ドバイSWF清算の危機、金融センター目指し投資会社並みレバレッジ

アラブ首長国連邦(UAE)ド バイ首長国の政府系投資ファンド(SWF)、イスティスマル・ワー ルドは、主として借入金による270億ドル(約2兆4400億円)規模 の買収が裏目に出て、SWFとして初の清算に追い込まれる可能性が ある。事情について説明を受けた複数の関係者が明らかにした。

豊富なオイルマネーを持つクウェートや同じUAEのアブダビ首 長国や貿易黒字で資金豊富な中国の政府系ファンドと異なり、イステ ィスマルは買収代金の90%を借入金で賄っていた。関係者によると、 イスティスマルの親会社、ドバイ・ワールドは英バークレイズ、ロイ ヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)、ドイツ 銀行の3行に少なくとも15億ドルの債務がある。

ニューヨークの経済調査会社、ルービニ・グローバル・エコノミ クスのSWF担当シニアアナリスト、レイチェル・ジエンバ氏は「ド バイのSWFはプライベートエクイティ(未公開株)投資ファンド並 みにレバレッジを効かせていた」と指摘した上で、「イスティスマル の親会社の債務は相当額が期限を迎えようとしている」と述べた。

関係者が匿名を条件に述べたところによれば、2003年以来にイ スティスマルが行った買収の代金270億ドルのうち自己資金は約25 億ドル。関係者1人によれば、「ノンリコース(非遡及型)」融資で 代金の75%程度を賄い、残りはイスティスマルまたはドバイ・ワー ルドが保証した銀行からの定期融資だったという。

イスティスマルの活動はドバイを世界の金融センターの1つに押 し上げようとする同首長国の取り組みの一環。元リーマン・ブラザー ズ・ホールディングス幹部で06年からイスティスマルを率いてきた デービッド・ジャクソン氏と前任者は、米高級百貨店のバーニーズ・ ニューヨークやマンハッタンの高級ホテル、豪華客船クイーン・エリ ザベス2世号、カナダのエンターテイメント集団シルク・ドゥ・ソレ イユなど華やかな買収を重ねてきた。

コンサルティング会社、モニター・グループのロンドン在勤シニ アアナリスト、ビクトリア・バーバリー氏は「政府はドバイをロンド ンやニューヨークと同列の金融センターにしたかった」として、その ために「好調な時期には、世界の目を引くような買収を容認してい た」と話した。

しかし、金融・経済の環境悪化で買収案件の収益性は悪化。イス ティスマルは投資活動停止に追い込まれた。関係者によると、親会社 のドバイ・ワールドは少なくとも120億ドルの債務の再編について 債権団と交渉している。

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