9月11日の海外株式・債券・為替・商品市場

◎外国為替市場

ニューヨーク外国為替市場ではドル指数が6日続落。3月以来で 最長の下落局面となった。米消費者マインド指数の上昇を受け、ドル を売って高金利通貨を買う動きが続いた。

8月の英生産者物価指数の上昇を背景に、ポンドは対ドルで1カ 月ぶり高値をつけた。円は大部分の主要通貨に対して上昇。中国の景 気回復でアジアの近隣諸国の成長が加速するとの観測と、日本の輸出 業者が海外利益を本国に戻すとの思惑が円買いを誘った。

ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS) のシニア為替ストラテジスト、ポール・ロブソン氏は「経済データは 比較的良好で、弱気派が劣勢に回っている。当局は緩和的な金融政策 を当面続ける意向を示している。それがリスク許容を高め、ドルが資 金調達通貨として使用されている」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時29分現在、主要6通貨に対するインタ ーコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数は0.2%低下の

76.683。週間ベースでは1.9%下落と5月以来で最大の下げ。この日 は一時、2008年9月25日以来の低水準となる76.457まで下げた。

ドルは対ユーロで1ユーロ=1.4596ドル(前日は1.4582ド ル)。一時は1.4634ドルと、昨年12月18日以来の安値をつけた。 ドルは円に対して1.4%下落し、1ドル=90円47銭。一時は2月12 日以来の円高・ドル安水準となる90円21銭をつけた。円は対ユーロ で1.3%上昇し、1ユーロ=132円8銭(同133円76銭)。

ドルは午前10時ごろ、対ユーロで下げ渋った。首都ワシントンD Cを流れるポトマック川で沿岸警備隊を巻き込んだ事件が発生したと CNNテレビが伝えると、2001年の対米同時テロの8周年にあたるこ ともあり、安全を求めてドル買いが入った。沿岸警備隊は訓練を実施 していると発表した。

ウェルズ・ファーゴの通貨戦略責任者、ニック・ベネンブローク 氏はドル買いについて「とにかく今行動して、考えるのは後にした方 が賢明というケースだった」と説明した。

ドル弱気

対ユーロでのドルは週間で2%下落し、5月以来の大幅安。対円 では2.7%安となり、昨年12月以来で最長の5週連続の下げとなった。 円は対ユーロでは0.5%高。

9月のロイター・ミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は

70.2と、前月の65.7から上昇。ブルームバーグ・ニュースがまとめ たエコノミスト予想中央値67.5も上回った。

三菱東京UFJのグローバル為替調査部門の欧州責任者デレク・ ハルペニー氏(ロンドン在勤)はブルームバーグラジオとのインタビ ューで、「市場は明らかにドルに対して極端に弱気になっている。個 人的にはやや懐疑的だ。米国のファンダメンタルズ(経済の基礎的諸 条件)に関するニュースが引き続き改善を示すにつれ、この現象が続 くのは困難になるだろう。利回りは上昇するはずだ」と述べた。

円買い

円は対ドルで7カ月ぶりの高値まで買い進まれた。中国の生産増 加に加え、日本企業が税制改革を利用して海外資金を引き揚げるとの 思惑が背景にある。

日本政府は今年度の税制改革で、海外で得た利益を4月から実質 非課税とした。それまでは海外利益には合計40%の税金が発生してい た。

中国国家統計局が11日発表した8月の鉱工業生産は前年同月比

12.3%増加した。ブルームバーグ・ニュースが集計したエコノミスト 15人の予想中央値は11.8%増だった。

◎米国株式市場

米株式相場は反落。米消費者信頼感が予想を上回り、小荷物輸 送フェデックスも好調な暫定決算を発表したが、最近の株価上昇のペ ースが企業の利益見通しに比べて速過ぎるとの懸念が強まり、6日ぶ りに下落した。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)とJPモルガン・チェース は下落。S&P500種株価指数の産業別10指数のうち金融株価指 数は値下がり率最大だった。

放送局CBSと家電量販店のベスト・バイはいずれも下落。ア ナリストが投資判断を引き下げたのが嫌気された。半導体のナショ ナル・セミコンダクターは減益決算が売りを誘い下落。一方、フェ デックスは決算の暫定集計が好感され上昇した。

S&P500種株価指数は前日比0.1%安の1042.73。週間ベース では2.6%高。ダウ工業株30種平均は22.07ドル(0.2%)下落して

9605.41ドル。

米景気回復

ワサチ・アドバイザーズのマイケル・シニック氏は「景気は回 復するだろうが、米消費者にかかる強い圧力に影響され通常のよう な回復にはならないだろう。景気循環に需要が左右されない分野に ついては、われわれは一段と楽観的になっている」と述べた。

S&P500種は今年3月9日の12年ぶり安値から54%値を戻し た。経済統計からリセッション(景気後退)が緩和されつつあるこ とが示唆されたほか、医療品メーカーのジョンソン・エンド・ジョ ンソンからゴールドマン・サックス・グループに至るまで多数の企 業決算がアナリスト予想を上回ったのが背景。

ブルームバーグの週間データによると、S&P500種の株価収益 率(PER)は約19倍と、04年6月以来の高水準だった。

CBS、ベスト・バイ

CBSは1.6%安。カウエンはCBSの投資判断を「ニュートラ ル」から「アンダーパフォーム」に引き下げた。

ベスト・バイは3.1%安。オッペンハイマーは、同社の株式投資 判断を「アウトパフォーム」から「マーケットパフォーム」に引き 下げた。

ナショナル・セミコンはS&P500種銘柄で値下がり率2位だっ た。同社の売上高は5四半期連続で減少した。同社は、同社製半導 体に対する需要が上向き始めているとして、9-11月(第2四半 期)の回復を予想している。

フェデックスは6.4%高。同社が発表した6-8月(第1四半 期)決算の暫定集計によると、1株当たり利益は58セントと、従 来見通し(同30―45セント)およびアナリスト予想(同45セン ト)を上回った。

この日は一時、消費者信頼感の改善を手掛かりに上昇する場面 もあった。9月の米ロイター・ミシガン大学消費者マインド指数 (速報値)は70.2と、前月の65.7から上昇。ブルームバーグ・ニ ュースがまとめたエコノミスト予想中央値67.5も上回った。

◎米国債市場

米国債相場では10年債が週間ベースで5週連続高。米国債の相 対的価値が見直され、前日まで3日連続で実施された総額700億ドル の米国債入札では強い需要が示された。

10年債利回りはほぼ2カ月ぶり低水準をつけた。今週の入札はい ずれも最高落札利回りがプライマリーディーラー(米証券政府公認デ ィーラー)の予想平均を下回った。主要6通貨に対するインターコン チネンタル取引所(ICE)のドル指数は今週2%近く低下しており、 海外投資家にとっては米国資産を保有しやくなっている。

RBSセキュリティーズの米国債ストラテジスト、ウィリアム・ オドネル氏は「国債の価値は高まったものの、債券市場のほかの資産 と比較すると割安に感じられる」と指摘。「ドル以外の通貨や住宅ロ ーン担保証券市場から国債相場への資金流入がみられる」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時2分現在、10年債利回りは前日比2ベーシスポイント(b p、1bp=0.01ポイント)低下の3.34%。一時は7月13日以来 の低水準となる3.27%を付ける場面もあった。10年債(表面利率

3.625%、2019年8月償還)価格は5/32上げて102 12/32。 30年債利回りは10bp低下し4.17%。

米財務省は7-9月(第3四半期)に4420億ドルの中長期債を 発行した。今年上期の発行額は9630億ドルだった。こうした供給増 加にもかかわらず、メリルリンチの指数によると、米国債の投資リタ ーンは6月に1.8%(再投資金利を含む)。今年上期はマイナス

4.5%だった。

「割安」

ファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)の30年物固定金利住宅ローン 担保証券の利回りと米国10年債の利回り格差(スプレッド)は94.7 bpに縮小した。年初来の平均は104.6bp。

CRTキャピタル・グループ(コネティカット州スタンフォー ド)の米国債ストラテジー責任者、デービッド・エーダー氏は「米国 債はほかの優良社債や住宅ローン担保証券と比べると割安だ」と指摘。 「今週にかけては過去数カ月で最も割安だった。実体経済を示す数値 がまちまちであるこの時期に国債を買う理由は、他の市場セクターに 比べて最も割安だからだ」と述べた。

「AA」格付け(投資適格級)の社債と10年物国債の利回り格差 は2.07%。年初来の平均は3.151%。

ドル指数

ドル指数はこの日も低下。3月以来で最長となる6営業日連続で の低下となった。

RBSセキュリティーズのオドネル氏は「ドル建て資産はどれも 割安になっている」と指摘。「利回りは過去3カ月平均の低水準にあ るものの、国債の魅力はさほど衰えていない」と述べた。

同時テロから8年となったこの日は、首都ワシントンのポトマッ ク川で沿岸警備隊が行っていた演習が、CNNテレビで発砲事件とし て報じられたことも、国債への逃避につながった。

今週は前日まで3日間に3回の入札が実施された。8日の3年債 としては過去最大規模となる380億ドルの入札では、最高落札利回り が5月以来最低となる1.487%だった。9日の10年債200億ドルの 入札で最高落札利回りは3.510%と、7月以来の低水準となった。前 日の30年債入札では応札倍率が2.92倍と、07年11月以来の最高 だった。

◎金先物市場

ニューヨーク金先物相場は上昇。日中の取引としては2008年3 月以来の高値をつけ、終値ベースの最高値を更新した。ドルの下落が 続き、インフレヘッジとしての金需要が高まった。

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)の ドル指数は6日続落。3月以来で最長の下落局面となり、11カ月ぶり の安値をつけた。将来のインフレ指標と一部でみなされている原油価 格はこの日は下落したものの、年初からは61%上げている。ドルが下 げると上昇する傾向のある金は年初から14%高。

プロスペクター・アセット・マネジメントのレナード・カプラン 社長は「インフレ懸念からドルは下げるだろう。資金がだぶついてお り、物価は上昇するだろう。需給は関係ない。常識は通じない」と述 べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 12月限は前日比9.60ドル(1%)高の1オンス=1006.40ドルで 取引を終えた。週間では1%上昇し、4週連続の上げ。一時は

1013.70ドルと、中心限月としては最高値(1033.90ドル)をつけ た2008年3月17日以来の高値まで上昇した。

◎原油先物市場

ニューヨーク原油相場は反落。バレル当たり72.90ドルと今月 の高値を付けたものの、これを上抜けできなかったことから売りがか さみ、4週ぶりの大幅安となった。

BNPパリバ・コモディティ・フューチャーズ(ニューヨーク) のエネルギー担当シニアアナリスト、トム・ベンツ氏は「原油相場は 上昇を維持できなかった」と指摘。「前日までの騰勢を駆ってバレル 当たり72.90ドルまで上昇したものの、ここで息切れして反落。過去 2日間の安値水準も割り込んだ」と述べた。

原油相場の下落は5日ぶり。一方、週間ベースでは3週ぶりに値 上がりした。ドル安でインフレヘッジとしての魅力が高まった。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物10月限は前日 比2.65ドル(3.68%)安の1バレル=69.29ドルで終了した。週間 ベースでは1.9%値上がり。

◎欧州株式市場

欧州株式相場は上昇。ダウ欧州600指数は7日続伸した。中国の 経済統計や米国の消費者信頼感を示す統計が予想を上回り、リセッシ ョン(景気後退)の終わりが近づいているとの観測が強まった。

オランダの鉄鋼メーカー、アルセロール・ミタルと英豪系鉱山会 社BHPビリトンが上昇。中国の8月の工業生産や投資の伸びが好感 された。

郵便サービスで欧州最大手のドイツポストやオランダのTNTも 高い。米フェデックスの四半期決算が予想を上回ったのが手掛かりと なった。欧州最大の航空会社、エールフランス・KLMグループは

6.5%高。同社が貨物事業の再編を計画しているとの報道が買い材料だ った。

ダウ欧州600指数は前日比0.5%高の241.74と、週間ベース では昨年7月以来で最大となる3.4%の値上がりだった。

キャンター・フィッツジェラルドのチーフグローバル・ストラテ ジスト、スティーブン・ポープ氏は「株式相場の上昇がここで終了す るとは考えていない。経済統計の結果は一段と明るい。相場にはまだ 上昇する余地がある」と述べた。

米中の経済統計

中国国家統計局が発表した8月の工業生産は前年同月比12.3% 増加した。また中国人民銀行(中央銀行)がウェブサイト上で11日発 表した8月の人民元建て新規融資は予想に反して前月比で増加した。

また、9月の米ロイター・ミシガン大学消費者マインド指数(速 報値)は70.2と、前月の65.7から上昇。ブルームバーグ・ニュー スがまとめたエコノミスト予想中央値67.5も上回った。

BHPビリトンは3%高。リオ・ティント・グループは2.9%値 上がりした。アルセロールは5.1%上昇した。

◎欧州債券市場

欧州債市場ではドイツ国債相場が続伸。週間ベースでは5週連続 で上昇した。世界的に国債入札への高い需要が示されたことから、リ セッション(景気後退)脱却に向けて各国が講じた刺激策の財源を賄 えるとの見方が強まった。

フランスとスペイン、イタリアの10年債がこの日の欧州債市場の 上昇をけん引。独国債との利回り格差(スプレッド)が縮まった。イ タリアは9日、60億ユーロの30年債を発行。アイルランドは11日、 2014年と2020年に償還期限を迎える国債を来週最大で10億ユーロ 発行する計画を明らかにした。米国では前日実施した120億ドルの30 年債入札で、応札倍率が07年11月以来の最高となった。欧州債市場 は株式相場の値上がりにもかかわらず上昇した。

ドイツ銀行の金利ストラテジスト、ラルフ・プロイサー氏(ロン ドン在勤)は「米国での入札は今週にかけて相場の重しとなっていた が、順調な結果となり、欧州債市場の支えになっている」と述べた。

ロンドン時間午後4時55分現在、独10年債利回りは前日比7ベ ーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し3.23%。週間ベー スでは1bp低下。同国債(表面利率3.5%、2019年償還)価格は

0.60ポイント上げ102.21。2年債利回りは前日比3bp低下の

1.19%。

◎英国債市場

英国債相場は上昇。10年債利回りは前日比7ベーシスポイント (bp、1bp=0.01ポイント)低下し3.61%。2年債利回りは

0.87%と、前日を4bp下回った。両国債の利回り格差(スプレッ ド)は今週、280bpに拡大し、少なくとも1992年1月以降で最大と なった。

メリルリンチ指数によると、9月の英国債の投資収益率はマイ ナス0.8%。これに対し、ドイツ国債は0.2%のマイナス、米国 債は0.5%のプラスとなっている。

イングランド銀行(英中銀)は10日の金融政策委員会(MPC) で資産買い取りプログラムの規模を維持することを決定したほか、 政策金利も過去最低の0.5%に据え置いた。

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