ドルに先安観、キャリートレードの資金調達通貨に-高金利資産投資で

ドル安を見込んだ取引を投資家 は無視できなくなりつつある。

外国為替相場の変動性低下を受け、過去最低金利でドルを借りて 預金金利で米国を最大8.1ポイント上回る高金利国の資産を買う動 きが広がり、ドル指数は先週、1年ぶりの安値に下落した。LIBO R(ロンドン銀行間取引金利)でみたドル建ての借り入れコストは過 去3週間、円やスイス・フラン建ての借り入れコストを1994年以来 初めて下回る水準となった。

ブルームバーグが集計したデータによると、こうしたキャリート レードはここ約10年の間で最も収益性が高くなっている。ドル指数 は3月以降、財政赤字の1兆ドル突破や過去最大の国債発行、米連邦 準備制度理事会(FRB)による量的緩和策を背景にすでに14%下 落しているが、借りたドルを売るキャリートレードがドル相場をさら に押し下げている。

通貨ヘッジファンドで世界最大のFXコンセプツ(運用資産90 億ドル)のジョナサン・クラーク副会長は「ドルは重要な資金調達通 貨だ」と述べ、「キャリートレードのためにドルを借りる理由は、極 めて低い調達コストとドルの先安観だ」と指摘した。

リスク対リターン

ブルームバーグ調査対象45社で最も弱気派の英スタンダード・ チャータードは、ドルが年末までに対ユーロで6%下落すると予想。 一方、2009年1-6月(上期)のドル相場見通しで最も正確だった ドイツ銀行は強気で、10年初めまでにドルは11%上昇するとみてい る。

ブルームバーグ・データによると、世界の準備通貨であるドルで 資金調達するキャリートレードは先月、08年3月以来初めて円を使 ったキャリートレードよりも高リターンで低リスクとなった。リスク に対するリターンの指標であるシャープ・レシオのドルと円の差は 5月以降、平均で1.35と、04年以降の平均のマイナス0.37を上 回っている。シャープ・レシオが高くなるほど、リスク調整済みのリ ターンは高くなる。

ドイツ銀行の通貨戦略のグローバル責任者、バイラル・ハフィー ツ氏は「高リスク投資のための資金調達はドルで行われている」と指 摘し、「日米の金利は現在かなり近い水準にあり、これは極めて異例 の状態だ。過去約20年でみると、大半の時期は円が資金調達通貨と して選ばれてきた」と語った。

英国銀行協会(BBA)によると、3カ月物ドル建てLIBOR は先週、0.299%と過去最低を記録。一方、円建てLIBORは

0.366%、スイス・フラン建ては0.305%だった。ドル建てLIB ORは過去20年間、平均で円建てLIBORを3ポイント近く上回 る水準で推移してきた。

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