サウジ富豪2家族の資金流用めぐる確執、中東の融資習慣を揺るがす

サウジアラビア有数の資産家、マ ーン・アルサニア氏は鮮やかな赤色のしま模様が描かれた高さ4フィ ートのコンクリート壁のバリケードの奥で企業帝国を運営している。 2つ目のさらに高い壁の上側には有刺鉄線がむき出しになっている。 同氏の会社に近い住宅地が5年前に受けたテロ攻撃の名残だ。この攻 撃では22人が死亡した。

アルサニア氏はいま、資産家になるきっかけとなった妻の家族と の問題で異なる種類の包囲攻撃を受けている。事業紛争が通常、非公 式に解決されるこの地域で、サウジの石油の町であるアルコバールで 最も有名な2家族、アルゴサイビ家とアルサニア家との確執が公にな って以来、ペルシャ湾岸地域全体で融資が抑制される事態となってい る。

フランスのBNPパリバや米シティグループを含む銀行80行へ の未払い金は少なくとも157億ドル(約1兆4000億円)に上り、相次 いで訴訟が提起されている。この騒動により、この地域の家族経営企 業に対して透明性の向上を求める圧力が強まり、名義貸しや評判に基 づいた融資は減少している。

INGインベストメント・マネジメントのドバイ担当ファンドマ ネジャー、ヤザン・アブディーン氏は「アルゴサイビ家にしろアルサ ニア家にしろ、決して破産したりデフォルト(債務不履行)に陥った りしないと考えられていた」と指摘。「事実は、それが起こり得ること を示している。サウジやクウェート、アラブ首長国連邦(UAE)の 銀行が打撃を受け、各行は融資モデルを変更することになるだろう。 だれも予想しなかった『ブラックスワン』のような出来事だ」と語る。

アルコバールは、リヤドの東250マイルに位置し、ペルシャ湾の 海辺にある原油資源に恵まれた町だ。アルゴサイビ家の一部の人々が、 アルサニア氏を提訴したことにより、町は法廷・金融闘争の渦中にあ る。同氏は今年のフォーブズ誌の長者番付で62位。アルゴサイビ家側 は、アルサニア氏が資産運用事業を手掛けている間に、100億ドルの 資産を流用したと主張している。

口座は凍結

複数の銀行関係者が5月31日に明らかにしたところによると、サ ウジアラビア通貨庁(中央銀行)はアルサニア氏の口座を凍結。裁判 所の文書によると、アルゴサイビ家はその後、同氏の資産92億ドルを 凍結するためケイマン諸島の裁判所命令を利用した。

アルサニア氏が運営するサード・グループは16日、電子メールの 文書で「申し立てはすべて全く根拠に欠ける」と主張している。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE