9月22日の海外株式・債券・為替・商品市場

◎外国為替市場

ニューヨーク外国為替市場ではドルが対ユーロで3営業日ぶりに 反落。1年ぶり安値となった。世界的な景気回復の兆候を受け、利回 りの高い資産に資金が流入した。

米ドルは対主要通貨中では、ニュージーランド・ドルに対して最 も下げた。オーストラリア・ドルに対しても値下がり。アジア開発銀 行(ADB)が域内経済の成長率予想を上方修正したことが背景。ブ ラジル・レアルは上昇。米格付け会社のムーディーズ・インベスター ズ・サービスが同国の信用格付けを投資適格級に引き上げたことを好 感した。

インベステック・アセット・マネジメント(ロンドン)の為替 管理担当責任者、サノス・パパサバス氏は、「景気回復の観点に立て ば、投資資金は米国を離れ、もっとチャンスの高い地域へと流れる」 と指摘。「ドルは08年の逃避通貨だった。現在その大規模な反転が 起きているのは、マネーを投資に回す意味が出てきたことを意味す る」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時11分現在、ドルは対ユーロで0.8% 安の1ユーロ=1.4795ドル(前日は同1.4680ドル)。一時は08年 9月23日以来の安値となる同1.4821ドルまで下げる場面もあった。 ドルは対円で0.8%安の1ドル=91円16銭(前日は同91円93銭)。 円は対ユーロで1ユーロ=134円87銭(前日は同134円96銭)。

ブラジル・レアルは対ドルで一時前日比1.9%高と、08年9月 22日以来の高値となった。米ムーディーズがブラジルの外貨建て、お よび自国通貨建て国債格付けを「Ba1」から、投資適格級の「Ba a3」に引き上げたことが背景。格付け見通しは「ポジティブ」に指 定した。

スイス・フラン

スイス・フランは対ドルで一時1%高となり、08年7月以来の高 値を付けた。フランは8日に3カ月物ドル建てロンドン銀行間取引金 利(LIBOR)が昨年11月以来初めて、フラン建てLIBORを下 回って以降、2.3%上昇。高利回り資産を購入するのにドルが最も割安 な調達通貨となったことが背景。

ユーロは対英ポンドで0.1%安と、7日ぶり下落。一時は4月9 日以来の高値まで上げる場面もあった。

ゴールドマン・サックス・グループはこの日電子メールで配布し た調査リポートで、1ユーロ=84ペンスを目標に対ポンドでのユーロ 売りを奨励。「英国はユーロ圏と比べて金融引き締めに傾斜してい る」ことを理由に挙げた。

アジアの通貨

アジアの主要通貨は上昇。アジア開発銀行はリポートで、日本を 除くアジアの09年成長率予想を3.9%と、3月時点の予想3.4%から 上方修正した。さらに、10年には6.4%成長に加速すると予想した。

シンガポール・ドルは対米ドルで0.4%高。インド・ルピーは同

0.4%値上がり。一方、韓国ウォンはほぼ変わらずだった。

米国をはじめ、欧州やアジアの株式相場が上昇したことから、逃 避先としてのドルの需要が後退した。MSCI世界指数は0.9%高、 S&P500種株価指数は0.7%値上がりした。

ニュージーランド・ドルは対円で1%高。一時は昨年10月7日以 来の高値まで上昇した。ニュージーランドは6月末に終了した年度の 経常赤字が約4年ぶりの水準に縮小。輸入の減少が寄与した。ニュー ジーランド・ドルは対米ドルでは一時2.5%値上がりし、昨年8月以 来の高値。オーストラリア・ドルは対米ドルで1.2%上げた。

米ピッツバーグで24、25両日開かれる20カ国・地域(G20) 首脳会議が世界の貿易不均衡の是正を呼び掛けるとの観測が広がり、 その場合はドルに対する他の通貨の一段高を招くとの思惑もドル売り 材料になった。

◎米国株式市場

米株式相場は上昇。ほぼ1年ぶりの高値をつけた。世界景気に改 善の兆しが示されたほか、アナリストが百貨店メーシーズやパソコン 大手ヒューレット・パッカード(HP)など企業の投資判断を引き上げ たのが好感された。

金融のJPモルガン・チェースは、バンク・オブ・アメリカ (BOA)による利益予想の引き上げを手掛かりに上昇。シティグ ループによる買い推奨が材料となり、メーシーズ株も上昇した。H Pはクレディ・スイス・グループによる投資判断の引き上げが好感 され、値上がりした。

産金のニューモント・マイニングや石油のエクソンモービルも 高い。商品相場の値上がりが影響した。建機大手のキャタピラーは 商品需要が売り上げを押し上げるとの見方を背景に上昇した。

S&P500種株価指数は前日比0.7%高の1071.66。ダウ工業株 30種平均は同51.01ドル(0.5%)上げて9829.87ドル。MSCI 世界指数は1.1%上昇した。いずれの指数も昨年10月初め以来の 高値で終えた。

PNCファイナンシャル・サービシズ・グループのウェルスマ ジメント部門のジェームズ・デュニガン最高投資責任者(CIO) は、「株高は今後も続くだろう。調整が入ったとしても大したもの にはならない。リスク資産への意欲は今後も拡大するだろう。様子 見に回されている資金は潤沢にある。米企業は非常に熱心に経費を 削減しており、経済活動は世界的に改善している」と述べた。

世界的な株高

この日はアジア開発銀行(ADB)が域内経済の成長率予想を 上方修正したことを好感し、世界的に株価が上昇した。ADBは中 国とインド、インドネシアの成長加速が地域経済を支えるとみてい る。ADBは22日発表したリポートで、日本を除くアジアの2009 年成長率予想を3.9%と述べた。

今月24-25日には米ピッツバーグで20カ国・地域(G20)首 脳会議が開催される。金融危機の再発防止策や持続的な景気回復な どが議題になる。

S&P500種は今年3月9日の12年ぶり安値から58%値を戻し た。各国の景気対策が景気回復につながるとの見方や医療品メーカ ーのジョンソン・エンド・ジョンソンからゴールドマン・サック ス・グループに至るまで多数の企業決算がアナリスト予想を上回る 好調だったのが背景。

金融株

JPモルガンは4.3%高。ダウ工業株30種平均銘柄の中で値上 がり率トップ、7月15日以降では最大の上げだった。BOAのア ナリスト、ガイ・モスコウスキー氏が第3四半期の1株当たり利益 を46セントから49セントに上方修正した。

BOAも上昇。ロッチデール・セキュリティーズのアナリスト、 リチャード・ボーブ氏が同銀の目標株価を25ドルに引き上げたの が買い材料だった。従来は19ドル。同行が政府の二つの債務保証 プログラムの解消を決定したことが理由。

S&P500種金融株価指数は2.3%高。産業別10指数の中で値上 がり率トップ、昨年11月以来の高値に押し上げられた。

シティグループは米百貨店大手のメーシーズの売り上げ増が期 待できるとして、投資判断を「ホールド」から「買い」に修正した。 メーシーズはこの日、5.5%高で取引を終えた。

HPは上昇。クレディ・スイスは同社の株式投資判断を「ニュ ートラル」から「アウトパフォーム」に引き上げた。

◎米国債市場

米国債相場は上昇。430億ドルと過去最高規模になった2年債 入札への需要が最近2年で最高となったため、買いが優勢になった。 米連邦公開市場委員会(FOMC)が22-23日の会合後、政策金利 の据え置きを発表するとの見通しも支援材料。

入札の応札倍率は2007年9月以来で最高となる3.23倍。過去 10回の平均は2.65倍だった。ブルームバーグ調査ではFOMCは政 策金利を維持すると予想されている。

ジョン・ハンコック・ファイナンシャル・サービシズのファンド マネジャー、ジェフリー・ギブン氏は「入札は非常に好調だった。23 日のFOMC声明発表を控え、売買が手控えられた」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後3時13分現在、2年債利回りは前日比4ベーシスポイント(b p、1bp=0.01ポイント)低下の0.96%。2年債(表面利率1%、 2011年8月償還)価格は2/32上げて100 2/32。

入札

2年債入札(償還2011年9月)の結果によると、最高落札利回り は1.034%と、入札直前の市場予想の1.0296%を上回った。海外の 中央銀行を含む間接入札の落札に占める割合は45.2%。前回8月は

49.4%だった。過去10回の平均は41.5%。

モルガン・スタンレー・スミス・バーニーの債券ストラテジスト、 ケビン・フラナガン氏(ニューヨーク在勤)は「最近の入札では政府 の意図と目的が完全に達成されている」としながらも、「これは続か ないとの見方が根強い。今後の課題は大きく、供給は大きな問題にな るだろう。だれが米国債を買い続けるのかとの疑問が残っている」と 語った。

財務省は23日に400億ドルの5年債、24日に290億ドルの7 年債を発行する。今週の総額1120億ドルの入札は、8月24日の週 (1090億ドル)を上回り、過去最高。

キャンター・フィッツジェラルドのチーフ債券ストラテジスト、 ジョージ・ゴンキャルベス氏はブルームバーグテレビジョンとのイン タビューで「短期債で安価に資金を調達し、流動性が高く厚みのある 米国債のような市場で運用し、利ざやを稼ぐ動きが選好されている。 いつかはこの動きにも困難が生じるだろうが、利上げや短期債の大き な調整を懸念するのはやや尚早だ」と述べた。

前回8月26日の5年債入札(規模390億ドル)での応札倍率は

2.51倍と、過去10回の平均である2.23倍を上回った。間接入札の 割合も56.4%と、過去10回の平均40.6%を上回った。

経済指標は軟調

米連邦住宅金融局(FHFA)が発表した7月の住宅価格指数は 前月比0.3%上昇。ブルームバーグがまとめたアナリストの予想中央 値0.5%上昇を下回った。これも朝方の買い材料となった。9月のリ ッチモンド連銀製造業景況指数は14と、前月から変わらず。7人の アナリスト予想である16を下回った。

RBCキャピタル・マーケッツの国債トレーダー、ダン・マルホ ランド氏は「景気対策や自動車買い替え奨励策が終わったとき、何が 景気を浮揚するのだろうか。企業に価格決定力はなく、インフレは加 速しないだろう」と述べた。

購入プログラム

米連邦準備制度理事会(FRB)の国債買い取りプログラムが始 まった3月25日以降、購入総額は2892億1900万ドルに上っている。 最大3000億ドルを買い取る同プログラムは10月に終了する。FRB は1兆2500億ドル相当の政府機関発行の住宅ローン担保証券(MB S)と2000億ドル相当の機関債も購入している。両プログラムは12 月末に終了する。

FOMCは23日に終わる会合で、総額1兆4500億ドルの住宅関 連証券の購入プログラムについて、現在は年末までと設定されている 終了期日の延長を決定する可能性がある。また購入規模を漸進的に縮 小する方針を決める可能性もある。

バークレイズの金利ストラテジスト、マイケル・ポンド氏は「わ れわれが注目しているのは金融当局がMBSや機関際購入に関する 変更を示唆するかどうかだ。プログラム期間を延長し、年末までに予 定額の全額を買い取るのではなく、来年1-3月(第1四半期)まで 購入を続けるかどうかだ」と語った。

◎金先物市場

ニューヨーク金先物相場は4営業日ぶりに上昇。ドル下落で代替 投資先としての金の魅力が戻った。

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)の ドル指数は一時、1年ぶりの低水準まで下げた。世界経済の回復の兆 しを受けて、高利回り資産に投資資金が流れたことが背景。同指数は 年初から前日までに5.6%低下した一方、金は同時期に14%上昇した。 金はこの日、2008年3月に付けた過去最高値、1オンス=1033.90 まで、あと1.2%のところまで接近した。

ラサール・フューチャーズ・グループ(シカゴ)の金属トレーダ ー、マット・ジーマン氏は、「この日はドルがかなり売りたたかれた。 金の値動きは、ドルがこのまま下げ続けるという観測に基づいたもの だ」と語った。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 12月限は前日比10.60ドル(1.1%)高の1オンス=1015.50ドル で取引を終了した。一時は1021.50ドルまで上昇した。前日には

996.30ドルまで下げる場面も見られた。

◎原油先物市場

ニューヨーク原油相場は反発。ドルが下落したことを受け、イン フレヘッジとしての需要が増大し、4日ぶりに上昇した。

原油相場は前日比で一時3.1%高。ドルが対ユーロで1ユーロ=

1.4821ドルと、23日以来の安値まで下落したことが背景。アジア最 大のエネルギー消費国、中国の原油の純輸入量は8月に18%増加し 1792万トンと、過去2番目の高水準となった。

トラディション・エナジー(コネティカット州スタムフォード) の市場調査ディレクター、アディソン・アームストロング氏は「ドル 大幅安に対する反応以外の何物でもない」と指摘。「前日はドルが上 昇し、原油がバレル当たり2ドル以上値下がりした。この日はドルが 対ユーロで1年ぶり安値となり、原油相場は見ての通りだ」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物10月限は前日 比1.84ドル(2.64%)高の1バレル=71.55ドルで終了した。

◎欧州株式市場

欧州株式相場は上昇。アジア開発銀行(ADB)に続き、イタリ アとスイスも景気見通しを上方修正したことを受け、世界的なリセッ ション(景気後退)が終息しつつあるとの兆候が強まった。

欧州最大の半導体メーカー、STマイクロエレクトロニクスは堅 調。半導体価格が約1年ぶりの高水準となったことを好感した。クル ーズ船運営大手の英カーニバルは3カ月ぶり大幅高となった。同社が 利益見通しを上方修正したのに加え、バンク・オブ・アメリカ(BO A)が同銘柄を買い推奨したことが買いにつながった。商品相場の上 昇を背景に、オーストラリアのBHPビリトンなど鉱山株が高い。

ダウ欧州600指数は前日比0.5%高の244.22で終了。同指数 は3月9日の水準から55%上げている。

リーガル・アンド・ゼネラル(ロンドン)の株式ストラテジスト、 ジョージーナ・テイラー氏はブルームバーグテレビジョンとのインタ ビューで、相場はさらに若干上昇する可能性があるとの見方を示し、 「当社は株式に対して楽観的だ。現実の経済活動が高まり始めている 兆しがある」と語った。

22日の西欧市場では、ベルギーとルクセンブルクを除く16カ国 で主要株価指数が上昇。ダウ・ユーロ50種指数は前日比0.3%高、 ダウ・欧州50種指数は0.5%上げた。

景気見通し

イタリア財務省当局者はこの日、今年の国内総生産(GDP)が 前年比4.8%減少した後、来年は同0.7%増加するとの見通しを示し た。スイス政府によれば、今年は1.7%のマイナス成長となり、来年 はプラス0.4%となると見込まれている。

STマイクロは2.4%高。独半導体メーカーのインフィニオン・ テクノロジーズは1.3%上げた。DRAMエクスチェンジ・テクノロ ジーによると、指標となる半導体の価格は21日に1.1%上昇し、 2008年8月以来の高水準となった。

BHPビリトンは1%高。英豪系鉱山会社リオ・ティントは

2.4%上げた。プラチナ生産大手の英ロンミンは2.3%、メキシコの銀 生産会社フレスニージョは3.6%それぞれ上昇した。

◎欧州債券市場

欧州債市場ではドイツ国債相場が下落。株式相場の上昇を背景に 国債の安全性に対する需要が後退した。また、高利回り資産に投資資 金が向かうなか、各国政府が実施する過去最大規模の国債入札が不調 に終わるとの懸念が広がった。

独10年債利回りはほぼ6週間ぶりの高水準となった。MSCI世 界指数は3営業日ぶりに上昇したほか、米株価指数先物も上げている。 ウニクレディトによると、ドイツ政府は今年10-12月(第4四半 期)の借り入れ計画を近く発表する。オランダとイタリアはこの日、 合わせて29億ユーロの国債入札を実施した。

ラボバンク・グループのシニア市場担当エコノミスト、エルビ ン・デグロート氏(ユトレヒト在勤)は、「景気の改善に伴い、各国 政府が大規模な借り入れを必要としていることがますます国債相場へ の重しとなるだろう」と指摘。リスク志向が改善していることから、 株式相場の上昇も「材料だ」と語った。

ロンドン時間午後4時25分現在、10年債利回りは前日比2ベー シスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し3.39%。一時は

3.44%まで上げる場面もあった。同国債(表面利率3.5%、2019年 8月償還)価格は0.13ポイント下げ100.85。2年債利回りも2bp 上げ1.27%となった。

◎英国債市場

英国債相場は下落。株式相場の上昇を背景に、比較的安全な資産 である国債への需要が後退した。

10年債利回りは約1カ月ぶり高水準となった。英FTSE100 指数は一時1.1%高となり、過去8営業日中で7日上昇した。イングラ ンド銀行(英中央銀行)は21日、巨額の赤字を抱える国への投資は警 戒されるとし、利回りが上昇する可能性があるとの見方を示した。

バークレイズ・キャピタル(ロンドン)の英国債セールス責任者、 アダム・マコーマック氏は「株を含むリスクの高い資産に資金が向かっ ている」と指摘。「それに伴い、英国債は売りが優勢となっている」と 語った。

ロンドン時間午後4時35分現在、10年債利回りは前日比3ベー シスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)上昇し3.77%。一時は

3.80%と、8月13日以来の高水準に達した。同国債(表面利率

4.50%、2019年3月償還)価格は0.22ポイント下げ、105.78。2 年債利回りは0.86%と、前日からほぼ変わらず。

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 西前 明子 Akiko Nishimae +1-212-617-2601 anishimae3@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

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