モルガンSのキンモント氏:金融緩和と財政出動でTOPIX1100へ

モルガン・スタンレー証券株式調 査部のマネージングディレクター、アレクサンダー・キンモント氏は日 本銀行による金融緩和政策の持続、民主党政権による積極的な財政出動 を条件に日本株相場は今後上昇し、2010年半ばにはTOPIXで1100 ポイントまで回復する可能性があると予想した。

キンモント氏は、11日に開かれた同証主催のセミナーでこうした 見方を示した。14日のTOPIX終値934.05と比べると、予想値は 約18%上方に位置する。同氏は、日本株相場の判断材料は「金融政策 と財政政策の2つだ」と強調。金融政策が緩和的であれば、ほとんどの ケースで相場は上昇し、逆に金融政策が過度に引き締められたケースで 下落する状況は、日本株の歴史を振り返れば分かりやすいと話した。

日本株相場は、89年に日本銀行が金融政策の引き締めに動いたた め、バブル崩壊とともに日経平均株価が史上最高値後に急反落。2000 年も、日銀のゼロ金利政策解除後にITバブルの崩壊が訪れ、株価も下 落に転じた経緯があると同氏は言う。

米国、欧州を中心とした主要国の金融政策当局は、世界的な金融危 機への対応策として昨年来、緩和姿勢を続けてきたが、景気は底打ちし、 過度の信用不安は後退したとの見方が浸透する中、足元では危機対応策 を一巡させるいわゆる「出口戦略」が話題に上っている。ただキンモン ト氏は、急激な金融引き締めは株式市場を混乱させると釘を刺す。

一方、日本の次期政権を担う民主党はマニフェスト(政権公約)で、 子ども手当ての支給、高速道路の原則無料化、ガソリンなどの暫定税率 の廃止などを盛り込んだ。一部では、民主党が人気を獲得するためのば らまき政策との批判もあるが、キンモント氏は「株式市場では拡大財政 はプラスで、インフレを作る政策は株価上昇につながる」と評価する。

小泉政権よりも期待

ただキンモント氏は、民主党への政権交代を単純に評価するのは 危険だと見ている。政治に注目し過ぎると、株式市場にとって重要なフ ァクターを無視してしまうためだ。

2005年夏の衆院選では当時の自民党小泉政権が郵政民営化を争点 に掲げ、国民の高い関心を呼び同党は圧勝。株式市場ではこれを、日本 の構造改革が一層進展すると受け止め、徐々に高まっていた景気の踊り 場脱却への期待と重なり、同年のTOPIXは5月から12月にかけ8 カ月連続で上昇した。特に選挙後9月以降の上昇は急で、年間上昇率は 44%に達した。外国人投資家の日本株買越額が、初めて10兆円を超え たのもこの年だ。

キンモント氏は、「郵政民営化は株式市場の観点から見れば、やっ てもやらなくても変わらない」と指摘。バリュエーションの高さ、セン チメントの強さから、この5年間で小泉政権時は日本株売りの好機だっ た振り返る。これに対し、今回の衆院選で民主党勝利が決まった8月 28日から9月11日までの騰落率はマイナス1.9%、出来高も低迷し、 市場は過度に政治に反応していない。「民主党政権への期待は弱く、効 果的な政策が出れば反応しやすく、買いのチャンス」と、同氏は見る。

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