日航、きょう改善計画提出-デルタとアメリカンの争奪戦、狙いは中国

赤字に苦しむ日本航空は15日 午後、国土交通省の「日航の経営改善のための有識者会議」に経営改 善計画案を提出する。同社に対しては米デルタ航空やアメリカン航空 が資本提携に意欲を示しているが、狙いは提携強化による中国などア ジア路線の拡大で、日航救済ではない。改善計画がまとまるまでには 曲折がありそうだ。

デルタやアメリカンが日航への出資を打診していることが明らか になったのを受け14日の日航の株価は、前日比13円(8.0%)高の 176円で終了。東証1部市場では上昇率3位、出来高も3000万株を 超え4位と大商いとなった。15日は反落している。

クレディスイス証券の板崎王亮リサーチアナリストは14日付の リポートで、2社の争奪戦の日航株価への影響について「潜在価値向 上という点でポジティブ。資金調達面や効率化余地の拡大など実利面 からみても好ましい」と評価。「外国資本が筆頭株主になることで、 路線再編などで国内事情を優先しにくくなることやリストラ加速も見 込まれよう」と指摘した。

しかし、提携が実現したとしても日航再建の決め手としては疑問 視する声もある。野村証券金融経済研究所の村山誠シニアアナリスト は14日付の投資家向けメモで、信用格付けについて「日航はスタン ダード&プアーズ(S&P)でB+だが、デルタ航空はBと低い」と 指摘。「筆頭株主になったとしても、それだけでは信用力の補完とは ならない」とみる。S&Pのアメリカンの格付けもB-だ。

村山氏はさらに日航の財務体質について、09年6月末の自己資 本1579億円に対し実質有利子負債は1兆4000億円を超えているこ とから、数百億円の出資では効果は限定的と指摘。「提携を呼び水に、 金融機関や取引先事業会社などを引受先として追加的な資本増強を行 うことで、信用力の向上を図っていると推察される」とみている。

米社も必死

世界の航空会社は3グループに分かれており、路線をそれぞれコ ードシェア(共同運航)することで世界の隅々までネットワークを張 り巡らしている。

日航は、10社が提携する「ワンワールド」に加盟、既にアメリ カンとコードシェアしている。デルタは、エールフランス・KLMな どと同じ「スカイチーム」に加盟しており、日本の航空会社との提携 はない。もうひとつの「スターアライアンス」は、全日本空輸が加盟 している。デルタと日航との連携は、日本やそこから広がるアジア地 域に大きな足場を築くことが可能となる。

30億ドル(約2700億円)を運用するアトランティス・インベス メント・リサーチのエドウィン・マーナー社長は、デルタやアメリカ ンは「旅客獲得のため何とか提携を実現しようと必死だ」と指摘、そ の理由として、日航が「すでに中国の多くの都市へ飛ばしている」こ とを挙げた。

日米両国は、2010年の羽田空港や成田国際空港の増枠や、オー プンスカイという航空自由化をめぐる協議などを進めている。国土交 通省国際航空課の田口芳郎課長補佐は14日、日航と米社との提携交 渉に関する報道は米での交渉中に知ったが、「今後の環境整備の枠組 みには何ら影響は受けないことは米当局側と確認した」と述べた。

デルタが日航と組んだ場合、「羽田の問題やオープンスカイの問 題にどう対応するのか、強い関心を持っている」と述べる一方で、ア メリカンはアジアの足場を失うことになるため「今後の動きを十分注 意して見ていきたい」と語り、中立的な立場で推移を見守る姿勢を示 した。

国交省の谷口博昭事務次官も14日の会見で、日航がどの企業と の提携を選択するのかは「国交省が強制することはない」と発言。 15日午後の有識者会議に日航の経営陣から抜本的な経営改善案が提 示されることに期待を示した。

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