投資家の余剰資金で社債利回り低下続く-JR東債など3年前の水準

普通社債の利回りの低下基調(価格 は上昇)が止まらない。金融緩和策の継続で運用難の投資家が社債の買 い増しを余儀なくされているためだ。9月の中間期末を控え、だぶつい た運用資金を安全で少しでも利回りの高い社債に向かわせる動きが続い ている。

高格付け社債の国債に対するスプレッド(金利上乗せ幅)は2けた ベーシスポイント(1bp=0.01%)台前半の水準で推移。電力会社やJ R各社ではリーマン破たんの影響で一時+30bp台前半まで拡大したが、 今年5月には中部電力債が+17bpと破たん以前の水準にまで戻した。

JR東日本とJR西日本が11日に起債した年限4年の国内普通社債 (SB)は、国債に対するスプレッドが+11bp(1bp=0.01%)。最近 の高格付け債では、電力会社の10年債を中心に国債またはカーブ(利回 り曲線)対比で+12bpという発行条件が相場だった。今回の+11bp台は 05年10月起債のJR東債(+10bp)や06年5月の東京電力債(+10bp) と3年以上も前の水準まで戻ったことになる。

JR東日本が募集したSBの発行額は4年債、10年債とも200億円 だった。JR西日本は3年債で150億円、20年債で100億円をそれぞれ 募集した。年限は短期から超長期までさまざまだったにもかかわらず、 国債対比のスプレッドはすべて+11bpで決まった。

JR東日本債とJR西日本債の事務主幹事を務めた三菱UFJ証券 デット・シンジケーション室担当者によると、投資家への需要調査は国 債に対するスプレッドで+11bpと+12bpの2本を提示していた。ただ、 スプレッドが縮小する状況では発行条件は一律的になりやすいという。

スプレッド水準を重要視する中央の機関投資家からは国債+12bpに こだわる向きもみられたが、各年限で+11bpを許容する投資家も多くみ られ同一条件での起債となったようだ。JR東日本の4年債では発行額 が100億円から200億円に増額となった。

銘柄の希少性

JR東日本では、8月28日に主幹事指名を行っており、起債に至る まで十分な時間があった。比較的に発行頻度が少ないJR東債を欲しい と待ち構える投資家には、+11bpはすんなりと受け入れられたという事 情もあるともいう。

モルガン・スタンレー証券の大橋英敏クレジット・ストラテジスト は「現在のような、投資家に余剰資金があり流動性が潤沢な状況下では高 格付け債のスプレッドはフラット化(同一化)しやすい」と説明、特に現 在の状況では20年程度まではこの傾向がみられるという。スプレッドの 縮小が極限になっている状況でもこの傾向があるとしている。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE