「藤井財務相」約16年ぶり円売り介入も、2つの「85」防衛-野村証

野村証券の池田雄之輔外国為替アナ リストは、鳩山由紀夫次期内閣で財務相就任が有力視される藤井裕久民 主党最高顧問が約16年前の蔵相時代と同様に、外国為替市場での円売り 介入を決断する公算があるとみている。日米欧の通貨当局がドル買いの 協調介入に踏み切る可能性も否定できないという。

池田氏は14日のインタビューで「民主党は円売り介入に慎重だとさ れるが、経済・金融情勢に不透明感が根強い中で無秩序な円高が進めば 話は別だ」と指摘。1ドル=85円に向けて円高が加速すれば、円売り介 入があり得ると予想した。ドル安が国際金融資本市場を動揺させる恐れ が強まった場合には、日米欧の「協調によるドル買い介入の可能性も排 除できない」とも述べた。

15日付の日本経済新聞朝刊は、民主党の鳩山代表が16日に発足さ せる新政権の財務相に藤井氏を起用する方針を決めたと報じた。藤井氏 は1993年8月に発足した非自民8党連立の細川護煕内閣で大蔵大臣に 就任した。直後の同月17日、財務省が公表している91年5月分以降で は当時の過去最高額となる2002億円の円売り・ドル買い介入を実施。戦 後初の100円突破が迫っていた円高・ドル安を100円35銭で食い止め、 ひとまず反転させた経緯がある。

藤井氏は3日、ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、為 替介入は基本的に「あまり乱用すべきではない」が、投機的で「異常」 な動きに対しては「介入してもいいというのが1つある」と述べた。

足元の円相場は対ドルで11、14日に一時90円21銭に上昇。2月 12日以来、約7カ月ぶりの円高・ドル安水準をつけた。1月21日には 87円13銭と、1995年7月以来13年半ぶりの高値を記録。2007年6月 の安値124円13銭から30%上昇した。戦後最高値は95年4月につけた 79円75銭。財務省によると、政府・日銀は04年3月を最後に、為替市 場介入を実施していない。

米国も容認、協調の可能性も

池田氏は、輸出依存から内需主導への転換を図る民主党が円高阻止 の為替介入に慎重であったとしても、ファンダメンタルズ(経済の基礎 的諸条件)からかい離した急激な円高進行は株価急落や企業・消費者心 理の冷え込みを招き、景気の底割れにもつながりかねないと強調する。

チャート分析の観点からも、1月につけた87円13銭を超えると、 95年4月につけた戦後最高値「79円75銭まで円高・ドル安に歯止めが かからなくなる可能性もある」と指摘。新政権が円売り介入を余儀なく される公算があると語った。

池田氏は、今回の円売り介入は米国の理解を得やすい面もあると指 摘する。足元でドルの全面安が進んでいるためだ。無秩序なドル安は海 外投資家の対米投資を萎縮させ、米国内外の金融資本市場に深刻な混乱 を招きかねないためだという。

防衛ラインは「85」

米連邦準備制度理事会(FRB)が算出するドルの実質実効相場 (全通貨対象、73年1月=100)は、主要通貨が変動相場制に移行する きっかけとなったニクソン・ショック後、73年1月の統計開始から今ま で85を大幅に割り込んだことがない。

ドル指数は78年10月に84.16まで下落したが、米カーター政権は 翌11月にドル防衛策を発表。ドル相場の底割れを回避した。メキシコ危 機を背景としたドル安の面もあった「超円高」の95年4月から7月にか けても84台に下落。日本銀行の利下げや、同年6月に大蔵省国際金融局 長に就いた榊原英資氏らが演出した日米協調介入もあり、ドルは上昇に 転じた。

米証券ベアー・スターンズが破たんした08年3月には84.77に下落 した後、ドルは持ち直した。同年8月28日付の日本経済新聞朝刊は、日 米欧の通貨当局が3月にドル買い協調介入を柱とするドル防衛策で秘密 合意していたと報じた。

FRBによると、3月に97.26だったドル指数は足元で89.55。池 田氏は「ドルが87-85円、1ユーロ=1.50-1.55ドル前後」まで下落 すると、事実上の「防衛ライン」に到達すると試算。米株式・債券・ド ルの「トリプル安などの混乱を回避するため、日米欧などの通貨当局が ドル買い協調介入を選択する可能性も排除できない」と話した。

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