債券相場は堅調、円高で景気に不透明感-10年債利回りは1.3%割れ

債券相場は堅調(利回りは低下)。 為替相場が約7カ月ぶりのドル安・円高水準となり、国内景気の先行き に不透明感が広がった。円高を受けた株安を背景に先物買いが優勢だっ たほか、10年債利回りは3日以来の1.3%割れで取引された。

トヨタアセットマネジメントの深代潤チーフファンドマネジャーは 円高がさらに進展すると外需がけん引する景気回復期待に水を差すと指 摘。「需給面からは現物買いがそろそろ一段落するタイミングだが、さ すがに円高、株安のなかで債券はしっかりの展開だった」ともいう。

東京先物市場の中心限月12月物は、前週末比6銭安い139円9銭 で始まり、直後にこの日の安値139円7銭をつけた。しかし、その後に 買いが優勢となるとプラス圏に切り返して、日中も139円20銭付近で の推移が続いた。取引終盤にかけて139円29銭の高値をつけ、結局は 11銭高の139円26銭で引けた。日中売買高は1兆2617億円。

大和住銀投信投資顧問の横山英士ファンドマネジャーは、急激な円 高や株安を受けて債券市場は買い優勢になったと指摘。そのうえで、 「あすに20年債の入札を控えて投資家の積極的な取引は見られなかっ たが、海外ファンドなどからの株式先物売り、債券先物買いが相場を支 えていた」という。

この日の東京外国為替相場は1ドル=90円台半ばで取引され、約 7カ月ぶりのドル安・円高水準となった。株式市場では輸出関連銘柄が 企業業績悪化への懸念から売り込まれており、日経平均株価は一時は前 週末比250円を超える下げとなった。

一方、先物12月物の売買高は1兆円超にとどまるなど、外部環境 が良好なわりに取引は盛り上がらなかった。2年や5年債利回りが4年 ぶり低水準に到達するなど、短い年限における急激な金利低下が警戒さ れたほか、あすに20年債の入札を控えて様子見姿勢が強まったもよう だ。為替相場が一段と円高が進む展開にならなければ、債券相場も短期 的に上値が重くなるとの指摘もあった。

10年債利回りは1.29%

現物市場で新発10年物の303回債利回りは、前週末比0.5ベーシ スポイント(bp)高い1.305%で始まった。しかし、その後に買いが優 勢となると、午前9時半過ぎには0.5bp低い1.295%に低下し、3日以 来となる1.3%割れを記録。午後にいったんは1.30%に戻したが再び買 いが膨らんで、2時過ぎ以降は1日以来の低水準の1.29%に低下して いる。午後3時49分時点でも1bp低い1.29%で取引されている。

中期債相場も堅調な推移が続いており、新発5年債は1.5bp低い

0.56%をつけて、2005年9月以来の低い水準を記録したが、市場では金 利低下の持続性に懐疑的な見方も出ていた。大和住銀投信の横山氏は、 運用資金を潤沢に抱える銀行などの需要は根強いとしながらも、「16 日から現物債の受け渡しが来週の5連休明けになるので、週央以降に買 いが細る可能性も秘めている」との見方を示した。

あすの20年国債入札は無難か

15日に実施される20年国債(9月債)の入札は無難とみられる。 あす午前にも相場が堅調に推移すれば、新発20年債の表面利率(クー ポン)は2.0%に引き下げられ、この場合は3月債がつけた1.9%以来 の低い水準となる。一方、3カ月連続で2.1%に決まる可能性も残す。 発行予定額は1兆1000億円程度に据え置かれる。

20年債は利回り曲線上では中長期ゾーン対比で割安とされており、 金利の絶対水準からも2%台であれば相応の需要があると見込まれる。 みずほインベスターズ証券の井上明彦チーフストラテジストは、20年 債のクーポンについて、「量的緩和解除後に1回しか発行されていない

2.0%よりは、今年度上期中だけで5回目となる2.1%のほうが投資家 から選好されやすい」との見方を示していた。

ただ、20年債の利回りが一段と低下すると、主要な投資家である 生命保険などからの需要が鈍ることも考えられる。トヨタアセットの深 代氏は、足元の相場を取り巻く外部環境を勘案すれば入札は無難にこな すとしながらも、「これまで先回り的に買いを入れた向きも多く、入札 後さらに2%割れを探る展開までは見込みにくい」とみていた。

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