問われるスペシャリストの手腕-藤井財務相・税調会長内定

新政権の財務相に蔵相の経験を持 つ民主党の重鎮、藤井裕久最高顧問(77)が内定した。藤井氏が16 日午前、国会内でブルームバーグ・ニュースに明らかにした。政界引 退の意向を固めていたものの、鳩山由紀夫代表の慰留を受けて先の衆 院選の比例代表で7期目の当選を果たし、15年ぶりに内閣の要職に就 く。藤井氏は公約実現に向けた来年度予算の組み替えなどの難題に直 面し、その手腕がすぐさま問われることになる。

藤井氏は「昨夜、鳩山由紀夫代表から財務相就任の内示があった」 と述べるとともに、新設される政府税制調査会の会長も兼務すること を明らかにした。

「いわゆる財務のスペシャリスト。経験豊富な人を置いておくと いう意味で順当だ」-。三井住友アセットマネジメントの武藤弘明シ ニアエコノミストは今回の人事を高く評価する。旧大蔵省(現財務省) OBの藤井氏は、官房長官秘書官や主計局主計官を経て1976年に同省 を退職し、政界に転出。93年の細川護煕内閣と翌年の羽田孜内閣で蔵 相を務めた。

藤井氏が就任後直ちに着手するのは、民主党がマニフェスト(政 権公約)に掲げた「子ども手当」や「高校の無償化」などの新政策を 実行に移すための来年度予算の組み替えだ。麻生太郎政権が7月に決 定した来年度予算の一般歳出の上限を定めた概算要求基準を抜本的に 見直した上で、各省庁に対し新政策を盛り込んだ再要求を提出させる。

財務省が例年、8月末の概算要求締め切りを受けてスタートさせ る査定作業は、新政権の方針待ちで事実上ストップしている。民主党 は景気への悪影響を避けるため、越年予算は避ける方針。前例のない 予算組み替えの実現は新政権のリーダーシップ次第、というのが財務 省の受け止め方だ。

補正から3兆-4兆円の財源捻出も

新政策の実施に必要な財源は7.1兆円。同党は補助金や公共事業 など財政の無駄遣いの削減や外国為替資金特別会計の積立金など「埋 蔵金」の活用により財源を捻出(ねんしゅつ)する構えで、総額15 兆円規模の今年度補正予算の一部執行停止も検討している。

藤井氏は13日のテレビ朝日の番組で、「3とか4という数字は出 ると思う。数字の計算と言われればそうかもしれないが、その通りで きなきゃおかしい」と述べ、09年度補正予算の執行停止や交付済みの 資金の回収を通じて3兆-4兆円の財源を捻出できるとの見方を示し た。補正予算のうち、「未執行」は全体の5割を超える8.3兆円。同党 は交付決定された「執行済み」の7兆円の中にも使用可能な資金はあ るとしている。

一方、「埋蔵金」の活用は容易ではない。民主党が狙う外国為替資 金特会や財政融資資金特会の運用益は内外金利の影響を受け、それぞ れ1.8兆円(09年度)と1.3兆円(同)と前年度比で半減するなど減 少傾向。財投特会の金利変動準備金3.4兆円(同)は、基礎年金の国 庫負担引き上げの財源などに転用され、10年度でほぼ底をつく。

来年度国債発行は今年度以下に抑制

JPモルガン証券の足立正道シニアエコノミストは「予算の組み 替えや無駄の排除だけで財源を確保するのは困難」として、国債増発に つながる可能性を指摘する。市場の懸念に対し、鳩山代表は「国債発 行は極力抑える。無尽蔵に予算をばらまいて足りなくなったら国債発 行をするやり方は反省すべきだ」と強調。来年度の国債発行額は今年 度補正後の44.1兆円以下に抑える考えを示している。

三井住友アセットの武藤氏は「09年度対比で来年度の国債発行額 を減らすというハードルは高くない。問題は11年度以降の財政状況だ。 誰が財務相になっても来年度予算はソフトランディングができるが、 単なる問題の先送りだ」とした上で、同党が封印している消費税率引 き上げも選択肢の1つとして考えざるを得ないとしている。

国の借金は6月末時点で過去最高の860兆円に上り、3月末に比 べて18兆円超増加した。昨秋以降、低迷している景気を下支えするた め政府が相次いで取りまとめた経済対策に伴う国債増発が響いた。09 年度末には924兆円と初めて900兆円を突破する見込み。市場に対し て財政健全化に向けた目標を示すことも新政権の責務となる。

一方で、景気次第で追加歳出が必要な事態も想定される。民主党 に近い榊原英資元財務官は9日の講演で、国内景気は自動車や家電の 買い替え支援策による需要一巡や補正予算の執行停止により、「年末か ら年初にかけて二番底に陥る」恐れがあると指摘。政権発足後の「相 当早い時期」に景気対策を打つべきだとしている。

財務省の丹呉泰健事務次官は7日の会見で、「経済対策として取り まとめられた補正予算の執行を止めた場合の景気への影響を見ていか なくてはならない」とけん制。藤井氏も「少なくとも秋には、注意し なければならない経済状況に陥る可能性はある」としており、足元の 景気動向をにらみながらの綱渡りの財政運営を余儀なくされそうだ。

--取材協力 氏兼敬子、広川高史、野沢茂樹 Editor:Masaru Aoki, Norihiko Kosaka

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