スティグリッツ教授:GDP「崇拝」回避を、広範な指標の重視要請

ノーベル経済学賞受賞の経済学者、 米コロンビア大学のジョゼフ・スティグリッツ教授は13日、世界の 指導者に対し、国内総生産(GDP)の検証で思い悩まず、繁栄を測 るより広範な指標を重視するよう呼び掛けた。

スティグリッツ教授はパリでインタビューに答え、「GDPは社会 の幸福と経済構造の変化を測る指標として利用されることが増えてき た。われわれの社会はGDPをますます貧弱な指標にしている」と指 摘した。

同教授の発言は、金融危機が始まった後の2008年初めにサルコ ジ仏大統領から委託された研究報告書の内容に関連したもので、ステ ィグリッツ教授ら研究者は14日にパリで開催される同大統領主催の 会合で報告書を提出する。同会合にはラガルド仏財務相も出席する。

富を測る現在の指標をめぐってはサルコジ大統領だけでなく、オ バマ米大統領や英保守党のデービッド・キャメロン党首も疑問を呈し ており、生産だけではなく「幸福」の度合いも考えることが必要だと している。

各国政府が金融システム再建に向けて金融機関に多額の公的資金 の注入を余儀なくされた米投資銀行リーマン・ブラザーズ・ホールデ ィングスの経営破たんから1年。スティグリッツ教授は、世界経済の 再生と気候変動の抑制に取り組んでいくには、統計の幅を広げること が肝心だと述べ、「個人にとって重要な多くのことがGDPには含まれ ていない」と指摘した。

政府の貢献

同教授は、GDPモデルの欠点として、政府の貢献度の評価を挙 げたほか、自動車などの製品の量だけではない質的な改善を評価する ことの難しさにも言及。家計債務の伸びが生産を押し上げる可能性が あるが、これは富の本物の伸びを意味しないと付け加えた。同教授は GDPの完全排除は勧告しなかったものの、各国政府にこうした課題 を環境問題などとともに検討するよう要請。「われわれの報告書から一 つ取り上げてもらうとすれば、各国政府がGDP崇拝を避けることだ」 と語った。

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