シルバーウイークに90円突破か-「円高経験則」で、GWは60%的中

ドル・円相場は日本が大型連休「シ ルバーウイーク」となる来週中に1ドル=90円を割り込む可能性があ る――。三菱東京UFJ銀行金融市場部の橋本将司シニアアナリストは、 「日本の休み中に円高が進みやすい」というアノマリー(経済的合理 性だけでは説明できない経験則)を理由に、円の上昇リスクを警戒す べきと指摘している。

日本は来週21日から23日まで休みで、土・日を含めると5連休 となる。このような大型連休は今年が初めてで、春の「ゴールデンウ イーク」に対して「シルバーウイーク」と称されている。

橋本氏は15日、ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、 「夏休みやゴールデンウイーク、正月など日本の休み中には円高にな りやすいというアノマリーがある。日本の企業が休みに入り、流動性 が下がる中で、海外勢を中心に円高を試す展開になりやすいためだが、 来週は日本がシルバーウイークに入るので、ひょっとしたら90円トラ イもあるのではないか」と語った。

ドル全面安の流れのなか、ドル・円相場は先週末に1ドル=90円 台に突入。一時、90円21銭と2月12日以来、約7カ月ぶりの水準ま でドル安・円高が進んだが、その後は心理的節目である90円ちょうど を手前に、足踏みの状態が続いている。

円高アノマリー

過去10年間のゴールデンウイーク期間中(4月下旬から5日初 旬)のドル・円相場をみると、円高が進んだのは10回中6回。2001 年には約2.1%、03年と05年はそれぞれ1.6%程度、円高となってい る。

また、日本の「お盆休み」がある8月を月間ベースでみると、過 去10年間中8回が「円高月」となっており、今年は約1.7%円が上昇 している。

NTTスマートトレードの工藤隆営業企画部長は、「日本の長期休 暇の場合、本邦実需筋がドル売り注文をたくさん出すことが多いため、 海外勢がそうしたオーダーをバックに円高トライすることがよくあ る」と解説する。

加えて、市場参加者が減少し、市場の流動性が低下すると、通常 よりも値動きが増幅されやすくなるため、予想以上に円高が進む可能 性があるというわけだ。

90円割れは一瞬か

もっとも、ドル・円が90円ちょうどを割り込んでも、そのまま一 方的にドル安・円高が進むかどうかは不透明だ。実際、連休明けは、 輸入企業が休み中に溜まった輸入決済のドル買い・円売りを持ち込む ため、円安が進みやすいとの指摘も聞かれる。

サイバーエージェントFXの福寄儀寛氏は、8月のアノマリーに 基づきドルを売っていた向きはこれまでにかなりの利益を得たはず、 と指摘。その上で、投機筋などのポジションをみてもドルの売り持ち 高がたまりすぎているため、ドルの下落は持続しない可能性が高く、 「90円ちょうどに向けては、ドルのロング・ポジション(買い持ち) を積み上げ始めるのが賢明」と語る。

米商品先物取引委員会(CFTC)によると、シカゴマーカンタ イル取引所(CME)国際通貨市場(IMM)では、今月8日時点の ドル・円先物取引の非商業部門の円ポジションは4万799枚の買い越 し。買い越し幅は前回1日時点の3万2365枚から拡大し、2月以来で 最大となっている。

一方、シルバーウイーク明けの24、25日には米ピッツバーグで 20カ国・地域(G20)首脳会議(金融サミット)が開催される。

三菱UFJ信託銀行資金為替部の井上英明グループマネージャー は、心理的節目である90円ちょうどが意識されるなか、「目先はドル 安方向で仕掛けが入りやすい局面が続く」としながらも、ドル安が行 過ぎれば、自国通貨高に対して諸外国から文句が出始める可能性があ り、「金融サミットが近づくにつれ、警戒感からドルの買い戻しが強ま る」とみている。

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