円が上昇、対ポンド中心に買い先行―G20控えて午後は伸び悩み

東京外国為替市場では円が上昇。 英国がポンド安を容認するとの観測を背景にポンド売り・円買いが活発 化し、他の主要通貨に対しても円買いが先行する展開となった。決算期 末となる9月末が近づき、日本企業のレパトリエーション(自国への資 金回帰)に伴う円買い需要も意識された。

円は対ポンドで1ポンド=146円と145円の大台を次々と突破し、 一時144円35銭と5月18日以来、約4カ月ぶりまで上昇。対ユーロで も今月16日以来の高値となる1ユーロ=132円53銭まで円高が進む場 面が見られた。

一方、午後には20カ国・地域(G20)首脳会議(金融サミット) が景気刺激策の早期解除回避で合意したとの観測報道を受けて、投資家 のリスク回避姿勢が緩和するとの思惑が浮上。高金利通貨に資金が振り 向けやすくなるとの見方から円は伸び悩んだ。

三菱東京UFJ銀行金融市場部の橋本将司シニアアナリストは、朝 方は円高が進んだが、ドル・円も90円ちょうど手前で止まっており、 一服感が出ていると説明。その上で、G20首脳会議については、先の G20財務相・中央銀行総裁会議でも景気回復まで景気刺激策を継続す ることを確認しているため、「出口戦略」について大きな変化はないと 予想している。

ポンド売りが先行

24日の海外市場ではイングランド銀行(英中央銀行)のキング総 裁が英経済のバランスを取り戻す過程でポンド安は「非常に有益」と発 言したとの英紙報道を手掛かりにポンド売りが加速。この日の東京市場 もこの流れを引き継ぐ形となり、ポンドは対ユーロで4月以来の安値を 更新、対ドルでは6月8日以来の安値をつけた。

資産管理サービス信託銀行資金為替部の野村祥宏調査役は、「ポン ドは英中銀総裁から通貨安を歓迎するような発言もあり、対円の146円 割れや対ドルの1ポンド=1.6000ドル割れにあったストップ(損失を 限定するためのポンド売り注文)を付けて下げに勢いがついた」と説明 していた。

ポンド・円などクロス円(ドル以外の通貨の対円相場)で円買いが 進む局面では、対ドルでも1ドル=91円台前半から一時、90円53銭ま で円高が進行。野村氏は、「G20では為替について何もでないとは思 うが、欧州からユーロ高についてのコメントが出ているし、これでド ル・円も下に突っ込むとまたいろいろと発言が出てくる可能性がある」 と語った。

また、ソシエテ・ジェネラル銀行外国為替本部長の斉藤裕司氏は、 日本の半期末を控えて、例年よりもレパトリエーションが多いと言われ る中、クロス円で円が買われやすい展開もあり得ると話していた。

G20、景気刺激策継続で合意か

一方、ロイター通信は25日午後、G20首脳会議が、世界経済の回 復の足取りが確実になるまで景気刺激策を継続し、解除すべき時が到来 した際には互いに協力することで合意したと、声明の草案を引用して伝 えた。

これを受け、市場では景気刺激策の「出口戦略」への警戒感が後退 し、午前の相場で顕著になっていた円やドルに対する買い圧力が弱まっ た。

ロイターによると、G20首脳はまた、金融業界の行き過ぎに歯止 めをかける措置を取ることや、銀行の資本基準の厳格化で協調すること でも合意したという。

三菱東京UFJ銀の橋本氏は、資本基準の厳格化は長期的な話であ り、短期的な市場への影響は読みづらいが、「過度なレバレッジが構造 的に抑制されるという意味では資源国通貨などにとっては長期的な抑制 要因になる可能性がある」と分析。一方、「米国の過剰消費に依存した 成長システムの転換で、不均衡是正に向けてより踏み込んだ内容が出て くれば、長い目でみてドル安ということを含む話になる」と指摘してい る。

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