米財政危機が描く「ローマ帝国没落」シナリオ-ドル暴落の著者

米国の財政赤字が次の10年も 拡大し続け最後には維持不可能な水準となり、その結果経済が崩壊す る。米国の未来を「ローマ帝国没落」になぞらえたシナリオを、リチ ャード・ダンカン氏は想定している。

同氏はドル危機についての解説書、「ドル暴落から、世界不況が 始まる」の著者。現在、シンガポールを拠点とするブラックホース・ アセット・マネジメントに所属する同氏は、製造業界が縮小を続け輸 出品がほとんどなくなることから、米国は財政状態を改善させるすべ がほぼ皆無だと指摘する。

2003年に出版されたドル暴落の著書で同氏は、米国の恒常的な 経常赤字が世界の信用市場に持続不可能なブームをもたらしている と指摘。最終的にはブームが崩壊し世界的なリセッション(景気後退) につながるだろう、と的確に予言していた。

同氏は22日に香港でインタビューに応じ、「10年がたった後 にもまだ、問題は解決されていないだろう」として、「最終的に高イ ンフレにつながり事態を極度に不安定化させ、修復不可能な打撃を与 えるところに至るかもしれない。いわば、『ローマ帝国没落』シナリ オだ」と語った。

同氏は、米国の勤労者は賃金の減少に直面する公算が大きく、こ れが自由貿易に反対する政治的反動を生む恐れがあると指摘。「予想 し得る将来にわたって失業率が10%超の状態が続けば、米国民は遠 からず、保護主義を支持して投票するようになるだろう」とした上で、 「保護主義は世界の貿易を縮小させ、世界全体の繁栄を損なう」と指 摘した。

FRBは政府債務貨幣化か

また、米政府債務が膨らみ過ぎ国債発行が不可能になれば、米連 邦準備制度理事会(FRB)が政府債務の貨幣化によって対応する公 算が大きく、高インフレにつながるという。

ダンカン氏はアナリストとして1993年にタイ経済の不均衡につ いて警告した。ブラックホースの前にはABNアムロ・アセット・マ ネジメントで投資ストラテジー責任者を務めた。名門証券会社だった ソロモン・ブラザーズでの勤務経験もある。

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