9月14日の海外株式・債券・為替・商品市場

◎外国為替市場

ニューヨーク外国為替市場ではドルがユーロに対して下落。年初 来の安値水準まで売られた。借り入れコストが過去最低となり、投資 家はドルを売って高金利通貨に買いを入れた。

ポンドはドルに対して5週ぶりの高値付近から下落。英国の住宅 価格は来年また下落するとの企業リポートが嫌気された。ニュージー ランド・ドルは対米ドルで大幅安。同国の7月の小売売上高が予想に 反して減少したのが背景。

英銀HSBCホールディングスのデービッド・ブルーム氏(ロン ドン在勤)は「米国でこの先数年間予想される低金利構造がドルの価 値を押し下げ始めるだろう」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時現在、ドルは対ユーロで0.4%下げて 1ユーロ=1.4621ドル。前週末は1.4571ドルだった。この日は一時 昨年12月18日以来の安値となる1.4653ドルまで売られた。円はド ルに対して0.2%安の1ドル=90円91銭。この日は2月12日以来の 高値となる90円21銭まで上昇する場面もあった。円はユーロに対し て0.6%安の1ユーロ=132円92銭(前週末は132円17銭)。

LIBOR

英国銀行協会(BBA)によれば、3カ月物ドル建てロンドン銀 行間取引金利(LIBOR)は14日、0.5ベーシスポイント(bp、 1bp=0.01%)弱低下し0.295%と、過去最低を記録した。

ブルームバーグ・データによると、ドルを調達資金とするキャリ ートレードは先月、08年3月以来初めて円で調達したキャリートレ ードよりも高リターンで低リスクとなった。リスクに対するリターン の指標であるシャープ・レシオのドルと円の差は5月以降、平均で

1.35。04年以降の平均はマイナスの0.37。シャープ・レシオが高く なるほど、リスク調整済みのリターンは高くなる。

米中タイヤ関税問題

この日ドルは一時、ユーロに対して値上がりする場面もあった。 米国が中国からのタイヤ製品に対して追加関税を決定したことから、 米中の関税摩擦で世界景気の回復が足踏みする可能性が懸念され、高 金利通貨への需要が落ち込んだ。

RBSセキュリティーズの為替戦略責任者アラン・ラスキン氏に よると、その後トレーダーがドルのロング(買い持ち)ポジションを 手じまったとの観測で、ドルは値上がり分を消した。

ラスキン氏は「米中関税問題によるドル上昇には疑問が残る。貿 易関連の問題は資金の流れにも影響を及ぼす。今回の米中関税問題が ドルへの逃避を招いたとの見方は納得がいかない。私個人の意見とし ては、持続的にドルを買う根拠にはならない」と述べた。

米政府は11日、中国製輸入タイヤへの上乗せ関税を発表した。 これに対し中国政府は13日、米国から輸入される鶏肉と自動車製品 に対して反ダンピング(不当廉売)と補助金の調査を実施すると発表。 中国商務省は13日、ウェブサイトを通じて、国内企業が「不公正な 貿易慣行」によって打撃を受けていると訴えた。

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)の ドル指数はほぼ変わらずの76.697。11日は08年9月25日以来の最 低となる76.457をつけた。

◎米国株式市場

米株式相場は上昇。S&P500種株価指数はほぼ1年ぶりの高値 を付けた。公益株や金融株、工業株が堅調に推移し、朝方の下落から の反転に貢献した。

ラベル最大手のエイブリー・デニソンと、包装材メーカーのシー ルド・エアはともに6%近い大幅高。米バンク・オブ・アメリカ(B OA)のアナリストが両銘柄の投資判断を「買い」に引き上げたこと を好感した。

電力会社のAESがけん引し、S&P500種の公益株指数は3週 間ぶりの大幅上昇。米紙ウォールストリート・ジャーナルが、中国の 政府系ファンドがAESの株式取得を検討していると報じたことが手 掛かりとなった。オンライン証券大手のEトレード・ファイナンシャ ルも高い。米シティグループが投資判断を引き上げたことが買い材料 になった。

S&P500種株価指数は前週末比0.6%高の1049.34。終値ベー スで昨年10月以来の高値となった。ダウ工業株30種平均は同21.39 ドル(0.2%)上昇の9626.80ドルで終了した。

ウェッジウッド・パートナーズ(セントルイス)で5億ドルの資 産運用に携わるデービッド・ロルフ氏は「中国への輸出に依存してい ない企業はどれも今朝方の『買い』リストに載っていた」と指摘。 「貿易摩擦が取りざたされるなか、ディフェンシブ銘柄にまずまずの 買いが入っている」と述べた。

ロスチャイルド・グループのパリに拠点を置く運用会社、ロスチ ャイルド・アンド・シー・ジェスチョンのほか、ブラックロックやオ ッペンハイマーファンドの運用担当者は、景気敏感株から、通信会社 や製薬、食品メーカーなどのディフェンシブ銘柄に資金を移している。 シクリカル(景気循環)銘柄の上昇を支えられるほど景気回復は力強 くないとの見方が理由。

景気回復から最初の恩恵

エイブリー・デニソンは6%高。シールド・エアは5.8%値上が りした。BOAのアナリストは、包装や製紙株に強気な見方を示し、 これらの銘柄は景気回復から最も早く恩恵を受ける業種の1つだと指 摘した。

AESは4.5%高。同社と資産総額約3000億ドル(約27兆円) の中国の政府系ファンド、中国投資(CIC)が、合弁事業の設立や CICによるAESの少数株取得などを含む提携関係について交渉し ていると、ウォールストリート・ジャーナルが事情に詳しい複数の関 係者の話として伝えた。

S&P500種の公益株指数は1.6%値上がりし、主要10業種で上 昇率トップ。

スプリントが高い

携帯電話サービスのスプリント・ネクステルは10%急伸し、S &P500種構成銘柄の値上がり率トップ。英紙サンデー・テレグラフ が複数の関係者の話として、欧州の通信会社ドイツテレコムがスプリ ントへの買収提案の可能性を検討するようアドバイザーのドイツ銀行 に要請したと報じ、これが好感された。

救急医療などの特別医療施設を運営するテネット・ヘルスケアは

5.5%高。同社は一部費用を除いた今年の利益見通しを引き上げた。 従来予想の8億1000万-8億7500万ドルから、9億-9億5000万 ドルの範囲になると明らかにした。

中国は米国から輸入される鶏肉や自動車製品について反ダンピン グ(不当廉売)と補助金の調査を実施すると発表。これより先、米国 は中国からのタイヤ製品に対し追加関税を課すことを決定した。

◎米国債市場

米国債市場では10年債が4営業日ぶりに下落。利回りを2カ月 ぶりの低水準に押し下げた最近の上昇局面は持続できないとの思惑か ら売りが出た。

長期債を中心に売りが出たため、2年債利回りに対する10年債 の上乗せ幅が拡大した。前週は総額700億ドルの3回の中長期国債入 札でいずれも需要が予想を上回り、10年債利回りは7月中旬以来の 低水準に低下した。同国債相場は週間ベースで5週連続で上昇した。

みずほ証券USAの米国債トレーディング責任者、ジェームズ・ コンビアス氏は「国債相場は先週、少し行き過ぎた。経済指標が発表 されるまで幾分下げ、それから方向感が出るだろう」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時21分現在、10年債利回りは前週末比8ベーシスポイント (bp、1bp=0.01ポイント)上昇の3.42%。10年債(表面利率

3.625%、2019年8月償還)価格は20/32下げて101 22/32。

10年債利回りは前週末に3.27%と、7月13日以来の低水準に低 下した。ブルームバーグが銀行や証券会社を対象に実施した調査によ ると、年末までに10年債利回りは3.69%に上昇すると予想されてい る。2年債と10年債の利回り差は0.06ポイント拡大し、2.50%。

財政赤字

国際決済銀行(BIS)は13日発表した四季報で、各国政府が リセッション(景気後退)に対応するために財政赤字を拡大させてい ることを懸念し、国債利回りは期間が長いほど上昇する可能性が高い と予想した。

さらに「財政規律の持続性に関する懸念は長期利回りに影響する 可能性が高い。これらの利回りはインフレや経済成長、金融政策の短 期的な見通しには影響されにくい」との見方を示した。

米財務省のデータによると、米政府は今年、国債発行で1兆 2000億ドルの新規資金を調達した。米連邦準備制度理事会(FR B)は2810億ドルの国債を購入した。これは財務省が今年、調達し た新規資金の23.5%に相当する。

米議会予算局(CBO)によると、今年度(9月末終了)の財政 赤字は1兆6000億ドルに達すると見込まれている。歳入が減少して いる中で、歳出が57年ぶりの大幅な伸びを示していることが背景。

中国

中国政府が13日、米国から輸入される鶏肉と自動車製品に対し て「不公平貿易慣行」として調査を実施すると発表したことも米国債 売りを誘った。中国は世界最速の経済成長を誇り、米国債の国別保有 額では7760億ドルと首位。オバマ米政権は11日に中国のタイヤ製品 に追加関税を課すことを決定した。

BMOキャピタル・マーケッツの最高投資ストラテジスト、ジャ スティン・ホーゲンドーン氏は「中国がこのように大きな米国債保有 国になったため、米中関係の緊張が増すほど、中国がドル資産を売っ て、金買いに走る動機が増す。事態悪化を阻止しないと、小さなこと から始まっても拡大する可能性がある」と語った。

◎金先物市場

ニューヨーク金先物相場は下落。先週に過去最高の水準に積み上 がったロング(買い持ち)ポジションの解消が始まるとの懸念が高ま った。ドルの上昇も金の売り材料だった。

米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、9月8日 に終了した週のニューヨーク金先物のロングからショート(売り持 ち)ポジションを差し引いたネットロングは22万4676枚と、前週比 22%増加した。ドルはこの日、主要6通貨バスケットに対して最大

0.6%上昇した。

ヘレウス・プレシャス・メタルズ・マネジメントのセールス担当 バイスプレジデント、ミゲル・ペレスサンタラ氏(ニューヨーク在 勤)は「COMEX金先物のネットロングが極めて高水準に積み上が っており、ロングポジションの解消が始まるとの話題で市場は持ちき りだ」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 12月限は前営業日比5.30ドル(0.5%)安の1オンス=1001.10ドル で取引を終了した。

◎原油先物市場

ニューヨーク原油相場は続落。保守・点検のため製油所が関連施 設の操業を停止していることに加え、消費減から米国の石油在庫が増 加するとの思惑から売りが続いた。

ガソリン需要が減り、ヒーティングオイルの需要期が始まる前の 9-10月に米国の製油所は修理や設備向上を実施する。米エネルギ ー省が先週発表した留出油の在庫は1983年以来の高水準に増加した。 同カテゴリーにはヒーティングオイルとディーゼル油が含まれる。

エネルギー取引コンサルティング会社、ショーク・グループのス ティーブン・ショーク社長は「原油の需給要因は弱気を示している。 ドライブシーズンは終わり、ヒーティングオイルの需要はまだ拡大し ていない。製油所は石油精製の端境期にあり、原油需要がかなり減る ことを意味する。調整があるとすれば、今だ」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物10月限は前 営業日比43セント(0.62%)安の1バレル=68.86ドルで終了した。

◎欧州株式市場

欧州株式相場は下落。ダウ欧州600指数は8日ぶりに下落した。 過去6カ月間の株価は、企業の業績見通しや経済成長見通しよりも速 いペースで上昇しているとの懸念が強まった。

仏ソシエテ・ジェネラルやドイツ銀行は野村インターナショナル による投資判断の引き下げを手掛かりに下落。鉱山大手の英豪系BH Pビリトンは非鉄金属相場の下落を背景に売られた。

ドイツのハイデルベルグセメント、建材メーカーのビナバーガー は大幅安。株式の新規発行で増資することを明らかにしたのが嫌気さ れた。

ダウ欧州600指数は前日比0.3%安の240.93。同指数は3月9日 以降では53%上げている。ブルームバーグのデータによれば、同指 数構成銘柄の株価収益率(PER)は前週末時点で46.8倍と、約6 年ぶり高水準となった。

バークレイズ・ウエルスの調査・投資戦略部門の責任者、マイケ ル・ディックス氏(ロンドン在勤)は「世界経済はまだ不安定要素が 多い。やるべきことはまだたくさんある。株価は適正水準に戻りつつ あるが、経済が好転しないと株式相場も改善しない」と述べた。

ノーベル経済学賞受賞の経済学者、米コロンビア大学のジョゼ フ・スティグリッツ教授は13日、信用危機の発生と米リーマン・ブ ラザーズ・ホールディングスの破たん後も、米国は自国の金融システ ムの根本的な問題解決を怠ってきていると指摘した。

EUの行政執行機関である欧州委員会は14日、最新の景気予測 を発表した。それによると、7-9月はプラス0.2%成長、10-12月 はプラス0.1%成長と予想されている。

ソシエテは2.4%安、ドイツ銀は0.9%の値下がりだった。

BHPビリトンは1%安。ロンドン金属取引所(LME)のニッ ケル、亜鉛はいずれも下落した。

◎欧州債券市場

欧州債相場は下落。イタリアが29億ユーロ相当の国債入札を実 施したほか、欧州連合(EU)が7-9月(第3四半期)の経済成長 率をプラスと予想したことが売り材料となった。

ドイツ10年債利回りは約4カ月ぶり低水準から上昇した。今週 はこの日のイタリアを皮切りに、アイルランド、ドイツ、スペイン、 フランスが国債入札を実施する。EUの行政執行機関である欧州委員 会は14日、最新の景気予測を発表した。それによると、第3四半期 はプラス0.2%成長、10-12月はプラス0.1%成長と予想されている。 4-6月は0.1%のマイナス成長だった。

この日は、株式指数のMSCI世界指数が8営業日ぶりに下落し たにもかかわらず、債券相場の支援材料にはならなかった。

ウニクレディト・マーケッツ・アンド・インベストメント・バン キングの債券ストラテジスト、コーネリアス・パープス氏(ミュンヘ ン在勤)は、「通常ならば株価下落に伴い債券は堅調に推移するとこ ろだが、この日は債券の投資家が今週の国債入札に備えていることか ら、売り圧力を受けた」と述べた。

ロンドン時間午後4時36分現在、10年債利回りは2ベーシスポ イント(bp、1bp=0.01ポイント)上げて3.26%。同国債(表面利 率3.5%、償還期限2019年7月)価格は0.20ポイント下げ101.99。 2年債利回りは4bp上げて1.23%。

◎英国債市場

英国債市場では2年債相場が下落。同利回りは前営業日比2ベー シスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)低下し0.88%。10年債利 回りは3.61%と、前営業日からほぼ変わらず。

英公債管理局(DMO)によると、この日の10億ポンドの2028 年償還国債(表面利率6%)の入札では応札倍率が2.13倍となった。 シティグループは1日、英国は2010年度(10年4月-11年3月)に 2370億ポンド相当を入札するとの見通しを示した。政府予想は2200 億ポンド。

メリルリンチ指数によると、9月の英国債の投資収益率はマイナ ス0.2%。これに対し、ドイツ国債は0.2%のプラスとなっている。

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