【今週の債券】堅調か、余剰資金流入で好需給-長期金利今年度最低も

今週の債券相場は堅調(利回りは 低下)な展開が予想される。金融機関の積み上がった余剰資金の一部が 安全資産の国債市場に流入して、利回り水準を押し下げる展開が継続し そうだ。新発10年債利回りは約2カ月ぶりに今年度最低水準を更新す る可能性がある。

岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長は、今週の債券相 場は堅調となり、新発10年債利回りは1.2%台半ばを探ると予想する。 「市場では景気が二番底入りするリスクが意識され始めており、投資家 の買いがにじみ出てくるのではないか」と説明した。

ブルームバーグ・ニュースが11日夕までに市場参加者から聞いた 今週の新発10年債利回りの予想レンジは1.25%から1.36%となった。 基本的には前週末の終値1.30%を挟んだ推移が見込まれるが、7月9 日につけた今年度の最低利回り1.27%を下回る場面もありそう。

前週の債券相場は堅調だった。8日に行われた5年債入札が順調な 結果となり、投資家の潜在需要の強さがあらためて確認されたことで利 回り低下が進んだ。特に期間が短くて価格変動リスクの小さい中期債が 買い進まれて、新発2年債利回りは0.205%、5年債は0.575%といず れも4年ぶりの低水準まで低下した。

国内銀は25兆-35兆円の余剰資金

投資家の余剰資金流入が債券需給のひっ迫を促しており、こうした 状況が続く可能性が高い。8月の銀行貸出平均残高は前年比1.9%増と 伸び率は8カ月連続で鈍化した一方、銀行預金は拡大した。RBS証券 ストラテジストの徐瑞雪氏は、国内銀行は25兆-35兆円に上る余剰資 金を抱えていると推計し、今後も国債の「重要な買い手として存在感を 維持する」という。

こうしたなか、日本銀行が16、17日に開く金融政策決定会合につ いて、市場では現状の金融政策が据え置かれるとの見方が一般的だ。鉱 工業生産の持ち直しなど景気は回復基調にあるが、前週発表の機械受注 などが予想を下回るなど指標は強弱まちまちで、金融政策は動かしにく い。日興シティグループ証券の佐野一彦チーフストラテジストは、「現 行金融政策の維持以外に選択肢はない。17日の白川方明日銀総裁の定 例会見も注目度は低い」と指摘し、相場への影響は限定的だという。

20年入札が焦点、クーポン2.1%か

材料面では、15日の20年利付国債入札が注目される。市場では、 新発20年債利回りが節目の2.1%を下回り、金利水準面で魅力が乏し くなったものの、良好な需給を背景に無難になるとの見方がある。日興 シティグループ証の佐野氏は、「先週は20年債利回りが2.0%に迫る 場面もあり、投資家は以前に比べて利回りに対する目線が下がっている 感があり、相場全体を崩すようなことはない」とみている。

前週末の入札前取引では2.065%程度で推移しており、今回の表面 利率(クーポン)は前回債から据え置きの2.1%が予想されている。発 行額は前回債と同額の1兆1000億円程度。

市場参加者の予想レンジとコメント

11日夕までに集計した市場参加者の今週の予想レンジは、以下の 通り。先物は中心限月12月物、新発10年国債利回りは303回債。

◎岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長

先物12月物138円80銭-139円80銭

新発10年債利回り=1.25%-1.34%

「堅調相場が続きそう。市場では景気が二番底入りするリスクが意 識され始めており、投資家の買いがにじみ出てくるのではないか。20 年債の入札を無難にこなせば、10月の10年債まで長期ゾーンの発行は 間隔があく。益出し売りが広がってもトータルで債券残高を維持したい 意向は強く、10年債利回りは1.2%半ばを探る展開とみる」

◎トヨタアセットマネジメントの浜崎優シニアストラテジスト

先物12月物139円00銭-139円75銭

新発10年債利回り=1.25%-1.32%

「堅調。今週は米国で重要指標発表が相次ぐが、小売売上が懸念さ れており、金利は上昇しにくい。日本はデフレ傾向が強い中で足元は円 高基調。銀行は資金余剰が続いており、債券利回りには低下圧力がかか りやすい。日本は主要国で一番デフレ圧力が強く、市場では日銀がそう 簡単に金融緩和からの出口を探りに行けないことを織り込みつつある」

◎みずほ証券の三浦哲也チーフマーケットアナリスト

先物12月物138円50銭-139円60銭

新発10年債利回り=1.27%-1.36%

「そろそろ買いが一段落する。中期ゾーンを中心に投資資金が前倒 しで流入したが、先週までに金利水準がかなり下がったうえ、市場見通 しも低下バイアスに傾きすぎている。10年債の1.2%台では売り圧力が 強まるだろう。20年債の入札では波乱はなさそう。中間期末が近づく タイミングにあたって、保有債券の年限を長期化する需要はおう盛だ」

◎三井住友海上火災保険投資部の高野徳義グループ長

先物12月物138円70銭-139円50銭

新発10年債利回り=1.27%-1.35%

「株式、為替市場をにらんで動きづらい。10年債利回りは1.3%を はさんでもみ合いか。1.2%台では中間決算対策で利益確定の売りが出 やすい。もっとも、大型連休を控えているほか、月末にかけては年金基 金による保有債券の年限長期化を狙った買いも期待できる。円高が進め ば企業収益・業績が冷やされて、金利低下の支援材料になるだろう」

--取材協力 赤間信行、池田祐美 Editors:Eijiro Ueno,Kenzo Taniai

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