短期資金取引、リーマン破たん1年で半減-市場安定で政策見直しも

米証券大手リーマン・ブラザーズ の破たんから1年が経過したが、この間に日本の短期金融市場では、 銀行間取引が半分以下に落ち込んでいる。米国発の危機が日本に波及 するのを回避しようと、日本銀行が2回利下げした結果、銀行の運用 意欲が低下。また、資金調達を望む金融機関に対する信用も、完全に は回復していないためだ。

日銀は昨年10月と12月の2回にわたり、利下げを実施。政策金 利である無担保コール翌日物の誘導目標はそれまでの0.5%から

0.1%へと、計0.4%引き下げられ、超低金利時代に戻った。

短資協会が公表した14日の無担保コール取引残高は5兆3105億 円と、「リーマンショック」直前の2008年9月12日の12兆437億円 に比べて約56%減少した。不良資産の処理がまだ終わらず、信用が回 復しきっていない欧州系を中心とした外国銀行で、円資金の調達が 90%以上減少した影響が大きい。

これに対し、外国銀行が日銀の準備預金に必要以上の資金を積み 上げる超過準備額は2兆円程度と、6倍以上に膨らんでいる。海外中 央銀行が潤沢に供給したドルやユーロを円に交換する動きがあるうえ、 昨年11月から日銀が超過準備金に対して0.1%の利息を払っている影 響もある。

セントラル短資の金武審祐執行役員は、「取引減少に伴う機能低下 は避けられないが、日銀がゼロ金利を回避したことで辛うじて市場機 能は確保されている。信用リスクも最悪の状態から徐々に回復してい る段階だ」という。

CP金利、大幅低下

信用市場の機能まひをもたらしたリーマンショックに対し、日銀 は伝統的な金利政策だけでなく、昨年末以降、信用危機対応の異例な 政策も導入。企業が発行するコマーシャルペーパー(CP)の買い取 りや、CPを担保に0.1%で3カ月物の資金を供給する企業金融支援 特別オペを実施しており、通常の利下げだけでは困難なCP金利の低 下など金融緩和効果を発揮している。

15日のユーロ円TIBOR(東京銀行間貸出金利)3カ月物は

0.53077%と2006年12月以来の低水準。昨年12月につけたピークか らの低下幅は38ベーシスポイント(bp)に達する。

ただ、3カ月物のCPレート(a-1格付け)は、昨年のピーク の1.8%台から0.1%台まで大幅に低下し、国庫短期証券(TB)利回 りを下回る「官民逆転」が生じた。異例の政策がもたらした副作用と も言え、今後も政策を継続するか議論の焦点となっている。

異例の政策は見直しも

セントラル短資の金武氏は、金融市場が抱える問題を人の病気に 例え、「慢性疾患である金融機関のバランスシート調整が終らない限り 利上げは難しい」としながらも、「急性疾患のリーマンショックからあ る程度立ち直ったのであれば、異例の政策を見直す方向に議論が進む」 とみる。

先行きの景気回復が見通しづらいなか、国内では物価が継続的に 下落するデフレ懸念も出てきており、将来の金融政策変更を予想する オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)は1年先まで今 の超低金利を織り込んでいる。

金融市場が落ち着いた後も異例の政策を継続することはモラルハ ザード(倫理の欠如)につながる危険もある。金武氏は、金利引下げ 効果が大きい企業金融支援特別オペについて、「10月の金融政策決定 会合にも既存の共通担保オペとの統合など、見直しが議論されるので はないか」とみている。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE