米中貿易戦争は回避か-中国の輸入急増で米企業に恩恵、日本・韓国も

計6080億ドル(約55兆4000 億円)相当の製品を海外から購入する中国の消費者のおかげで、同国 と米国が貿易戦争に突入する公算は小さくなりつつある。

世界銀行のデータによれば、中国の輸入はここ5年で68%増加し、 現在では国内総生産(GDP)のほぼ3分の1を占める。同国の海外 製品需要は米企業には朗報で、米企業の対中輸出額は過去5年間で計 3510億ドルに上った。

オバマ米大統領が中国から輸入されるタイヤ製品に最大35%の 上乗せ関税を課すと決定し、中国は米国から輸入する鶏肉と自動車製 品に対して反ダンピング(不当廉売)と補助金の調査を実施する方針 を明らかにした。ただ中国の輸入が世界経済に与える恩恵が大きくな っていることから、両国間の貿易問題がこれ以上深刻化するリスクは 軽減されそうだ。中国のGDPは世界2位の経済大国である日本の規 模を抜く見通しで、その購買力は新たな顧客を求める企業に魅力だ。

世銀の元コンサルタントで、現在シティグループの大中華圏担当 チーフエコノミストを務める沈明高氏(香港在勤)は「中国の内需依 存度が高まるにつれ、同国の台頭は現在一部で受け取られているよう な大きな脅威とは世界で考えられないようになる」との見方を示した。

食肉生産で世界最大の米タイソン・フーズは、2001年に中国市 場に参入。昨年は、同社の牛肉の売上高14億ドルのうち10%、鶏肉 については16億ドルのうち12%を中国が占めた。

タイソンによれば、中国の1人当たりの食肉消費量は推定で年間 約20ポンド(約9キロ)と、同89ポンドの米国は下回るものの、無 視できない規模。同社がホーメル・フーズほか32の農業関連の米企 業・業界団体とオバマ政権に対し、中国との貿易戦争を回避するよう 今月要請した背景にはこうした事情がある。

対立激化を回避

バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチのエコノミスト、 陸挺氏(香港在勤)は「中国経済の規模と、同国が他の主要国とかか わる度合いによって、対立の激化防止につながる可能性がある」と指 摘する。

国際通貨基金(IMF)が購買力平価を基に算出したデータによ れば、中国は昨年、世界の経済成長の3分の1を占めた。過去10年 の成長率が平均10.2%だった同国のGDPは来年に5兆3000億ド ルと、日本の4兆7200億ドルを追い抜く見通しという。

4兆元(約53兆4000億円)規模の景気対策により、中国の消 費者が外国製品・サービスを求める需要には拍車が掛かっている。輸 入が急増する同国は今年、米国を抜いて日本の最大の輸出相手国とな るほか、韓国にとっても最大の輸出市場となる。

--Li Yanping, Jason Clenfield, Shamim Adam, Michael Forsythe, Mark Deen, Simon Kennedy, Timothy R. Homan. Editors: Chris Anstey, Melinda Grenier

参考画面: 翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先: 東京 森 茂生 Shigeki Mori +81-3-3201-3843 smori1@bloomberg.net Editor:Keiko Kambara 記事に関するエディターへの問い合わせ先: Chris Anstey at +1-202-624-1972 or canstey@bloomberg.net

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