9月16日の海外株式・債券・為替・商品市場

◎外国為替市場

ニューヨーク外国為替市場ではドルが対ユーロで大幅安。約1 年ぶりの安値に落ち込んだ。米鉱工業生産の伸びが、ドル売り・高利 回り資産買いを促した。

主要16通貨のうち、ニュージーランド・ドルは円とドルに対 し最も値上がりした通貨の一つ。ニュージーランドの銀行間預金3カ 月物レートが米国の水準よりも約10倍高いことから買いを集めた。

ウエストパック銀の通貨ストラテジスト、ローレン・ロスボロ ー氏(ロンドン在勤)は「成長に適した環境になってきた。高金利、 高ベータ通貨にとって見通しは明るい。手持ち資金が銀行口座から引 き出されている兆候がみられる」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時4分現在、ドルは対ユーロで0.5% 下げて1ユーロ=1.4729ドル。一時は1.4737ドルと、2008年9 月25日以来の安値をつけた。前日は1.4658ドルだった。円はユー ロに対して0.2%安の1ユーロ=133円72銭(前日は133円47 銭)。円は対ドルで0.3%高の90円79銭。一時は2月12日以来の 高水準となる90円13銭まで上昇した。

ニュージーランドの3カ月物レートは2.73%。これに対し米 国は0.28%、日本は0.38%となっている。オーストラリアは同

2.93%。オーストラリア・ドルは対米ドルで最大1.3%値上がりし 1豪ドル=87.49セントと、約1年ぶりの高値に上昇した。

鉱工業生産とCPI

米連邦準備制度理事会(FRB)が発表した8月の米鉱工業生 産指数(製造業、鉱業、公益事業の生産を対象、季節調整値、2002 年=100)は前月比0.8%上昇した。ブルームバーグがまとめた予想 中央値は0.6%上昇だった。

労働省が発表した8月の米消費者物価指数(CPI、季節調整 済み)は前月比0.4%上昇、前年比では1.5%低下した。

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE) のドル指数は最大0.5%下げて76.172と、昨年9月23日以来の低 水準となった。今年3月に記録した年初来最高値の89.624からは 15%低下した。

バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNYメロン)のシニ ア為替ストラテジスト、マイケル・ウールフォーク氏は「リスク許容 度が引き続き改善傾向にある。ドルには今後も売り圧力がかかるだろ う」と述べた。

円上昇

藤井裕久財務相は、就任前に為替介入しないと同氏が述べたと の一部報道に関して「原則はそうだ。そういうことが自由経済を壊 す」と語った。為替介入に対する直接的なコメントは異例。また、円 相場について「乱高下していない。徐々に動いているだけだ」との認 識を示した。この発言は円の買い材料となった。

カリヨンのグローバル為替戦略部門副責任者、ダラフ・マー氏 (ロンドン在勤)は、「強い円を一段と容認する姿勢を明確に示そう としている。為替介入が効果的ではないと考えていることを示唆し た」と述べた。

◎米国株式市場

米株式相場は上昇。世界的な株高の流れを継承した。MSCI 世界指数はほぼ1年ぶりの高値となった。世界経済がプラス成長を回 復するとの観測から商品相場も上昇し、ドルが対ユーロでほぼ1年ぶ りの安値を付けるなか、金相場は過去最高値付近まで上昇した。

ゼネラル・エレクトリック(GE)とアルコアが大幅高。米連邦 準備制度理事会(FRB)が発表した8月の米鉱工業生産指数が予想 を上回る伸びとなったことが、買い材料になった。シティグループも 高い。政府の債務保証プログラムから離脱を検討しているとの報道が 好感された。

パイオニア・インベストメンツ(ボストン)で2000億ドル以上 の運用に携わるジョン・キャリー氏は、「世界経済に対する信頼感が 増すにつれ、リスク許容度も高まっている」と指摘。「GEなどの大 企業の先行きをめぐるセンチメントは、金融危機の最中には暗雲の中 にあったが、今では改善されているようだ」と述べた。

S&P500種株価指数は前日比1.5%高の1068.76。ダウ工業 株30種平均は同108.30ドル(1.1%)上昇の9791.71ドルで終 了した。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の騰落比率は6対1。

S&P500種が前日に1年ぶり高値を維持したことから、株式 相場は世界的に軒並み高となった。米小売売上高が予想を上回る増加 となったほか、資産家ウォーレン・バフェット氏が株式を購入してい ると表明したことが手掛かりだった。

景気後退「恐らく終了」

バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は前日、「米国 のリセッション(景気後退)は恐らく終了した」と発言。一方、資産 家ウォーレン・バフェット氏は、米経済は政府の刺激策に反応してい るとの認識を示した。20カ国・地域(G20)は経済再生に向け約 12兆ドルの拠出を約束している。

MSCI世界指数は3月9日以降65%上昇。FRBは1年前の リーマン・ブラザーズ・ホールディングス破たん後の信用市場凍結を 解除するため、政策金利をゼロ付近に維持している。

フィッシャー・インベストメンツ(米カリフォルニア州ウッドサ イド)の最高経営責任者(CEO)として280億ドルの資産を運用 するケネス・フィッシャー氏はインタビューで、「弱気相場の度合い が強く大きく荒れた後ほど、大幅なV字型回復になる」と指摘。「通 常のV字型回復であれば1年間は継続する。現在の上昇局面は3月に 始まった」と述べた。

金属相場の上昇

金相場は前日比13.90ドル高の1オンス=1020.20ドルで終 了。世界的な景気回復がインフレを誘発する可能性があるとの観測が 広がり、インフレヘッジとしての需要が高まった。外国為替相場では、 利回りの高い資産への資金流入でドルが対ユーロで値下がりし、昨年 9月以来の安値まで下落した。

産金最大手のバリック・ゴールドは1.5%高。アルミニウム大 手アルコアは3.4%値上がりした。

GEは6.3%急伸し、ダウ工業株30種平均の値上がり率トップ。 08年末の終値16.20ドルを上回る17ドルで終了し、年初からの下 落分を帳消しにした。

シティグループは1.9%高。米金融機関の中で政府の債務保証 プログラムの最大の利用者である同社は、この支援策からの離脱を検 討していると、事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

◎米国債市場

米国債市場では2年債が続落。過去3週間で最大の下げとなっ た。株価が上昇したほか、米連邦準備制度理事会(FRB)が発表し た鉱工業生産指数が予想を上回り、比較的安全とみなされる国債の売 りが膨らんだ。

2年債は4日連続で下落。鉱工業生産は前月比0.8%上昇と、 ブルームバーグがまとめた予想の中央値である0.6%上昇を上回っ た。社債発行に伴うヘッジ目的の国債取引が増加した。財務省は来週 実施する2、5、7年債入札の詳細を17日に発表する。

クレディ・スイス・セキュリティーズUSAの金利ストラテジス ト、アレックス・リー氏は「短期国債からリスク資産に資金が動いて いる。株式相場が非常に堅調で、安全資産とみなされている米国債の 勢いを削いでいる。17日に入札規模発表を控えていることも、期間 が短めの国債が軟調になった理由だ」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時16分現在、2年債利回りは前日比5ベーシスポイント (bp、1bp=0.01ポイント)上昇の0.99%。これは7bp上 昇した8月26日以来で最大。2年債(表面利率1%、2011年8月 償還)価格は3/32下げて100 1/32。10年債利回りは2bp上昇 の3.47%。

7月の鉱工業生産は1%上昇に上方修正された。

RBCキャピタル・マーケッツの金利ストラテジスト、クリスャ ン・クーパー氏は「市場は鉱工業生産統計を製造業回復を示す新たな 兆候とみなしている」と語った。

8月の米消費者物価指数(CPI)は前月比0.4%上昇。食品 とエネルギーを除いたコア指数は前月比0.1%上昇と、市場予想と 一致した。

早期利上げ観測

ヘッジファンドを顧客とする調査会社、メドレー・グローバル・ アドバイザーズのリポートも売り材料となった。同リポートを読んだ 人物によると、FRB内には早ければ次の米連邦公開市場委員会(F OMC)会合で金利を引き上げるべきだとの声がある。

ソロス・ファンド・マネジメントの元チーフ政治ストラテジスト で、下院銀行委員会で政治顧問を務めたこともあるリチャード・メド レー氏が1997年に同社を創設した。同社の広報担当、ハンナ・リト ル氏はコメントを避けた。

社債発行

社債発行に絡むヘッジ目的の国債売りも出た。この日はエクセロ ン傘下のエクセロン・ジェネレーションやFNCファンディング、フ ォード・モーター・クレジットなどが社債を発行。起債に詳しい複数 の関係者によると、この日の起債総額は少なくとも88億ドル。

モルガン・キーガン(テネシー州メンフィス)の債券セールス・ トレーディング・リサーチ責任者、ケビン・ギディス氏は「社債発行 が活発になっている。起債に絡んだ国債売りがみられる」と指摘した。

企業は起債に際し、米国債を売り持ちして、社債の利回り上昇に 備える。起債が終わると、国債の持ち高を解消する。

ブルームバーグ調査

ブルームバーグが世界の端末ユーザー1851人を対象にまとめた 9月の調査(実施7-11日)によると、世界経済への信頼感は調査 開始以来の最高を更新した。リセッション(景気後退)終息の兆候や 景気刺激引き揚げを急がないとの当局者の発言が追い風になった。

9月のブルームバーグ・プロフェッショナル・グローバル信頼感 指数は58.54と前月の58.12から上昇した。同指数で50は楽観的 な見方と悲観的な見方の境目を示す。

同指数によると、米国債利回りは今後6カ月間に上昇するとの見 通しが示された。10年債利回りの上昇見通しを示す指数は66.2と、 前月の64.8から上昇した。6月には73.7と、ブルームバーグが同 調査を始めた2007年11月以降で最高を記録した。

PIMCO

債券ファンド最大手の米パシフィック・インベストメント・マネ ジメント(PIMCO)のビル・グロス共同最高投資責任者(CI O)は8月、米国債や機関債など政府関連債の保有比率を5年ぶりの 高水準に引き上げた。

PIMCOのウェブサイトによると、グロス氏は運用資産1775 億ドル(約16兆円)の「トータル・リターン・ファンド」に占める 政府債の割合を7月の25%から44%に引き上げ、2004年8月以来 の高水準とした。一方、住宅ローン関連証券の比率は47%から38% に低下した。

◎金先物市場

ニューヨーク金先物相場は終値ベースでの最高値を記録。世界的 な景気回復がインフレを引き起こすとの懸念が背景。

バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が前日、米リ セッション(景気後退)は恐らく終了したと発言。ドルへの安全逃避 需要が減退し、ドルは主要6通貨バスケットに対し、約1年ぶりの 安値に下げた。金相場は昨年3月に記録した過去最高値の1033.90 ドルに1.3%と迫った。

ヘレウス・プレシャス・メタルズ・マネジメントのセールス担 当バイスプレジデント、ミゲル・ペレスサンタラ氏(ニューヨーク在 勤)は、「ドルは全方向から売り圧力を受けている。商品はさらに騰 勢を強めている。金買いはすべてテクニカルか投資需要に基づいてい る」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先 物12月限は前日比13.90(1.4%)高の1オンス=1020.20ドル で取引を終了した。

◎原油先物市場

ニューヨーク原油相場は続伸。1バレル=72ドルを上抜いた。 エネルギー省が発表した週間在庫統計で原油在庫が1月以来の低水準 に減少したことが買いを誘った。

原油在庫は前週比473万バレル減の3億3280万バレル。ブル ームバーグがアナリスト15人を対象にまとめた調査では250万バ レルの減少が見込まれていた。輸入は2.1%減の日量平均890万バ レルとなった。一方、ガソリンと留出油の在庫はともに増加した。

エネルギー顧問会社、オイル・アウトルックス・アンド・オピニ オンズのカール・ラリー社長は「原油在庫の大幅な減少は明らかに強 材料だ」と指摘。輸入減は「米国外の需要が予想よりも強いことを示 唆している可能性がある」との見方を示した。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物10月限は前 日比1.58ドル(2.23%)高の1バレル=72.51ドルで終了した。 年初からは63%高。

◎欧州株式市場

欧州株式相場は続伸し、ダウ欧州600指数は11カ月ぶり高値 を付けた。米資産家ウォーレン・バフェット氏が15日に株式を購入 していると明らかにしたことが好感されたほか、商品相場の上昇を背 景に資源株が買われた。

オーストラリアの鉱山会社、BHPビリトンは3.2%高。ロン ドン金属取引所(LME)の銅、鉛、ニッケルの各相場が上昇したこ とが材料となった。スペインの衣料小売り、インディテックスは

5.1%上昇。同社の今年2-7月(上期)利益がアナリスト予想を上 回ったことが好感された。

ロンドン証券取引所を運営するロンドン証券取引所グループ(L SE)は4月以来の大幅高。ドイツ取引所がLSE買収に関心を示し ているとの観測を背景にLSEへの買いが膨らんだ。

ダウ欧州600指数は前日比1.4%高の244.82と、11カ月ぶ り高値で終了。19の産業別グループすべてが上げた。同指数は3月 9日の水準から55%上げている。

大和アセット・マネジメントのファンドマネジャー、グレガー・ スミス氏(ロンドン在勤)は、「相場上昇でまだ買いを入れていない 投資家がいることから、現水準から若干上昇する可能性がまだある」 と語った。

16日の西欧市場では、18カ国すべてで主要株価指数が上昇。ダ ウ・ユーロ50種指数とダウ・欧州50種指数はいずれも前日比

1.4%上げた。

自動車株の上昇

フランスの自動車メーカー、ルノーを中心に自動車株が上昇した。 ルノーと資本・業務提携関係にある日産自動車の中国での販売台数計 画を上方修正することを明らかにしたことがきっかけ。ルノーは

5.5%高。

ドイツのスポーツ車メーカー、ポルシェは4.5%上昇。独BM Wは0.6%上げた。BMW傘下の英高級車メーカー、ロールス・ロ イス・モーター・カーズのトム・パーベス最高経営責任者(CEO) はインタビューで、新型車「ゴースト」が来年の同部門販売台数の倍 増に寄与することを期待していると語った。

◎欧州債券市場

欧州債市場ではドイツ国債相場が下落。米鉱工業生産指数が予想 を上回る伸びとなり、米国経済がリセッション(景気後退)から脱却 しているとの新たな兆候が示されたことが背景。

独2年債は3日続落した。欧州連合(EU)統計局が発表した8 月のユーロ圏消費者物価指数(改定値)は、コア指数が予想を上回る 上昇となった。ブルームバーグの調査によると、世界経済に対する投 資家の信頼感は9月に記録的な高水準を維持した。ドイツ政府が実施 した発行額41億ユーロの10年債入札で、応札倍率が1.6倍と今年 の平均と一致したことを受け、欧州債相場は値上がりする場面もあっ た。

ウニクレディト・マーケッツ・アンド・インベストメント・バン キングの債券ストラテジスト、コーネリアス・パープス氏(ミュンヘ ン在勤)は、「世界経済の回復を確信するならば、国債は驚くほど過 大評価されている」と指摘。「国債の上昇は見せかけであり、異例な 低金利がもたらす流動性によるところが大きい。独10年債は利回り

3.70%が適正水準だとみる」と述べた。

ロンドン時間午後4時50分現在、独10年債利回りは前日比5 ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し3.34%。同国 債(表面利率3.5%、2019年償還)価格は0.41ポイント下げ

101.31。

◎英国債市場

英国債相場は下落。2年債利回りは17年ぶり低水準から上昇に 転じた。この日発表された8月の米鉱工業生産指数が予想以上に改善 し、世界的なリセッション(景気後退)が和らぎつつある兆候が強ま ったことを受け、安全資産としての国債需要が後退した。

10年債相場は続落。FT100種指数が約1年ぶり高値をつける など、世界的に株高となった。

RIAキャピタル・マーケッツの債券ストラテジスト、ニック・ スタメンコビッチ氏は、「米国を中心に世界的に株高となったことに 反応し、英国債が再び軟調となった可能性がある」と述べた。「現在 から次の総選挙までの間に歳出削減をめぐる数多くの観測が出るだろ う」とも語った。

ロンドン時間午後5時現在、2年債利回りは前日比5ベーシスポ イント(bp、1bp=0.01ポイント)上昇し0.80%。一時は

0.71%まで下げ、ブルームバーグがデータ集計を始めた1992年1 月以来の低水準となった。

同国債(表面利率4.25%、2011年3月償還)価格は0.09ポ イント下げ105.04。10年債利回りは3.69%と、前日から7bp上 昇した。2年債に対する10年債の上乗せ利回りは288bpと、92 年以降で最大の幅に拡大した。

東京ニューズルーム  +81-3-3201-8900

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 藤田比呂子 Hiroko Fujita +81-3-3201-8662 hfujita2@bloomberg.net Editor:Akiko Kobari 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE