同相の発言は、過去55年 の大半にわたって政権を握り輸出主導型の経済成長を後押ししてきた 自民党とは路線が変わることを示唆したものだ。

ヘッジファンドのTRJタンタロン・リサーチ・ジャパンのイェ スパー・コール最高経営責任者(CEO)は、「強い円はそれほど悪く はないというロマンチックな願望がある」が、「問題は、日本は好むと 好まざるにかかわらず純輸出国である点だ。円高は日本企業の収益性 を一段とむしばむことになる」と指摘した。

パナソニックやトヨタ自動車をはじめとする日本企業は円高で韓 国のライバル企業に対抗することが一段と難しくなっている。韓国ウ ォンは過去2年間に対ドルで23%下落したが、円は対ドルで26%上 昇した。

鳩山由紀夫首相率いる民主党は選挙期間中、通貨高は輸入物価の 低下につながり家計に恩恵をもたらすとの見解を示していた。消費者 を重視した同党の政策は、企業利益を重視する自民党の政策とは対照 的だとアナリストらは指摘する。自民党政権は過去5年間、円売りを 実施しなかったものの、米国の「強いドル」政策に歩調を合わせた為 替介入の実績がある。

マッコーリー・セキュリティーズのチーフエコノミスト、リチャ ード・ジェラム氏は「前政権については、当局がある時点で介入する のではないかとの疑念が市場関係者の間にあった」が、「藤井財務相の 発言からみて、民主党の下では介入の可能性は低下している」と分析 した。

藤井財務相は24日にピッツバーグで記者団の質問に答え、「市場 というのは自由経済の牙城であり、為替、株式市場であろうが安易に 介入するのはどうか」と疑問を呈した。

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